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2010.2.3
太陽光発電設置者
意識「変わった」81%
住環境研 省エネ実践度向上

 積水化学工業住宅カンパニーの調査研究部門、住環境研究所(東京・千代田)は、太陽光発電システムを採用した同社の住宅入居者の環境意識と行動についての調査をまとめた。太陽光を採用して環境意識や行動が変わった人は44%で、03年の前回調査に比べて倍増。「やや変わった」を加えると81%に達した。太陽光搭載住宅に住むことで、省エネなどへの関心や実践度が高まっているようだ。

  太陽光発電採用後の環境配慮実践度でみると、一般層に比べて「節電をいつでも行っている」という回答が8ポイント上回る34%、「家電製品購入時、省エネ性を考慮」は14ポイント上回る36%、「古紙、ペットボトルなどはリサイクルに回している」は17ポイント上回る65%だった。

  調査は2007年12月〜08年6月にかけて引き渡した太陽光発電を採用した住宅3090件に郵送でアンケート協力を依頼。回答のあった646件を分析した。

2009.2.25
家庭の太陽光電力を購入
価格2倍、10年度から     〜経産省発表〜

 経済産業省は二十四日、太陽光発電の普及を加速するため、余剰電力を従来の二倍の価格で電力会社が買い取る制度 を二〇一〇年度から導入すると発表した。電気事業連合会の森詳介会長(関西電力社長)は二階俊博経産相と会談して 協力を伝えた。電力買い取りの対象は自家消費を目的とする家庭や公共施設などに限り、大型の太陽光発電所は対象に しない。

 経産省の草案では、太陽光発電装置を設置した家庭などからおよそ十年間、自家利用せずに余った電力を1キロワッ ト時あたり五十円弱で買い取る。

 電力会社は一九九二年から自主的に余剰電力を1キロワット時あたり二十三円程度で買い取り、太陽光発電装置の普 及を支援する制度を設けている。

 余剰電力を割高な価格で買い取ることで、太陽光発電を導入する経済的なメリットが高くなる。これまで二十年以上 かかっていた導入コストの回収期間を十−十五年に短縮できるとみられる。導入コストの割高さから設置を見送ってき た家庭や自治体施設などで、新たな利用の増加が期待できる。

 ドイツやスペインなどは自然エネルギーで発電した電気の固定価格での買い取り制度によって、太陽光発電の導入が 急速に増えた。これらの国では「メガソーラー」と呼ばれる大規模な太陽光発電所が増えたことが全体の導入量を拡大 した。経産省は「新エネ電源をつくった事業者がもうける制度は想定していない」としており、欧州の制度とは大きく 異なるものになりそうだ。

 これまで固定価格買い取り制度の導入に難色を示していた電力業界は、今回の制度については、協力する姿勢を示す とともに、今後の制度設計で「コストが確実に反映できる仕組み」や「都市ガスなど他のエネルギーとの公平性を確保 する」ことなどを要請した。

2009.2.10
ファミリンハイム仕様 子育てに応じ間取り調整
住宅設計に『発達心理学』 〜積水化学とお茶の水女子大〜 大規模工事不要に

 積水化学工業はお茶の水女子大学大学院などとの「発達心理学」の共同研究に基づく、子育て世代向け住宅パッケージ「ファミリンハイム仕様」=完成予想図=を二十一日に発売する。家族のつながりや子どもの自立など子育て世代が求める要点を五つに集約し、それに基づき設計した。

 ファミリンハイム仕様は、リビング内に解放感あふれる階段を配し、子どもが個室を与えられる時になっても家族がいるリビングを必ず通ることで、コミュニケーションを図りやすくした。可動式収納を採用しており、大掛かりな工事がなくても、子どもの成長に応じた部屋の大きさやつながりの調整が可能。

 併せて、従来は三十年単位だった住宅ローン返済額や光熱費など建物にかかわる生涯コストのシミュレーションを五年単位に変更。子どもの成長過程に合わせ、きめ細かくシミュレーションできるようにした。

 価格は太陽光発電システムや床下蓄熱暖房システムを採用した場合、三・三平方材当たり六十万円台から。年間五百棟の販売を目指す。

2008.7.9
鉄骨系住宅、値上げ検討 鉄鋼価格高騰、年明けにも
 〜積水化学社長に聞く

 積水化学工業の大久保尚武社長は日本経済新聞社のインタビューに応じ、鉄骨系戸建て住宅価格の引き上げを検討する意向を 示した。鉄鋼価格の高騰で収益確保が難しくなっていることが背景。一方、強みを持つ太陽光発電はエネルギーコストの上昇で 普及期を迎えつつあるとの見方を強調した。主なやりとりは以下の通り。

 −−鉄鋼など資材価格の高騰をどう吸収するのか。

 「二〇〇八年度は住宅部門で二十八億円の原材料コストの増加を見込んでいる。しかし、鉄鋼価格の上昇が想定以上に進んで おり、コストの増加はこれではすまない」
 「工場での部材の生産効率化や共通化などを通じ、できるだけコスト削減を進め、コスト高の影響を吸収していきたい。ただ 、今の資材価格はかつてないほどの高い水準。事業を持続するのが難しいほど高騰しており、鉄骨系の住宅を中心に値上げを検 討せざるを得ない」
 「住宅はキッチンのグレードや太陽光発電装置の有無など、さまざまな組み合わせがあり、どうやって値上げを打ち出すかは 難しい。具体的に決めたわけではないが、新モデルの商品を発売する際に価絡を変更することになるのではないか。値上げの時 期は年明けになるかもしれない」

 −−太陽光発電装置付きの戸建て住宅事業の展開は。

 「エネルギーコストの上昇で普及期に入ったと思う。太陽光発電装置を設置した家庭では、家族でその日の売電量が話題にな り、節約のため深夜電力を使って米を炊くようになっているという話を聞いた。太陽光発電装置のハードを導入したことで、生 活というソフトに変化が生じたわけだ」
 「さらなる普及のためには太陽光発電が環境に優しいという面だけではなく、経済性との結びつきを消費者に訴求することが 不可欠だ。光熱費など生活コストを削減できるということを前面に出して、太陽光発電装置付きの住宅を売り込んでいきたい」

 【記者の目】
需要減の懸念 価格設定難しく
 ハウスメーカー各社は資源高への対応に頭を悩ませている。二〇〇八年度に原材料コストが〇七年度比で四十億円上昇すると みている旭化成ホームズの場合、「コスト削減で対応できるのは二十億円。残りの二十億円分については価格転嫁の可能性もあ る」(波多野信吾社長)という。
 国内住宅市場の低迷が続いている。〇七年度の戸建て住宅の着工戸数は前年度比一二・○%減の約四十三万五千戸。今年度も 需要回復の道筋がはっきりしない。住宅価格の引き上げが個人消費の回復に水を差し、さらに住宅需要が後退してしまう悪循環 も招きかねない。需要動向をもにらみどの程度値上げするのか、各社は価格設定を巡り難しいかじ取りを迫られそうだ。

