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<独学簿記無手勝流>


Update 2014.09.25

はじめに


  伝票のヤマの前で何やら、細かい記帳と計算をしている経理の人たち。
  ..いやもっとメンドなのは、
    役員会議で部門ごとに読み上げる予算と実績。
  とにかく、とっつきにくく、
    もう終わってしまったことなのに、眠いのに..。
  しかし財務諸表をみて、経営分析のひとつもできなければ一人前の
    ビジネスマンとは言えません。
  まして、自営業者や自由業者のように独立自営している方々は経理を
    おろそかにはできません。
  食わず嫌いの苦手の経理も、最初は、簿記のルールの理解から。
  そんな訳で、かつて疎かった私が、同じ思いの人達にとこんな頁を設けて
    みました。

■簿記が面白くなる時期
  取引の二面性が理解できた時期。
  仕訳記帳の前後の動きをつかんだ時期。
  決算整理が自分でできた時期。(簿記が最高に面白い時期?)

■簿記が面白くなくなる時期
  工業簿記の原価計算の煩雑さ。
    克服法:身近な業種をひとつ攻略。(~製造業/建設業/…)
 
  会社法を知らないうえに法人勘定の親近感のなさ。
    克服法:株式会社決算書の形式と勘定科目を理解。

■簿記・経理の目的
  税申告のため     → 税金を意識した経理
  人に見せるため    → 財務内容を正確に表現
              (兼業按分,自家消費・事業主貸借)
  事業を起こすため   → 収支見積もり、資金の手当て
              (借入金返済計画)
  事業を継続するため  → 資金繰り、目的別原価管理
              (売価決定,原価低減,売上計画)
  事業を発展させるため → 経理の質的向上、意思決定支援

【関連リンク】
  1.個人事業者の経理
  2.日本一わかりやすい簿記の授業[単行本](下見可能)
  3.これならわかる簿記・経理─絵とき版[単行本]

簿記実務


個人事務所の超簡便な簿記実務
  理論より、実務をこなすコツを覚えて慣れてしまう。
  業種に合った科目の各種集計表から財務諸表/確定申告書の作成も可能。
    経費合計表、売上集計表
    減価償却、振替処理

青色申告用の簡易帳簿
  最も簡単な方法(仕入がない場合)
    売上・経費 → 科目集計表 → 損益計算書
    データ入力~科目集計は表計算ソフト(EXCEL 等)が超便利で超簡単!
    現預残高計算、償却資産の計算 → 貸借対照表
  現金式簡易帳簿(掛取引ある場合)
    仕入・売上・経費 ─┬→ 科目集計表 → 損益計算書
    掛仕入・掛売上  ─┘
    現預残高計算、償却資産の計算 → 貸借対照表
  簡易帳簿(国税庁指導、一般小売業対象)
    必須帳簿:現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳
    任意帳簿:預金出納帳、手形記入帳、債権債務記入帳
    原価計算を含む損益計算書、棚卸表等から資産負債調
    (=貸借対照表)の作成
    元入金・現預金・売掛買掛・商品・償却資産・事業主貸借・純損益→
    貸借対照表
  現金出納帳
●現金限定の出納帳
日付科目 摘要収入支出差引
残高
●掛取引含む出納帳
日付科目 摘要入金出金現金
残高
現金売上その他現金仕入その他
●現金主義簡易帳簿
日付科目 摘要入金出金現金
残高
売上その他仕入経費その他
現金現金以外現金現金現金以外現金現金以外現金

本格的で最小限の帳簿
  主要簿:(仕入・売上・経費の仕訳記入)→仕訳帳→(元帳転記)→総勘定元帳
    実務はコンピュータに仕訳データを入力すれば、元帳作成・残高計算は
    自動処理!
  補助簿:小口現金出納帳

