なかったもの:電卓 でんたく
とじる

 小学校(しょうがっこう)の算数(さんすう)の授業(じゅぎょう)での計算は筆算(ひっさん=かみにかいてけいさん)か暗算(あんざん)でした。 小学校でもそろばんは習(なら)いましたが、簡単(かんたん)には使(つか)いこなせませんでした。 そろばんがじょうずな人はすごく速(はや)く暗算(あんざん)もできるのですが、たくさんの練習(れんしゅう)が必要(ひつよう)です。

 私が小学生のころは、算数(さんすう)のテストのときの計算も、全て筆算か暗算で計算しました。 今は電卓(でんたく)を使ってもよいことがあるときいて、おどろいたものです。

 当時(とうじ)はいまのような小さな電卓はありませんでした。 もっと大きなコンピュータはありましたが、学校ですらコンピュータを持(も)つことはできませんでした。 コンピュータを置(お)くためには、おおきな部屋(へや)が必要(ひつよう)で、コンピュータを冷(ひ)やすために冷房(れいぼう)しないといけませんでした。 コンピュータそのものの値段(ねだん)も、とてつもなく高(たか)いものでした。

 コンピュータは大きな会社(かいしゃ)や大学(だいがく)、研究所(けんきゅうじょ)などでしか使(つか)えなかったのです。 

 「計算(けいさん)する機械(きかい)」が小さく、安(やす)いものになり、おおくの会社などでつかえるようになったのは 1969年(S.44) です。  日本のシャープが売り出した世界で初めてLSI(えるえすあい=下にせつめいがあります)を使った電卓です。  6桁(けた)の電卓が当時(とうじ)の値段(ねだん)で 10万円ほどでした。

 広(ひろ)く一般(いっぱん)の個人(こじん)まで電卓が使えるようになったのはもっと後(あと)になってからです。

 今はパソコンが使えて、算数の計算のような簡単(かんたん)なことだけではなく、インターネットを使って調(しら)べものまでできるようになっています。 すごく便利(べんり)です。 

 このごろは、またそろばんが人気(にんき)を取りもどしてきているそうです。  そろばんが使えれば、フラッシュ暗算(あんざん)のようにとても速く計算ができ、 頭(あたま)を活発(かっぱつ)にはたらかせることができるということが知られるようになったからでしょう。  でも、フラッシュ暗算の練習(れんしゅう)って、パソコンが問題(もんだい)を出すのですね。 なんかふしぎです。

世界初の電卓と電卓のひろまり

 世界(せかい)ではじめて電卓(でんたく)を売(う)ったのはイギリスの会社で、1962年(S.37) のことだそうです。

 ただ電卓(=電子式卓上計算機(でんししきたくじょうけいさんき))の名のとおり、卓上(たくじょう=つくえのうえ)にのる大きさだったとはいえ、ひとかかえもある大きなものでした。  値段(ねだん)もかなり高価(こうか)であったと考(かんが)えられます。

 現在のように液晶(LCD)(えきしょう)や発光ダイオード(LED)がない時代なので、数字を表示するのに真空管(しんくうかん=電球のようなガラスのくだの中をしんくうにして作られたぶひん)のなかまの「ニキシー菅」(にきしーかん)という部品がつかわれていました。  数字は1けたづつオレンジ色に光ります。

 »» 世界初の電卓「アニタ」の記事   »  ウェブ上にある「ニキシー管」の画像 

 電卓が世の中に広まるきっかけとなったのは、日本のシャープがつくった電卓「QT-8D」で、上にかいたように1969年(S.44) のことでした。

 さらにポケットに入るほどの大きさになってねだんも下がり、ちょっとがんばれば個人(こじん)でも使える電卓がうりだされました。  1972年にカシオ計算機(けいさんき)が発売(はつばい)した「カシオミニ」です。  当時(とうじ)の値段(ねだん)は12,800円でした。(12,800円といっても今よりもかなり価値(かち)が高いです。 たとえば、小田急バスの運賃(うんちん)はは1972年ごろはおとなで30円くらいでしたが、2017年では220円です)  私が高校生のころですが、テレビコマーシャルでながされていた「答一発(こたえいっぱつ)!カシオミニ」というキャッチコピーをよくおぼえています。

»» 参考にさせていただいたウェブサイト: 電卓博物館 Wikipedia

LSI(エルエスアイ)

 LSIとは大規模集積回路(だいきぼしゅうせきかいろ)のことで、英語の Large Scale Integration の頭文字(かしらもじ)をとってつけられた名前です。  これは数ミリから10数ミリメートル四方の小さなシリコンの基板(きばん=でんしかいろをその上に作る板)の上に大量の電子素子(でんしそし=1つ1つのぶひん)を並べて、 目的の機能(きのう)を実現するための電子回路(でんしかいろ)を組み立てたものです。

 基板の上に電子部品を並べるには印刷技術が使われ、直径数十センチの丸い基板の上に一度にたくさんのLSIを作ることができます。 回路ができてから切り離して電極(でんきょく)が付いているケースに収めて部品としています。 大量生産(たいりょうせいさん)が可能なので、おそろしく複雑(ふくざつ)な電卓の電子回路を安く作ることができます。

 今では初期(しょき)の十キログラム以上もあった大きな電卓の機能(きのう)の何万倍もの計算能力(けいさんのうりょく)を持った電子回路を数ミリメートル四方の基板の上に作ることができます。  パソコンの中で計算を行なっている中心部分もこのLSIでできていますし、テレビやデジカメ、スマホなどの中にもLSIが入っていて膨大(ぼうだい=とてもたくさん)な計算を行なっています。

 中につめこまれている電子回路の数によって、VLSI(ぶいえるえすあい=とてもおおきい)、ULSI(ゆーえるえすあい=ちょーおおきい)と分ける言い方もありますが、一般(いっぱん)に LSI ということが多いようです。