2008.6.11
積水化学工業 低価格住宅を強化 坪単価3割抑える

 積水化学工業は価格を抑えた戸建て住宅を強化する。このほど木質系住宅で広さを限定するなどしてコストを削減した住宅の販売を開始。十月に3.3平方メートル当たりの価格を同社平均と比べ三割抑えた鉄骨系住宅を全国発売する。低価格住宅を拡充することで団塊ジュエア世代を含む幅広い顧客層を取り込み、シェア拡大を目指す。

 十月に発売するのは鉄骨系戸建て住宅の「クレスカーサ」(商品名)。住宅の部材を絞ることでコストを削減。価格を3.3平方メートル当たり四十九万円台からに設定する考え。

 すでに九州や中部地方で試験的に販売を始めた。同社が二〇〇七年度に販売した戸建て住宅の3.3平方メートル当たりの価格は七十三万四千円だった。

 発売した木質系住宅はツーバイシックス(2×6)工法の住宅「グランツーユーWS」(商品名)。3.3平方メートル当たり五十八万円台から。延べ床面積を百十−百五十平方メートルに限定することで外装材などの部材点数を削減しコストを抑えた。

 人口減少の影響で、戸建て住宅市場の伸びが期待できないとされるなか、同社は○八年度に〇七年度実績と同じ一万百戸の販売目標を掲げている。  低価格品を拡充することでシェアを拡大し、工場稼働率の維持やリフォーム顧客の囲い込みにつなげる。

2008.6.5
シャープ 住宅向け太陽電池 多結晶タイプで変換効率最高に

 シャープは四日、国内の住宅向け太陽電池モジュールの新製品を発表した。住宅向けで主流の多結晶タイプでは業界最高の変換効率を実現した製品など五種を六月十八日から販売する。太陽光を電力に変換する効率や、風圧への耐性を上げることで都市部の狭い住宅でも発電能力を確保できるようにした。

 出力百九十一ワットタイプのモジュールでは一四・四%の変換効率を確保した。多結晶タイプでは従来最高だった京セラ製の一三・七%を上回り業界最高となる。シリコン表面で発生した電子を集める電極の線を細くする一方、メーン電極の数を従来の二本から三本に増やした。太陽光が当たる面積が大きくなり、電子が移動するときに発生する損失が小 さくなる。

 形状や出力の違うモジュール五種類を用意した。各モジュールの出力は六十・五ワットから百九十一ワットで、希望小売価格は四万六千四百十−九万九千三百三十円。実際には複数のモジュールを組み合わせて使うため、付帯設備や工事費用を含めた導入費は一キロワット当たり六十万−七十万円になる。

 モジュールとモジュールを支える架台の強度を上げ、同じ面積に敷き詰められるモジュールを多くした。同じ面積で自社の従来製品に比べ二−五割増しの発電能力を確保できるという。

2006.8.9
積水化学工業 蓄熱暖房システム「ウォームエアリー」 床下活用で家中暖かく

積水化学工業が昨年投入した戸建て住宅用の蓄熱暖房システム「ウォームエアリー」の採用件数が順調に増えでいる。床下に設置した蓄熱暖房機からの暖気を、吹き抜けを通じて二階に送り、家全体を快適な室温に保つ。主要ターゲットとしている団塊世代の建て替え需要を取り込むのに成功した。2006年3月期の注文住宅への搭載率は25%で、その後も上昇している。

ウォームエアリーは住宅に基礎断熱を施し、床下に蓄熱暖房機を設置。夜間に暖めておいた空気を徐々に放出する仕組みだ。一階全体を床下から暖め、さらにダクトを通じ加温した空気を二階を含めた各部屋に送る。

エアコンなどと違い、上下の温度差が生じにくいため、冬場の二階でも15-17度と快適な室温を保てる。「家中がほんのりと暖かい」のが特徴という。従来、蓄熱暖房機は床置き型が一般的だったが、床下の空間を活用するため一階居室の間取りにも影響しない。加温に深夜電力を利用することで電気代を抑える。太陽光発電システムを搭載し、余った電力を売電すれば「光熱費ゼロ」も可能だ。

昨年10月にこのシステムを搭載した住宅「パルフェ・ウォームエアリー」を発売後、搭載件数は順調に伸びた。06年4-6月期の注文住宅への搭載率は既に34%に達しており、07年3月期の計画を上回る勢いで推移している。

商品データ
▲商品名 「ウオームエアリー」
▲発売日 2005年10月
▲価格 3.3平方bあたり70万円から(パルフェ・ウォームエアリー)
▲販売動向 06年3月期の搭載率は25%を達成。07年3月期の計画35%にもメド

2006.8.8
太陽電池 シェア攻防 三洋電機、2位に浮上

二〇〇五年の太陽電池の国内市場向け生産量は前の年に比べ一二・五%増の三百六・八メガ(メガは 百万)ワットに拡大した。政府の補助制度打ち切り前の駆け込み需要やオール電化住宅の増加などが市場をけん引した。シェア首位はシャープで変わらなかったが、材料のシリコン不足や需要が旺盛な 欧州戦略などが影響して二位には前の年に三位だった三洋電機が浮上した。

首位のシャープはシェアを前の年より二・一ポイント上げ五割に迫った。標準的な単結晶型や多結晶 型、採光できるシースルー型に加え、シリコン不足に対応して住宅向けにシリコン使用量の少ない 結晶薄膜タイプを追加するなど品ぞろえを拡充。大手住宅メーカーと連携し、屋根一体型製品も開した。

供給能力拡大にも力を入れており、太陽電池セルの生産拠点である葛城工場(奈良県葛城市)で は、〇五年十一月に年産能力を二五%増の五百メガワットに拡充した。

前の年の三位から二位に浮上した三洋電機は独自の技術で発電効率を高めた「単結晶HIT太陽 電池」が好調だった。〇五年一月に二色の浜工場(大阪府貝塚市)の年産能力を百十メガワットに引き上げるなど生産体制も強化している。

一方、前の年二位だった京セラは三位に後退した。八日市工場(滋賀県東近江市)の年産能力を 〇五年九月に二百四十メガワットに拡充したが、シリコン不足が響き国内向けに手が回らなかった。

四位の三菱電機はオール電化住宅向けにIHクッキングヒーターなどと合わせた販促策が奏功。 〇五年二月には年産能力を百三十五メガワットに増やした。

〇六年は政府の補助制度がなくなったものの、自治体の制度導入が増えていることなどから堅調に 推移する見通し。ただ、原料のシリコン不足は依然として続いている。シェアを拡大するためには シリコンの使用量が少なぐ、電気への変換効率が高い製品を開発できるかどうかが今まで以上に重 要になりそうだ。