記帳の源泉
  売上は相手に交付した領収証の自分の控で。
  経費は原始証憑(相手から交付を受けた領収書)・預金通帳で。
  振替は決算整理時で間に合う。

記帳の道具・記帳の程度
  公共料金もそれ以外も可能な限り口座引落しを利用。
  原始証憑を貼り付ける、勘定科目毎の台紙数枚(裏紙で十分)のホチキス
       止め。
  出金伝票、インデックス、出金伝票ファイルを買ってくる。
       最も簡便な方法:原始証憑の科目別集計でやる場合、出金伝票
         は不要
  パソコンを利用した仕訳記帳ツールの導入で計算の省略。
   ご参考:①JDL IBEX出納帳Major(無料!)
       ②パソコンで会計・経理を始める(13,000円)
  白色申告:貸借対照表を作らない、複式簿記によらない。
       借方・貸方を意識しない科目加減集計
  青色申告:貸借対照表を作る、  複式簿記による。
       借方・貸方を峻別させて科目加算集計
       借方科目は、
         加算取引は借方仕訳集計、
         減算取引は貸方仕訳集計
         (借方+|貸方+)→(残高=借方-貸方)
       貸方科目は、
         加算取引は貸方仕訳集計、
         減算取引は借方仕訳集計
         (貸方+|借方+)→(残高=貸方-借方)
       科目が借方か貸方かで、
         取引により借方・貸方に仕訳して双方加算集計後、
       科目が借方か貸方かで、
         「最後に」所属の一方に加減算して残高に1本化
       複式簿記と言うと難しそうに思えますが、
       借方に置かれる科目なら仕訳は加算は借方、
       減算は(せずに)貸方で、貸方に置かれる場合は逆だけのこと。
       こうすることにより仕訳中は加算だけとし、
       科目残高の計算時に減算する。

  一定額以上の有形固定資産がない:減価償却(の計算)がない

採用勘定科目の決定
  個々の勘定科目の理解。
  主な勘定科目
  貸借対照表用:資産=負債+資本
    資産:現金、預金、売掛金
    負債:買掛金、未払金、借入金
    資本:元入金(開業資金・繰越)、
       事業主借(親族から運転資金拠出など)
  損益計算書用:収益-費用=純利益
    費用:経費(租税公課、福利厚生費、旅費交通費、消耗品費など)
    収益:売上、雑収入
  勘定科目相互の上下関係の理解
  最上位科目--->大科目----->中科目----->小科目
    資産   流動資産  現預金   当座預金
    負債   固定負債        長期借入金
  必要な勘定科目の絞り込み。
  必要な経費科目の選定
  利益の4階層の要否と必要な上位科目
  売上総利益=売上-売上原価    (工事原価又は製造原価を含む)
  営業利益 =売上総利益-経費   (減価償却費を含む販売一般管理費)
  経常利益 =営業利益 ±営業外損益(受取利息(+)、支払利息(-)など)
  純利益  =経常利益 ±特別損益 (通常はない資産売却損益(±)など)
                ┌────純利益────┐
                |           │
            ┌──経常利益──┐      │
            |        │      |
        ┌─営業利益─┐     │      │
        |      │     |      |
     ┌売上総利益┐   │     │      │
     |     |   |     │      |
 純利益=売上 - 売上原価 - 経費 + 営業外損益 + 特別損益
         工事原価
         製造原価
  粗利(売上総利益)の計算に必要な上位科目
  建設業(工事原価表):粗利益=売上-完成工事原価
                   (材料費+労務費+外注費+経費)
  製造業(製造原価表):粗利益=売上-製造原価
                   (材料費+労務費+経費)
  小売業(売上原価表):粗利益=売上-売上原価
                   (期首商品+仕入-期末商品+経費)
  自由業(原価計算略):粗利益=売上-原価
                   (経費)
  営業外損益=+営業外収益-営業外損失
  特別損益 =+特別利益-特別損失

記帳の方法
  様々な大きさ・形式の原始証憑のヤマから一刻も早く離れる。
  原始証憑(相手から交付を受けた領収書)は出金伝票の起票で標準化。
  原始証憑が少なかったり、定型が多ければ出金伝票を使わず原始証憑
    で科目集計
  出金伝票は科目毎に分類して日付順に整理。(決算が終わればゴミ?)
  原始証憑の分類と台紙貼り付け、保管(十年は保管する)。

