あったもの:テレビ
とじる
2017-07-30: 内容を追加しました。

 うごく絵(え)、動画(どうが)を見るには、テレビ放送(ほうそう)か映画(えいが)しかありませんでした。  それも、DVD(でぃーぶいでぃー)どころかビデオテープさえもありませんでした。  テレビの教育放送(きょういくほうそう)は、放送(ほうそう)されているその時(とき)に見ることしかできませんでした。  家庭(かてい)でも学校でも録画(ろくが)する方法(ほうほう)がなかったのです。

 テレビはまだ絵に色がついていない白黒(しろくろ)テレビでした。  テレビの中味は、1つが大人の親指(おやゆび)くらいの大きさの真空管という部品を使った電子回路(でんしかいろ)でした。  真空管は暖(あたため)めないと動かないので、 電気を入れると白熱電球(はくねつでんきゅう;わずかにだいだい色がまじった白色で、熱くなるでんきゅう)のように赤く光ります。   暖めるのに時間がかかるのでスイッチを入れてから絵が出てくるまで1〜2分くらいかかりました。 その後、真空管と同じはたらきの電子部品は「トランジスタ」「IC(アイシー)」「LSI(エルエスアイ)」と進化して 現在になっています。

 当時(とうじ)の百合小の各教室(かくきょうしつ)にはテレビはなかったと思います。  そのころからNHK(えぬえいちけー)では授業(じゅぎょう)に使える番組(ばんぐみ)を毎日(まいにち)やっていました。  クラスのみんなでテレビのある部屋(へや)に移動(いどう)して見ることはあったとおもうのですが、私の記憶(きおく)には残(のこ)っていません。 

 録画機(ろくがき)がないのでテレビ放送を学校や個人で録画することはできませんでした。  その後、私が中学校に入ったころに、やっとビデオテープが学校で使えるようになりました。  そのころのビデオテープは包帯(ほうたい)みたいに幅(はば)の広いもので、 ビデオの機械(きかい)も重くて大きく、とても高価(こうか)なものでした。  そのようなビデオ機械は、中学校の時にはテレビの録画よりもおもに校内放送とか修学旅行(しゅうがくりょこう)の記録に使っていました。

 放送局では徐々にビデオテープの使用が始まっていましたが、テレビドラマなどは映画フィルムで撮影して、 それをテレビ放送形式に変えて放送していました。 
(ビデオだと画面が明るすぎてドラマの絵に向かないからと、ビデオテープが普及(ふきゅう)してからも長く映画フィルムを使っていたという話もあります)

 テレビではありませんが、家庭用の映画撮影・上映用(えいがさつえい・じょうえいよう)の機械もありました。  「8ミリ映画」という8ミリメートル幅の撮影フィルムを使う機械です。  (撮影用(さつえいよう)カメラと上映用(じょうえいよう)の映写機(えいしゃき)のセット)

 ねだんが高いものだったので、ちょっとしたお金持ちの家にしかなかったと思います。  今のビデオカメラのように家族の記録に使われていました。  フィルム1本で数分(すうふん)しか撮影できなかったようにおぼえています。  そして画像(がぞう)のみで音は記録(きろく)できませんでした。

 私のご近所(きんじょ)に、おうちにこれがあるともだちがいて映写(えいしゃ)を見せてもらったことがあります。  こどものいたずらで、結婚式(けっこんしき)のフィルムを逆回し(ぎゃくまわし)にしてあそんでいました。

»  ウェブ上にある「8ミリカメラと映写機」の画像 
「8ミリカメラ」は手でもてる大きさ、「映写機」はつくえなどの台においてつかう

 おまけのはなし

今テレビはデジタル放送(ほうそう)に変(か)わってきています。  さて、おわりつつある地上波(ちじょうは)アナログ放送は、日本では1953年(S.28)にはじまりました。  そして、それはとてもすごい技術(ぎじゅつ)だったのです。 というのは、当時(とうじ)のテレビ受像機(じゅぞうき)で現在もちゃんとはたらくものがあれば、今のアナログ地上波放送を見ることができるのです。

最初(さいしょ)は色(いろ)がついていない白黒(しろくろ)の放送だったものが、色がついたカラー放送になり、音(おと)がステレオや二カ国語(にかこくご)になりました。  あまり知(し)られてはいませんでしたが、同じアナログ放送(ほうそう)でもより細(こま)かいところまで映(うつ)し出し、くわえて、ゴーストといわれる二重写(にじゅううつり)をふせぐ技術(ぎじゅつ)も使われていました。

このように、アナログ放送は新(あたら)しい技術(ぎじゅつ)をつくりだしながら進歩(しんぽ)してきました。  しかし、基本(きほん)の絵(え)と音(おと)を送(おくる)る方法(ほうほう)は最初(さいしょ)から同(おな)じなのです。  ですから、カラー放送が始まった時(とき)も、ステレオ放送が始まった時も、私たちはテレビを買(か)いかえなくとも今までどおりの絵と音は見たり聞(き)いたりできたのです。

2011年(H.23)には地上波アナログ放送(ちじょうはあなろぐほうそう)が終了(しゅうりょう)するという予定(よてい)になっています。  しかし、こんどは今までアナログ放送を見ていた人は新(あたら)しいテレビまたはチューナー、そしてデジタル放送用のアンテナを買(か)わないとテレビが見られなくなります。

技術(ぎじゅつ)を進歩(しんぽ)させながら、同じテレビで50年以上もずっと見ることができたアナログ放送は、最初(さいしょ)からとてもすごい技術だったのです。

文章作成: 2010年7月

【チューナー】
[ちゅーなー]
テレビの機械(きかい)の中味(なかみ)は放送を受(う)けている部分(ぶぶん)と、絵(え)を写(うつす)す部分に分けられます。この放送を受けている部分をチューナーといいます。たとえば、ビデオやHDレコーダーの中にもこのチューナーが入っています。