2006.8.4
積水化学 太陽光発電住宅5万棟を突破

積水化学工業は三日、太陽光発電システムを搭載した住宅の累積販売棟数が七月末で五万棟を突破したと発表した。発売したのは一九九八年で、七年強での達成。同社は太陽光発電システムの普及に力を入れており、販売棟数で業界トップ。シェアは約一一・五%という。

太陽光発電システムの搭載比率は年々増加。〇五年度は新築戸建て一万千五百八十戸の五五%にあたる六千三百八十棟に搭載した。既存住宅にも千八百八十棟搭載した。五万棟の太陽電池モジュール総面積は札幌ドーム二十八個分の百五十四万平方bに相当し、発電量は年間一億八千三百万キロワットになるという。

2006.8.4
積水化学 住宅工場に体験施設
構造・断熱材分かりやすく

積水化学工業は、住宅の構造部材などを展示するモデルハウス型体験施設を全国の生産工場に併設する。今秋に埼玉県蓮田市の工場内の施設を改装し、年内に宮城県の工場内にオープンし、他の工場にも順次展開する。これまで工場見学を積極的に受け入れてきたが、体験施設を通じて、「セキスイハイム」の特徴についてより来場者の理解を深めてもらう。

展開するのはモデルハウスの外観をした体験施設「住まいのなるほど見聞館」。建物の構造躯体(くたい)や断熱材の内部構造を分かりやすく展示したり、太陽光発電などの特徴について解説したりして来場者に性能を体感してもらう。

埼玉県の東京セキスイ工業の工場内にある、インテリアなどを紹介する「ザ・パルフェ館」隣の施設を改装。見聞館として今秋にもオープンさせる。年内にも宮城県亘理町の東日本セキスイ工業の工場内にも同様の施設を開設する。既に奈良市と岡山市の工場内に開設しており、将来は全七工場に展開する方針。

主力商品の鉄骨系ユニット住宅のセキスイハイムは現場での施工作業が少なくへ工場での生産比率が七〇%に上るのが特徴。このため住宅購入者や一般の希望者の工場見学を積極的に受け入れ、理解を深めてもらう取り組みを進めている。

積水化学の二〇〇六年三月期の住宅販売戸数は一万五千八百五十戸。うちセキスイ八イムは市場縮小のあおりを受け、八千六百九十戸と前期より四・六%減った。工場見学に加え、工場併設の展示場で商品特性を消費者に体感してもらうことで、住宅受注のテコ入れにつなげたい考えだ。

2006.7.25
住宅向け太陽電池 運転状況を監視 シャープ、異常を早期発見

シャープは二十四日、住宅向けに太陽電池の運転状況を監視するサービスを九月に始めると発表した。専用の太陽電池用電力変換装置(パワーコンディショナー)を電話回線とつなぎ、シャープの監視センターで発電量や電力消費量などを確認する。異常の早期発見や家庭での省エネに役立てる。太陽電池市場は拡大傾向だが、サービス向上で弾みをつける。

監視サービスの開始に合わせて変換装置の新製品二種類を八月に発売する。新製品は通信機能が付くほか、電力の変換効率を高めた。定格出力三キロワットの製品は業界最高の九四・五%に高めた。

監視サービスは通信機能を備えた既存の変換装置四種類でも受けられる。電話回線を通じてシャープの監視センターで太陽電池モジュールの発電量や電力会社の供給分も合わせた家庭での電力消費量、電力会社向け売買電力量などを監視する。

集めたデータは毎月、顧客に送り、異常を発見出向く。監視サービス料は無料。モデムと通信工事費に三万五千円程度、月々の基本通信料に二十円かかる。

2006.6.30
電気式浴室換気乾燥暖房機の焼損事故について

2006年(平成18年)6月30日、経済産業省から「電気式浴室換気乾燥暖房機の電源電線接続部の点検要請について」下記内容の要請がありました。

 電気式浴室換気乾燥暖房機の一部で、電源電線の接続工事が不適切に行われていたと推定される焼損事故について、当省は、特定の機器の使用者に対して、点検の依頼をすることと点検が終了するまでは使用を控えていただくことの注意喚起をするとともに、施工業者等に対して早急に点検と必要な改修を行うよう要請しました。また、機器のメーカーに対して相談窓口を設置するよう協力要請を行いました。

【三菱電機HP】
http://www.mitsubishielectric.co.jp/oshirase/yokushitsukanki/index.html

【経済産業省HP】
http://www.meti.go.jp/press/20060630003/20060630003.html

2006.6.20
シリコン高騰受け各社 太陽電池、新製法を探求
●シャープなど 薄膜で使用量抑制 ■新規参入組 非シリコン化急ぐ

大陽電池の材料になるシリコンの値上がりを受け、低コストで製造できる次世代技術の研究開発が活発になっている。シリコン使用量を低減できる薄膜タイプや、化合物半導体を使ったタイプなどだ。環境配慮の観点からも太陽光発電に対する関心は高まっており、有望分野と判断した企業が相次ぎ新素材や新製法の探求に乗り出している。

現在普及している太陽電池は結晶シリコン系で、単結晶や多結晶シリコンの固まり(インゴット)を厚さ二百マイクロ(マイクロは百万分の一)メートル前後にスライスして使う。太陽電池モジュールのコストの約三割がシリコンだ。しかし、太陽電池の生産拡大と、同じくシリコンを原料とする半導体の出荷増が重なり、シリコン価格は上昇が続いている。

このため、多くの太陽電池メーカーがシリコン量の低減や、シリコンを使わない製法の確立を急いでいる。結晶シリコン系太陽電池は、シャープを筆頭に京セラ、三洋電機、三菱電機などが大手。それ以外の新規参入組は特に、シリコン量の削減や非シリコン系太陽電池の開発に熱心だ。

既に量産が始まっているのは薄膜太陽電池。ガラス基板上に厚さ数マイクロメートルのシリコン薄膜を形成するもので、結晶シリコン系に比べ発電効率は落ちるがコスト面では有利だ。シャープは結晶シリコン系太陽電池を補完する製晶として量産を開始、カネカも参入した。

昭和シェル石油は薄膜方式で、しかもシリコンの代わりに化合物半導体を使うCIS系太陽電池の生産を来年から始める。CISとは主要材料の銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)の頭文字に由来する。太陽光を電力に変える変換効率では、市販品で一五%台を達成している多結晶シリコンには及ばないが、昭和シェルのCISは一三%超の変換効率を達成している。

実用化には遠いが、製造コストやデザインの自由度の面で期待されるのが有機物系の色素増感型太陽電池。光を吸収して電子を放出する有機色素を利用して発電する。

変換効率は数%だが、印刷技術を応用して安く製造できるのが利点だ。色調や透明度も柔軟に調節できる。太陽電池メーカー大手のほか、フジクラやアイシン精機なども開発を急ピッチで進めている。