  仕訳記帳は現金出納と預金出納の2種。
    手計算の場合は、
    ①科目毎に分類済みの出金伝票の科目合計算出
    ②預金通帳は科目毎に年度集計
     (水道光熱費=各月電気代と各月水道代の年間計など)
    ③売上は必要な管理項目別に合計算出(月次・年間)
  現金出納の仕訳記帳(パソコン入力)
    出金伝票等から出金仕訳(借方:経費科目、貸方:現金)。
    売上領収証から入金仕訳(借方:現金、貸方:得意先/品目/月日別)。
     多品目・不定顧客などにより、
       簡易売上集計しないなら月別売上集計のみ。
     簡易売上集計するなら下記など。
       多品目・固定顧客なら得意先別
       少品目・不定顧客なら品目別
    家計支出(事業主貸)は専用のメモ帳に記録。
    個人立替(事業主借)は入金伝票か預金通帳記帳から。

  預金出納の仕訳記帳(パソコン入力)
    口座引き落とし分の出金仕訳預金通帳から。
    預金の出し入れ分の振替仕訳預金通帳から。

記帳の頻度
  たまったら:出金伝票起票は原始証憑から。
  月次か年次:現金出納は出金伝票から、預金出納は預金通帳から、
        売上は領収証から。

営業年度で科目集計
  (青色:複式簿記で加算、白色:定型書式を定めて記入と計算のみ)
  勘定科目間の上下関係で集約すれば、
  自動的に試算表や財務諸表が作成できる。
  (下位科目額は上位科目に反映
  どの表かは合計項目や科目並びの体裁の違い)
  現金は貸借対照表の借方科目であるから、期末迄の取引が下記であれば、
取引摘要残高
取引1お金を借りた現金が増加
取引2現金で筆記具を買った現金が減少
取引3現金売上があった現金が増加
取引4お金を返した現金が減少
  投げて(右手=貸方)、受ける(左手=借方)のが仕訳のルール
  仕訳1:借金を投げて(右手)、現金を受けた(左手)
  仕訳2:現金を投げて(右手)、事務用品を受けた(左手)
  仕訳3:売上を投げて(右手)、現金を受けた(左手)
  仕訳4:現金を投げて(右手)、借金を受けた(左手)
仕訳借方貸方
仕訳1現金1借入金①
仕訳2事務用品費現金2
仕訳3現金3売上
仕訳4借入金②現金4
  現金と借入金だけ、借方・貸方の集計をしてみると、
借方残高借方科目貸方貸方残高
借方-貸方現金1+3現 金(資産)現金2+4
借入金②借入金(負債)借入金①貸方-借方
  期末借方現金残高=期首現金-仕訳1貸方現金+仕訳2借方現金
     … 残高は取引毎
    元の科目に個々の取引1件毎に加減算しながら残高を計算しても、
  期末借方現金残高=期首現金-貸方現金合計+借方現金合計
     … 残高は合計時
    科目毎に借方貸方集計後、科目残高の計算で一方に加減算しても、
  結果は同じ!
  全科目について借方合計・貸方合計・差引残高を一覧作成したものが
  合計残高試算表
であり、科目毎の借方貸方一致確認が可能な表である。
  (不一致は仕訳誤りで、修正が必要)
  試算表に決算整理記入後、必要な科目残高を抽出すれば財務諸表の完成
  (精算表省略)

有形固定資産の減価償却計算
  定額法か定率法で、当期償却額の計算、期末簿価が出る。
  旧定額法:当期償却額=(取得価額-残存価額)×償却率
             (1÷耐用年数:国税庁の表から)
  旧定率法:当期償却額=前期期末簿価×償却率
             (国税庁の表から)
  残存価額は、取得価額の10%
       (5%迄可:下記償却可能限度額の項を参照)
  計算上は、当期期末簿価=前期期末簿価-当期償却額
       取得時の前期期末簿価は取得価額、
       期中取得は年額の月割計算等
  表記上は、当期期末簿価=取得価額-減価償却累計額
       各期の当期償却額の累計≦償却可能限度額
  償却可能限度額とは、簿価が残存価額を下回った後もその額に達する迄
       償却することが税法により認めれられている資産の種類毎の
       減価償却の上限額のことで、95%の場合、償却最終年度の
       期末簿価が残存価額の半分になるまで償却可能となる
  平成19年度の法人の減価償却制度の改正
  (平成24年4月1日以後の分の改正もあり)
  平成19年4月1日以後に取得をした減価償却資産については償却可能限度
  額及び残存価額が廃止され、耐用年数経過時に残存簿価1円まで償却でき
  るようになるとともに新たな償却方法として従前における計算の仕組み
  とは異なる定額法や定率法などが導入されました。

