なかったもの: パソコン・スマホ
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とじる |
1960年代、パソコンはまだ世の中になく、もちろんインターネットもありませんでした。 スマホ・携帯電話(けいたいでんわ) なんてSF(空想科学小説 くうそうかがくしょうせつ) の世界です。 なにかを調(しら)べたい時(とき)には、知(し)っている人の話(はなし)を聞(き)いたり、図書室(としょしつ)や図書館(としょかん)で新聞(しんぶん)や辞典(じてん)や図鑑(ずかん)など、いろいろな本で調べました。 先生も児童(じどう)も文章(ぶんしょう)を書くときは手で書くしかありません。 日本語(にほんご)のタイプライター「和文(わぶん)タイプライター」はありましたが、だれもが使えるものではありませんでした。 とても値段(ねだん)が高く、使うのにも技術(ぎじゅつ)が必要(ひつよう)でした。 私が大学を卒業(そつぎょう) して仕事を始めてしばらくしてから、やっと「日本語ワードプロセッサ」という文章つくり専門のある種のパソコンを使って日本語の文章を作れるようになりました。 それまでは手書き。 日本語タイプライターの実物(じつぶつ) を見たことはありますが、使ったことはありません。 縦横(たてよこ) にたくさん並んだ活字(かつじ) を1つづつさがして、機械仕掛(きかいじか) けでひろい出し、紙に文字を印刷するというとんでもなく手間がかかる機械でした。 もちろん、作った文章を記憶(きおく) しておく機能(きのう) なんてありません。 似たような文書を作ろうとしても、毎回すべて始めからつくり直しです。 先生が、テストの問題(もんだい)や、児童(じどう)や父兄(ふけい)にくばるプリント1つを作るのも、現在(げんざい)よりもずっと、ずっとたいへんでした。 |
スマホ、もしくは携帯電話(けいたいでんわ)もありませんでした。 もちろん電子(でんし)メールもSNS(エスエヌエス=ツイッター、ラインなど)もありません。 学校(がっこう)から児童・父兄(じどう・ふけい)への急(いそ)ぎの連絡(れんらく)は、固定電話(こていでんわ)でした。 先生が最初(さいしょ)に数人(すうにん)の児童(じどう)の家(いえ)に電話(でんわ)をかけて連絡(れんらく)をつたえると、それぞれの家からあらかじめ決(き)めておいた順番(じゅんばん)で次の家に電話で連絡をつたえます。 これをくりかえしてクラス全員(ぜんいん)の家に連絡をする「連絡網(れんらくもう)」をつかっていました。 それでも、まだ固定電話が全(すべ)ての家(いえ)にあるというわけではありません。 あらかじめ、児童の家の近(ちか)くの電話がある家(いえ)におねがいをしておいて、そこに電話をして、児童の家の人を呼(よ)び出してもらう、なんていう手間(てま)のかかることもしていました。 現在のようにスマホやパソコンから個人情報(こじんじょうほう) が盗(ぬす) まれて、詐欺(さぎ) などに悪用される心配はありませんでした。 しかし、すべての先生と児童の住所・氏名・電話番号は一覧表(いちらんひょう) として、印刷されてクラス内に配られていたので、ある意味では個人情報ダダ漏(も) れ。 ところが、個人情報を盗んで悪いことに使おうという人が少なかったためか、大きな事件があったとはおぼえていません。 この記事を初めて書いた2010年には、たしか「スマホ」ということばはあまり広くは知られていなかったと思います。「携帯電話」とか「ケータイ」というのが普通だったような。 それが、今や電話をするのよりインターネットにつないでなにかをするスマホがあたりまえになりました。 この世界の進歩は速い! (2020-08) |