▼太陽電池の製法
現在は結晶シリコン系が世界の太陽電池生産量の約九割。このほかシリコンを原料とするものに薄膜シリコン系、球状シリコン系がある。球状シリコン系はガラス基板の上に球状のシリコンを敷き詰める方式。
非シリコン系ではCISや色素増感型がある。CISは化合物半導体を使い、製造工程が簡単で比較的高性能。色素増感型は酸化チタンについた色素が光を吸収して発電する。結晶シリコン系以外の製法は、今後、歩留まり率の向上などが課題になる。

   

2006.6.20
需要伸びる欧米市場 ▲補助制度拡充が拍車

大阪市で先週開かれたSEMI(国際半導体製造装置材料協会)フォーラム。太陽電池の技術発表会には最も広い会議室が割り当てられた。今回のSEMIで太陽電池が脚光を浴びた背景には、原油など化石燃料 による発電コストが上がっていることに加え、世界規模での環境意識の高まりがある。

太陽電池は半導体や液晶パネル製造で培ってきたノウハウが使え、日本の製造装置や部材メーカーの競争力が発揮できる領域だ。実際、世界生産量(ワット換算)の約半分を日本勢が占めている。

ただ、市場が伸びているのはむしろ欧米諸国だ。日本では住宅用太陽電池設置の補助金を年々削減、二〇〇六年度にはゼロになったが、欧米では補助金を増やす国が増えているためだ。

ドイツは太陽電池の年間設置面積で、〇四年度に日本を抜いて世界首位に立った。ドイツ政府は太陽光で発電した電力を一般電力より高く買い上げる制度を○○年から開始。〇四年に買い取り価格を引き上げたため需要拡大に拍車がかかった。欧州ではスペインやオランダ、イタリアでも、ドイツと同様の制度を設けている。

米国は、ブッシュ大統領が一月末の一般教書演説で「二〇二五年までに中東からの輸入石油の四分の三以上を(新エネルギーで)代替する」と公約。代替エネルギー関連の開発予算を増額する方針を明ら かにした。代替エネルギーには太陽光発電のほか、エタノールや水素エネルギー、原子力などが含ま れている。

米国では太陽電池の設置費用を補助する制度を州ごとに定めている。カリフォルニア州政府は今年初 め、今後十一年間で太陽電池の累積導入量を三ギガ(ギガは十億)ワットにする目標を掲げ、〇六年度に太陽光発電のための予算を三億ドル計上した。同州は今後十一年間で計三十二億ドルを投入することも決めている。

2006.4.24
耐用年数35年の住宅用太陽電池パネル
「SUNVlSTA(サンビスタ)」シリーズ

過酷な条件下で使用する人工衛星用の太陽電池で培った設計技術を応用。太陽電池セルは従来品よりも薄いが、耐用年数は同社従来品の1.4倍の約35年に延ばした。配線材に柔らかい素材を採用し、伸縮分を調整できるよう切り込みを入れるなど設計面の改良も施した。価格が比較的安い「多結晶」タイプは最大出力や形状が異なる計5種類を用意し、小さい面積でも変換効率がよい「単結晶」タイプは1種類用意した。

多結晶の主力2製品は販売中、その他は6月1日。パネル1枚当たりの価格は多結晶が4万8720−7万2450円、単結晶が11万8860円。

2006.4.6
一般家庭のエコ発電
「風力」浸透へ小型機で攻勢

ゼファー 安価で高出力

一般家庭のエコロジーな自家発電といえば、これまで主役は太陽電池だった。最近、じわりと普及し始めたのが小型の風力発電機。ベランダや庭などちょっとした空間があれば簡単に取り付けられ、価格も手ごろになってきた。大規模災害時の緊急電源として注目されていたが、マンションの玄関や廊下の照明など共用部の電力として利用する動きも広がっている。

東京都杉並区の住宅街にあるアパートの屋上で、三機の小型風力発電機のプロペラが回る。「電気代を節約したいと思って試してみた」。経営者は購入理由をこう語る。「停電になっても少しは安心」と満足げだ。

販売したのは風力発電機開発ベンチャーのゼファー(東京・渋谷、伊藤瞭介社長)で、製品は二月末発売の「エアドルフィンマークゼロ」(一台四十七万二千五百円)。最大で平均風速毎秒六メートルなら月間百キロワットを発電、家族四人では一カ月の平均消費電力量の三分の一程度を賄える。

四人家族の消費電力量一カ月分をすべて賄う場合、太陽光発電の初期投資は一般的に二百万円以上。安定性は太陽光が勝るが、風力は補助的な発電システムとして有望と伊藤社長は確信する。

同社は二〇〇四年五月に風力と太陽光発電を組み合わせた三十六万円弱の入門機を投入、すでに干五百台を販売した。

「風力発電機を個人も買える家電のイメージに変えたい」。新機種開発は伊藤社長のこんな熱意から始まった。産業技術総合研究所や東京大学の研究者に相談し、東レや横河電機など十一社と共同開発に着手。設計などはゼファーが担当し、各社が強みを持ち寄った。

エアドルフィンの最大の特徴は十七・五キログラムという本体の軽さだ。初めて主翼に東レのカーボン繊維素材を使用した。風が変化しても柔軟に向きを変え、発電効率が高い。また据え付け工事も簡単に済む。主翼の改良もあり「騒音が低く住宅地で使いやすい」(伊藤社長)のが強みだ。

これまで風力発電機の購入者は自治体や学校などが中心だったが、集合住宅や個人宅へもすそ野が広がりつつある。売り上げ目標は年間五千台。すでに百台を出荷し、三百台を受注済みだ。営業では金融機関やリフォーム業者の協力を得ながら軽量・高出力を武器に顧客開拓を加速させる。

大手では神鋼電機が四角形の羽根を円柱状に配置する垂直型の小型風力発電機「そよ風くんV−U」を発売した。垂直型は風がどの方向から吹いても翼をうまく回せるのが特徴だ。

二・五メートルの微風から五十メートルの強風で効果的に発電できるよう強度や設計を改善した。価格は太陽光パネルなどと工事費を合わせた標準機で三百二十万円程度。これまで約二百台を販売した。羽根を四層にして発電量を最大十キロワットに高めたタイプ も投入し拡販を狙う。

小型風力発電機の国内市場規模は年間十億−二十億円程度で、七十−八十社が手掛けているもよう。一方、世界市場は百五十億−二百億円で約十倍の規模だ。

通常、自家発電した電力は各地域の電力会社が買い取り、その電力会社の供給電力(電気代)から差し引くのが一般的。普及には「電力会社が買い取る価格がカギ」(伊藤社長)だ。業界では発電量が設計よりも足りないなどのトラブルが発生しており、改良の余地も大きい。

水力発電 まず別荘や山小屋に

「エコ発電」は風力以外に水力発電もある。神鋼電機は小型の水力発電機「リッター水力発電」を昨年十一月に投入した。個人利用はまだ少ないが、青森県と大分県の山間部の小屋などで照明や冷蔵庫、パソコン用の電源として稼働中だ。