振替処理で済ませられる主なもの
  事業主借(事業主等が事業に現金を補充)
  事業主貸(現金を引出して生活費に充当)
  当期減価償却額(費用)の資産別償却累計額への加算。
   (取得価額からの償却累計額であり、差が期末簿価)
  預金引き出しと預け入れ。

次期元入金(資本金)の計算
  次期期首元入金=当期期末元入金
         =当期期首元入金+所得金額+事業主借-事業主貸
  所得金額=資産合計-(利益加算前の)負債資本合計
         =売上合計-経費合計=利益(損失)

財務諸表の作成
  (勘定科目間の上下関係で再度の集計)
その他
  (消費税納税額の集計)
  (仕訳日記帳・月次売上集計表・固定資産台帳の作成)

簿記と経理


記帳と財務管理の目的
  簿記は経理の土台である記帳のルール(仕訳ネットワーク)
  経理はお金の勘定と管理をする仕事 (会計システム)
  簿記→経理・資金管理→事業再構築 (事業コントロール)

財務諸表は2表
  財務諸表の発生の経緯→最初は貸借対照表だけ
  貸借対照表とは、原因(資本)→結果(資産)に区分したお金の一覧表である
  掛取引があると、原因(負債)→結果(資産)の区分
               (後日支払時、負債は消滅、現金資産減少)
貸借対照表
資 産資 本
現 金資本金
商 品利 益
B/Sはストック
  取引が大量になると→毎度の商品・利益の計上が面倒になる
  資産・資本にない、売上・仕入・経費という科目の発生と
    試算表・損益計算書の出現
  売上=商品の減少と現金・利益の増加原因、仕入=商品の増加原因、
    経費=現金の減少原因
  損益計算書とは、貸借対照表の利益発生の経過を説明する内訳明細表である
損益計算書
原価仕 入売 上
経 費
利 益
P/Lはフロー

簿記の5勘定グループ
  貸借対照表:資産、負債・資本
    貸借対照表の等式:資産=負債+資本
  損益計算書:収益、費用、純利益
    損益計算書の等式:収益-費用=純利益
    収益=売上-仕入(原価)、費用=経費

仕訳・記帳・計算
  取引を2表、5勘定グループに仕訳する。
  決算時、必要な整理仕訳を含めた種々の振替後、
    下位科目の上位科目への加算集計。
    整理仕訳例:期首・期末商品→仕入、
          未収・未払や前受・前払の今期→翌期
    下位上位例:現金→流動資産→資産合計、
          減価償却費→減価償却累計額
  純損益の計算
    法人:純利益=売上-原価-経費+営業外損益+特別損益
    個人:純利益=売上-原価-経費+営業外損益

貸借対照表
  左が借方、右が貸方
  資産は借方(左)、負債・資本は貸方(右)

損益計算書
  費用が借方(左)、収益が貸方(右)
  実際は、収益・費用・純利益の順に書き下して見やすくしている。
    勘定式(借方貸方) → 報告式(書き下し)が一般的

仕訳と財務諸表の関係
  仕訳は2表・5グループ間の移動を記す。
  2表間の貸借バランス例:売上
    損益計算書(貸方)収益        が増えると、
    損益計算書(借方)純利益が      その分増える
    貸借対照表(借方)資本の純利益が   その分増える
    貸借対照表(貸方)資産の現金が    その分増える
  仕訳のTフォームはネットワーク網。
  仕訳は、左が(仕訳上の)借方、右が(仕訳上の)貸方。
  同一の表間と異なる表間の科目仕訳がある。
    どちらも行き先の借方・貸方と仕訳の借方・貸方は別々。