一秒間に数リットルの水量で○・五キロワットを発電する。約五十キログラムの装置本体に取水用と排水用のホースをつなぐ など、半日程度で設置できる。価格は○・五キロワットタイプで約九十八万円、一キロワットタイプで約百四十五万円だ。

「引き合いが予想以上に多い。広告はしていないがロコミで広がっているようだ」(友国勉エコ発電営業部長)と市場の反応は予想以上。別荘などに加え農作業場、養魚場など「提案次第で飛躍的に伸びる」(友国部長)と期待する。

太陽光発電 08年度 市場倍増へ

家庭向け「エコ発電」の主流を占めるのは太陽光発電だ。矢野経済研究所(東京・中野)の調査では住宅用太陽光発電システムの市場規模は二〇〇八年度に〇四年度比ほぼ倍増の六千九百八十九億円となる見込み。

世界規模でみると、米調査会社クリーン・エッジの予測では太陽光発電、風力発電、燃料電池、バイオ燃料など「エコエネルギー」の市場が一五年に千六百七十二億ドルに達する。〇五年比で大陽光発電は約四・六倍、風力発電は約四・一倍に拡大する見通しだ。

2006.2.3
三菱重工 新型太陽電池を量産
エネルギー変換効率1.5倍 長崎に新工場建設

三菱重工業は二日、エネルギー変換効率を従来品に比べ一・五倍に引き上げた新型太陽電池パネルを量産すると発表した。長崎県諌 早市内に百億円を投じて新工場を建設し、新型パネルを生産する。二〇〇七年四月に稼働する計画。○八年度には既存製品と合わせた売り上げを現在の五倍にあたる百五十億円まで引き上げる。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同開発していた「微結晶タンデム型」と呼ばれる製品を量産する。従来のアモルフ ァス型に微結晶シリコン膜を積層した二層構造。一・四メートル×一・一メートルのガラス基板に薄膜を均一に形成する技術を確立 した。

従来品に比べ製造コストはやや増えるが、太陽光の吸収力が高いため、基板一枚あたりの出力は百五十ワットと一・五倍になる。八% 程度だったエネルギー変換効率も一二%近くにまで引き上げられるという。

既存工場に隣接して、延べ床面積約一万平方メートルの建家を設置。自社開発の薄膜形成装置を導入し、電池二十七万枚相当の年間四万キロワット分を生産する。アモルファス型と合わせて生産量は同五万キロワット分になる。二酸化炭素(CO2)排出削減に向け、国 内外で太陽光発電の需要が伸びている。風力発電とともに新エネルギー事業の柱とする。

2006.2.2
2×6ユニット 耐震性を実証
積水化学工業

積水化学工業は木質系ツーバイシックス(2×6)ユニット工法住宅「グランツーユー」の耐震実験を行った。直下型地震の実験では阪 神大震災の揺れの約二・七倍、プレート型では東海地震で予想される最大の揺れを加えた。壁内部の木材が破損するなど構造体に修 復不可能な損傷は一貫して発生しなかった。

建物は二階建て、床面積約百五平方メートルで、内外装ありなど標準的な住宅の条件で実験を行った。プレート型地震の実験では余 震三回の揺れも加えた。直下型の実験では、揺れが増幅されやすい二階部分でも揺れが大きくならないことを確認したという。

セキスイハイム プレスリリース
http://www.sekisuiheim.com/info/press/20060130.html

2006.1.23
京セラ 太陽電池、シリコン減量

京セラが昨年十一月下旬、ロンドンやチューリヒなど欧州の大都市で開いたIR(投資家向け広 報)説明会。西口泰夫会長兼最高経営責任者(CEO)は同社の有望なR&D(研究開発)案件として、原料に球状のシリコンを使った太陽電池を取り上げた。「地球環境問題の先進地域だけに、参加者の関心を呼んだ」(西口会長)。

この太陽電池はシリコンの使用量を現行の五分の一にまで減らせるのが特徴。シリコンを直径一ミリ以下の球状に加工し、基板の上に敷きつめる。従来の板状で必要だった切断作業が不要になり、材料ロスが大幅に減る。二〇〇一年に滋賀県東近江市の専用工場で開発に着手し、昨秋実用化にメドをつけた。〇七年三月期にも供給を始める。

シリコン減量化に力を入れる背景にはシリコン価格の高騰がある。シリコンを使う半導体の需要が拡大しているにもかかわらず、シリコンメーカーはOO年のITバブル崩壊の教訓などから、増産のための設備投資には慎重。結果、太陽電池向けにもしわ寄せが及び、国際的に品薄感が強まっている。京セラの太陽電池もシリコン高騰による原材料費増のあおりを受け、今下期の利益率は一六%程度と上期に比べ約四ポイント低下する見通し。

同社の上期の部門別利益でみると、太陽電池を含む「ファインセラミック応用品」が前年同期比二四%増と唯一のプラスだった。太陽電池の利益が大幅に減れば業績全体への影響も少なくない。球状シリコンの開発に加え、板状シリコンの厚さを従来より三〇%程度薄くしても性能を維持できる技術を開発するなど、対応を急いでいる。

太陽電池市場は日系メーカーが世界の生産量の過半を握っているとみられる。上位四社のうち、液晶技術を生かした首位のシャープをはじめ三社を関西系が占める。

シャープは酸化チタンや有機色素など、非シリコンを素材とする太陽電池の研究も進めている。三洋電機はシリコンを使って製造しているものの、非シリコンでの生産も可能性として捨てていないという。

本社が東京の三菱電機も非シリコンの研究は進めており、シリコン製のみにこだわるのは京セラだけになる。京セラは一九七五年の研究開始以来、安定供給に適しているとされるシリコン製に力を入れてきたが、ここに来て原料調達難に揺さぶられている。

昨年末、ホンダが〇七年後半から住宅用太陽電池の量産を始めると発表した。採用するのは「非シリコン系薄膜型」で、低コストを売り物に先行メーカーを追う。

ホンダ以外も電線大手のフジクラが今年に入り非シリコン系での新規参入を表明した。異業種の非シリコン系での進出に京セラは「どこまでやるのか見極めたい」(川村誠社長)としているものの、軌道に乗れば強力なライバルとなる。

国が新エネルギー財団を通じて支給してきた住宅向けの補助金は今期で打ち切られる。業界にとって逆風ともいえるが、ある意味で打ち切りは太陽電池が補助金頼みを脱し、市場原理が本格的に機能し始めた証しでもある。「非シリコン」が進むなか、京セラはシリコンにこだわる。その戦略が正しいか否か、答えが出るのはそう遠くない。

2006.1.13
シリコン使わぬ太陽電池 
フジクラ、生産技術を確立
パネル供給、08年にも 2−3割安価に

電線大手のフジクラは早ければ二〇〇八年にも太陽電池事業に参入する。原材料にシリコンを使わない次世代太陽電 池「色素増感太陽電池」の大型パネル生産技術を確立。実用化の段階ではシリコン型の太陽電池よりも二−三割安く 供給できる見通し。有毒物質も使わないため環境にも優しく、屋内で使う家庭用小型電源などの需要を開拓する。

色素増感太陽電池は透明な導電性ガラス基板の間に、光合成と似た仕組みで光に反応する有機色素を挟んだ構造にな っている。色素が光を吸収して電子を放出することで発電する。

フジクラの色素増感太陽電池は、原材料に安価な酸化チタンを使用する。現在、主流の「多結晶シリコン型」の材料 であるシリコンは半導体などにも使われるため、材料が不足。価格の高騰で生産コストを押し上げている。

フジクラによるとシリコン太陽電池は十センチ角で三百五十円のコストがかかるという。これに対して、同社の次世 代太陽電池は発電効率は劣るが、二百−三百円に抑えられるとしている。

フジクラは今回、高さ一メートル十九センチ、幅八十四センチの色素増感太陽電池パネルを開発した。

ガラス面積が大きくなると抵抗が大きくなり発電効率が落ちるため、同社の開発したパネルはこれまで、十センチ級 が限界だった。ガラス基板に特殊な集電配線を施し、抵抗を五分の一に抑え、大型化した。

製造工程では、集電配線や発電層など電極を構成する要素をすべて、スクリーン印刷法で製造できる技術を確立した 。これまで集電に使う銀製の格子を印刷する場合、位置ズレの問題があった。同社は安価な印刷型の回路生産技術を 応用し、低コストで一貫生産できるようにした。

早ければ○八年にもサンプル出荷を始める。家庭内で使うリモコンや携帯電話充電器など、電力をあまり必要としな い機器の電源として使われることを想定している。

次世代太陽電池は、材料が逼迫(ひっぱく)するシリコン型太陽電池の代替を狙って各企業や研究機関が開発を競って いる。

▼次世代太陽電池〜化合物半導体使用がリード〜
現在実用化されている太陽電池と異なり、原材料としてシリコンを使わない太陽電池を指す。非シリコン系材料を使 うため、製造時のエネルギーを低下できる利点もある。

シリコンは半導体基板材料が主用途で需給が逼迫(ひっぱく)し、価格の低下が難しい。安い材料で簡単に製造できる方法を求めて各企業や研究機関が開発を進めている。実用化では銅やセレンなどの化合物半導体を使った次世代太陽電池が一歩リード。昭和シェル石油とホンダが次世代太陽電池の工場を建設中で、二〇〇七年にも供給を始める計画 だ。

★現行・次世代太陽電池の比較
   
変換効率(%)
長所
短所
開発メーカー
実用 多結晶シリコン型
20
変換効率が高い・材料が無毒 材料価格が高騰 シャープ・京セ ラ・三洋電機など
次世代 化合物半導体(銅・インジウム・ガリウム・セレン化合物)
18−20
変換効率が高い 材料に有毒物質 を使う 昭和シェル石油・ホンダなど
有機系 色素増感
8−11
材料費が安い   変換効率が低い アイシン精機・新日本石油・フジクラなど
薄膜
5
材料の選択肢が多い 製造が難しい 日本触媒など

2006.1.9
太陽電池 三菱重本格参入へ
長崎に新工場 来年にも生産開始

三菱重工業は、一般家庭や工場向けの新型太陽電池の開発に成功し、長崎造船所(長崎市、長崎 県諌早市)内に新工場を建設して市場に本格参入する方針を固めた。発電効率を従来の1.5倍に 高めたのが特徴で、07年にも生産を開始する。設備投資額は累計で数百億円規模に上る見通し。世界的に自然エネルギーヘの需要が拡大していることから、大規模投資に踏み切る。

生産する太陽電池は、太陽光が当たる部分に独自の微細加工技術を施した薄い膜を組み込んだ。これにより、発電に使える光の波長のカバー範囲が広がり、光エネルギーを電力に換える発電効率を、同社の従来製品の1.5倍にあたる12%に高めたという。三菱重工は、製造コストを他社の半分程度に抑えるめどがついた、としている。

04年の太陽電池の世界生産量は1200メガワット程度と推計される。三菱重工の生産量は年12メガワットで、市場占有率(シェア)は約1%にとどまる。新工場の生産能力は、10年後に世界市場 で5%程度を占める規模を目指し、少なくとも年300メガワット程度(一般家庭10万世帯分)にな る見込み。

04年の推計世界シェアは1位がシャープで約27%、2位の京セラも約9%あり、日本メーカーで計50%強を占める。三菱重工の本格参入で、さらに日本勢のシェアが拡大しそうだ。

2005.12.20
住宅用の太陽光発電システム
値下げ競争一服
電機など、4月以降 原材料高余力なく

シャープなど電機メーカーや住宅メーカーが扱う住宅用太陽光発電システムの値下げ競争が一服している。主要原材料の多結晶 シリコンが高騰しているのが主因だ。この五年間で二〇%ほど安くなったが、今年四月以降の下げ幅はわずか。消費者の同シス テム新設に対する政府の補助金の段階的な減額に合わせメーカー各社が普及を狙って値下げしてきたが、資材高騰でその余力が なくなってきた格好だ。

インターネットを通じ太陽光発電機器の見積もりサービスを手掛ける「太陽光発電システム見積工場」(横浜市)によると、主要 電機メーカーの工事費込みの販売価格は、発電量一キロワット当たり五十五万−七十万円。太陽光システムを戸建て住宅に後か ら取り付ける場合や、住宅新築時に取り付ける住宅メーカーのオプション販売などすべてを平均した金額だ。

この平均価格は前年同時期より二万五千円前後(約四%)安い。下げ幅でみると、昨年同時期はその一年前に比べ七%下がっており 、下げ幅が縮小している。家庭向けには発電容量三キロワットが主流で、その場合、一世帯当たりの購入価格は百六十五万−二 百十万円ほどとなる。

大手住宅メーカーが戸建て住宅とセットで販売する太陽光発電システムの販売価格はすでに値下げ競争も落ち着いた形だ。主要 住宅メーカーの販売価格は一キロワット当たり四十五万−五十三万円(工事費込み)。住宅建築の際に同時に取り付けるため工事 費が抑えられ、システム単体より安く済む。ただ一部の住宅メーカーは「一キロワット当たりの補助金相当額、二万円分を値下 げして、ユーザーには昨年と同水準の価格で提供している」(積水化学工業)と話す。

新エネルギー財団(NEF)の調査では、現在の平均導入費用は一キロワット約六十八万円(工事費込み)と二〇〇〇年度比で約二割 下落した。ただ前年度比はほぼ横ばいで、以前のような低価格競争はあまりみられなくなった。

太陽光パネルに使う多結晶シリコンは急騰している。同シリコンは半導体にも使われており世界的な需要拡大が続いている。シ リコンウエハー向けの内外の取引価格は前年度より二〇%高い一キロ当たり五〇ドル前後だが、太陽電池向けはさらに一〇−三 〇ドル高いとされる。多額の設備投資が必要な増産にシリコンメーカーは慎重で需給は逼迫(ひっぱく)している。

太陽光発電システムを巡っては、ホンダが十九日、低コストの非シリコン系薄膜を利用した太陽電池を二〇〇七年から量産する と発表した。住宅用などにも応用する予定で、低コスト製品の普及が進めば再び値下げ競争が活発になる可能性もある。

2005.12.5
太陽電池・新合金使い安く高出力に

自然エネルギーとして普及する太陽電池を新素材で作る技術が実用化される。従来の高純度シリコンに代わり、銅とインジウム、セレンの合金(CIS素材)を使う。高価な希少金属を使うが、新素材はシリコンの百分の一の厚みで発電できるため使用量は少ない。生産工程も簡素化できるためコストは割安になる。

新素材を使った太陽電池は、昭和シェル石油が二〇〇七年から宮崎県内で、年産二十メガ(メガは百万)ワットの規模で生産する。シリコン型は太陽電池パネルとそれを張り合わせる発電装置を別々に作るため、生産に手間と費用がかかる。CIS素材を使えば両者を一体化でき一貫ラインで生産が可能。当初の生産規模でもシリコンとほぼ同じ価格になる。

高純度のシリコンを作るには大量の電気が必要だ。生産に使うのと同じ量の電気をシリコン太陽電池が発電するには三−四年かかる。これ対し、CIS素材を使った太陽電池は一年強で回収できる。見た目が真っ黒でそのまま屋根材に使える。

普及には性能アップが不可欠。太陽光エネルギーを電気に変換する効率は現在一二−一三%で、一五%近いシリコンより低い。実験では一九%の変換効率が得られているが、二−三マイクロメートルの薄さで均一に素材を塗布する技術が必要。潜在力を生かす生産技術が普及のカギを握る。

 

2005.11.2
新エネルギー表舞台に
導入増え、性能にも磨き

新エネルギーが脚光を浴びている。風力、太陽光などの自然エネルギーによる発電を増やせば、個人の生活スタイルを変えずに地球温暖化対策を進められる。バイオマス(生物資源)から得たエネルギーも温暖化ガスの発生がゼロとみなされ、期待は大きい。原油高で化石燃料に依存する危うさが改めて認識されたことも、新エネルギー導入拡大への機運を高めている。

新エネルギーの代表格である風力発電と太陽光発電が本格普及に向けて動き出した。背景には電力会社に新エネルギーの利用を義務付けた「新エネルギー等電気利用法(RPS法)」(二〇〇三年施行)がある。一〇年までに全販売電力の一・三五%に当たる百二十二億キロワット時を導入するのが目標だ。

Jパワー(電源開発)は福島県郡山市に約百二十億円を投じ、国内最大の風力発電所を建設中だ。出力二千キロワットのドイツ製発電機三十三基を同市内の高原に設置。〇六年末に同発電所が運転を始めると、同社の総出力は現在の十三万キロワットから二十一万キロワットに増える。

東京電力系で最大手のユーラスエナジーホールディングス(東京・港)も〇六年十月までに・北海道稚内市など三カ所に風力発電所を新設する。増強により、出力は全体で現在の約十八万四千キロワットから六五%増の約三十万四千キロワットに拡大する。今後は九州や中国地方でも開発を進める方針だ。

風力発電の立地地域も広がってきた。豊田通商は熊本県小国町と共同で、同県の阿蘇くじゅう国立公園内に風力発電所を建設する。売電用の風力発電所を国立公園内に建設するのは国内初。発電機の色や配置などで景観に配慮する。イオンは総合スーパーやショッピングセンターに、風力発電設備の導入を始めた。エネルギーコストを引き下げる狙いだ。

太陽光発電も存在感を高めている。富士電機システムズは薄型の太陽光発電パネルの量産に乗り出す。約六十億円を投じて熊本県北.部に専用工場を新設し、来年十月に稼働する予定。生産するのはプラスチックフィルム素材のアモルファス系で、薄くて曲げやすく建物の形状に合わせて設置しやすいという。シャープや京セラなど先行メーカーを追い上げる狙いだ。

松下電工は発電量を上げた住宅用太陽光発電システム「サンベスト」の新商品の受注を開始した。「190シリーズ」はシリコン単結晶のパネルを採用することで単位面積当たりの発電量を約二四%向上。「165シリーズ」は三角すい形の屋根向けに、三角パネルと四角パネルを併用し、敷設率を高めて発電量を従来比で約五三%上げた。

大規模な太陽光発電を設置しやすい工場への導入も広がってきた。京セラは滋賀八日市工場(滋賀県東近江市)内に建設した新工場棟の屋根に、太陽光発電システムを設置。三千二百七十平方メートルの屋根に、太陽電池モジュールを二千百枚並べた。同社はすでに京都市内の本社ビルなど国内外四拠点に太陽光発電システムを設置している。

風力発電、太陽光発電ともに課題を抱えているが、原油高で化石燃料に依存する危険性が改めて認識された。自然エネルギーへの期待は今後も高まりそうだ。

 

2005.10.25
シャープ「窓」が発電、夜は照明
三洋電効率21%、世界トップ

太陽電池で世界最大手のシャープは、低コストかつ用途拡大が見込める太陽電池の普及に努めている。原材料となるシリコンの使用量が少なく、建物の窓などに使える薄膜系太陽電池の量産を十月から始めた。原油価格高騰や環境保護意識の高まりなどを追い風に、次世代エネルギーの一角を担う太陽電池の高付加価値商品として販売攻勢をかける。

同社は約二十億円を投じて、葛城工場(奈良県葛城市)に薄膜系太陽電池専用の生産ラインを設置。年十五メガ(メガは百万)ワットの生産を始めた。薄膜系でメガワット級の量産に踏み切るのは業界で初めてという。

薄膜系太陽電池はナノ(ナノは十億分の一)メートルレベルの微粒子にした結晶シリコンの上に非結晶シリコンを重ね合わせた構造。セルと呼ばれる電池の基幹部分の厚さが二マイクロ(マイクロは百万分の一)メートルと現在主流の結晶シリコンを使う製品(結晶系太陽電池)に比べて百分の一の薄さで発電できる。

セルを薄くできることでシリコン使用量を減らせる。変換効率(太陽光を電力に変える効率)は一一%と、非結晶シリコンだけを使う製品に比べ約六割向上させた。

シャープは薄膜系のみの単品販売を手がけるほか、LED(発光ダイオード)と組み合わせた「光る太陽電池」も販売している。昼間に太陽電池で蓄電した電気を使い、夜間はLEDを使って光らせる仕組み。この太陽電池は光を通すシースルー構造。住宅の窓などに設置すれば、昼間は太陽光を室内に取り入れることができ、夜間は室内照明としてLEDの光を活用できるという。

二酸化炭素(CO2)などを排出しない太陽電池は温暖化防止効果が期待できる有力な新エネルギーだが、難点は太陽電池システムの購入費用。発電コストに換算すると一キロワット時が五十円前後と、電力メーカーが供給する家庭用電力料金の二倍以上となる。

太陽電池の原材料となるシリコンは半導体にも使われており、価格はこの一年で二割程度上昇。 原料高に対応しながら製品価格を下げるために、シャープ以外の太陽電池各社も非結晶シリコンを使った薄膜系太陽電池に力を入れている。

三洋電機は変換効率を高めるため、結晶シリコンと非結晶シリコンを組み合わせたハイブリッド型太陽電池の開発に注力している。変換効率が高い太陽電池なら電池パネルの設置枚数が減り、工事費の軽減につながる。ハイブリッド型は結晶シリコンの上下に、非結晶シリコンを挟んだ構造。結晶と非結晶の両方で発電するため、セルの変換効率が今年一月時点で二一・六%(試作機段階)と実験レベルだが、世界最高を実現した。

独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では二〇一〇年までに太陽電池の発電コストを家庭用電力並みに引き下げる計画。太陽電池が国内電力の一角を真に担うためには、今後も低コスト化とデザインの向上という両面作戦が欠かせない。

 

2005.8.3
石綿「情報開示」へ一歩
積水化学、住宅購入者に個別通知

住宅大手の積水化学工業は販売した全戸建て住宅について、アスベスト(石綿)使用の有無を月内にも購入者に個別通知する。健康被害の広がりを背景に、消費者の不安を和らげ、将来の解体の際に役立てるのが狙い。ただ他の住宅大手はホームページでの建材への使用概要公表にとどまるなど、個別使用状況の全容把握には時間がかかりそうだ。

積水化学は鉄骨住宅「セキスイハイム」と木造住宅「ツーユーホーム」について、石綿を含む建材の使 用を図面をもとに調査。全四十万戸のうち約半分に石綿が使われたもようだ。同社は自社製建材の比率 が高く、使用状況が把握しやすい。八月末以降、屋根や内壁材に使っているかどうかの通知書を顧客に発送する。顧客が詳細な使用場所の 確認を求めた場合、リフォーム部門の社員を無償で派遣。修理や解体の際は同社に連絡するよう呼びかける。

最大手の積水ハウスは七月末にホームページで石綿を含む建材名や過去に使った用途を公開。パナホームと旭化成ホームズは今月一日からホームページに石綿を含む建材の全般的な使用状況などを掲載し、切断や解体時に自社の窓口に相談するよう記述している。

今のところ個別通知に動いているのは積水化学だけ。他社は仕入れた膨大な建材の調査に追われているのが現状。住宅建設戸数に占める大手のシェアは一割程度にすぎず、中小工務店などが手掛けた住宅の情報提供にも限界がありそうだ。

 

2005.7.8
地盤・建物の耐震診断
無料サービス 営業現場に導入
積水化学

積水化学工業は邸別耐震診断システム「ユレナ ビ」を開発した。10月にも顧客向け無料サービスとして営業現場に導入する。地盤と建物の耐震診断シミュレーション結果を顧客に提供、必要に応 じて地盤改良工事や建物の設計変更を実施する。安心感を武器に受注成約率を引き上げる。
地盤と建物の両方を組み合わせた耐震診断は珍しい。地盤診断は一般的な『不同沈下の防止」に加え、大地震が発生した場合の地盤震度、揺れの丘上増幅、液状化の可能性も調査する。
シミュレーションと実地調査を併用。有料で地盤改良工事も手がける。
建物は一般的な最弱部位の耐震性判定のほか、想定される地震に応じた各戸の間取り別の揺れを細かく診断する。間取りや家具の配置など、住宅引き渡し後の生活提案まで踏み込む計画だ。積水化学はユレナビの仕組みを対象に特許出願も検討 しているという。
8月からグループ社員の研修を全国で始める。新たに社内資格「耐震診断マスター」も設け、10月のサービス開始までに40人以上の有資格者をそろえる考え。
パソコン画面上で、建築予定地に積水化学の家を建てた場合の耐震シミ ュレーションだけでなく、他社の他工法で建てた場合と、動画表示の比較もできる。住宅を引き渡し済みの自社顧客にも、要望に応じサービスを提供する。

2005.7.5
太陽電池モジュール
出力270w、国内最高(三洋電機)
「両面型」も効率向上

三洋電機は出力270wの太陽電池モジュールを開発した。モジュール1枚当たりの出力としては国内最高で、設置効率の向上につながる。モジュールの裏表を使って発電する「両面発電型」で、発電効率を高めた機種も開発。両機種とも来年1月より欧州を皮切りに順次世界販売する。
開発した「270wHIT太陽電池モジュール」は、セルと呼ぶ太陽電池の基幹部品を従来よりも20枚以上多い96枚並べてモジュール化した。高出力化により200wの従来モジュールに比べて、モジュールを固定するための部材や設置工数を削減できる。
太陽光から電力に変える変換効率も16.2%と高効率化し、モジュール重量を24Kgに抑えた。
両面発電型太陽電池モジュール「新HITダブル」は出力200wで、変換効率を15.8%に高めた。同社の従来機種は出力167w、変換効率14.1%だった。両面発電型はモジュールの裏側に入射する光も電気に変換するため、水平に設置した場合、従来の表面のみで発電するより5%程度発電量が増えるという。

2005.5.27
太陽電池に不具合発生(シャープ)

1999年1月から2001年12月にかけて製造した単結晶タイプの太陽電池モジュールの一部で不具合が発生したと発表した。セル間の接続部のハンダ付けの不具合によるもので、時間の経過とともに発電出力が低下する可能性があるという。同社は点検を実施し、不具合がある場合には無償で修理・交換する。 対象となるのは住宅用の5機種で、システム数は約4200件。設置から約2〜3年経過すると抵抗量が増えて出力低下が起こる可能性がある。3月末までに苦情があった18件の中では10%弱の出力低下も見られたという。

2005.5.11
積水化学の太陽光発電住宅4万戸突破

積水化学工業が販売する太陽光発電システム搭載の戸建て住宅が累計で4万戸を超えた。CO2の削減効果は年間8万トンで、ほぼ東京都世田谷区の広さの森林のCO2吸収量に当たる。2006年末にも累計5万戸を超える見込み。
システムを搭載した戸建て住宅の平均単価は約2800万円(平均延べ床面積137u)
同社が03年4月〜9月に引き渡した約150戸を対象にした調査では、34%の住宅が売電によって光熱費が実質ゼロになったという。年間光熱費は平均25,714円で、発電システムを搭載しない住宅に比べほぼ10分の1に抑えられてるとしている。