  送り出し元の仕訳はいつも、右から出て、左に入る。
    覚え方:右手で投げて、左手で受ける。
     右手:仕訳の貸方科目、投げる:行き先科目に加減算
     左手:仕訳の借方科目、受ける:行き先科目に加減算
  仕訳の貸方科目で行き先科目の可減算、
  仕訳の借方科目で行き先科目に加減算
    行き先科目と借方・貸方が同方の仕訳科目は加算
    行き先科目と借方・貸方が相方の仕訳科目は減算

  現金でパソコンを買う→現金が出て(貸方)パソコン(備品)が入る(借方)
  現金の行き先科目は借方:貸方仕訳記入によって現金が減る(相方減算)
  備品の行き先科目も借方:借方仕訳記入によって備品が増える(同方加算)
  行き先の財務諸表に現れる科目は、借方か貸方かは固定
    左右とも行先と同じなら、左右科目とも増える。
    左右とも行先と逆なら、左右科目とも減る。
    一方だけ同じで他方が異なれば、同じ方が増えて、異なる方が減る。

  整理すると、下表のとおり。(A・Bは科目名、金額はA・B同額)
  実務は1回の仕訳で左右とも1科目とは限らないが、双方1科目として
仕訳財務諸表(前)財務諸表(後)
借方貸方借方貸方借方貸方
A増B増
B減A減
A・BB減A増
A・BA減B増
  実際は、仕訳中は各仕訳科目の貸方・借方のまま別々に加算継続(減算せず)
  つまり、現金(借方)、現金(貸方)、は貸借側各々で加算継続、最後に
    行き先科目と同方の仕訳科目合計は行き先科目に加算
    行き先科目と相方の仕訳科目合計は行き先科目に減算
  こうして、行き先科目だけ残り、仕訳科目は消滅する

  借方間の仕訳
  現金でパソコン(備品=資産)を購入した。
  貸借対照表の現金(借方)が(貸方仕訳で)減って(出て)、
  貸借対照表の備品(借方)が(借方仕訳で)増えた(入る)。
  仕訳後の現金(借方)=仕訳前の現金(借方)
            +借方仕訳の現金合計(行き先と同方は加算)
            -貸方仕訳の現金合計(行き先と相方は減算)
備品現金
120,000120,000

    仕訳前の貸借対照表
現金  500,000資本  500,000
備品     0
借方  500,000貸方  500,000

    仕訳後の貸借対照表
現金  380,000資本  500,000
備品  120,000
借方  500,000貸方  500,000

  借方・貸方間の仕訳(同一の表間)
  投資して事業を開始。(左右とも行先と同じ)
  貸借対照表の貸方の資本が増えて、借方の現金が増えた。
現金資本
500,000500,000

  借入金を現金で返済した。(左右とも行先と逆)
  貸借対照表借方の現金が減って、貸方の借入金も減った。
借入金現金
150,000150,000

  借方・貸方間の仕訳(異なる表間)
  商品を売上げて現金収入があった。
  商品が出たので貸方に売上。
  販売目的で商品が出たので、
  損益計算書の貸方にある売上が増えた。
  貸借対照表の借方に現金が入る(現金)
現金売上
8,0008,000

  電話代の口座引落しがあった。
  預金が出たので貸方に預金。
  通信費の名目で借方に経費を計上。
通信費預金
6,0006,000

  貸方間の仕訳
  借入金の返済の代わりに会社増資を引き受けてもらう。
  貸借対照表の貸方の借入金が減り、
  貸借対照表貸方の資本が増えた。
借入金資本
300,000300,000

振替伝票のTフォームで全て仕訳できる
  その意味で出金伝票を使わないで、振替伝票で一本化も可能だが、
    スペースの関係で出金は出金伝票を使った方が便利。
    (出金の貸方は常に現金であるので書かず借方の科目だけを書くので)
  素人向けの便利会計ソフトの常套文句、「勘定科目」を知らなくても!?
    「知らなくとも」は記帳の上だけの話であって、知らなければ簿記も
    経理もわからない
    振替伝票ひとつで決算整理時の損益調整等もスイスイできる人こそ
    素晴らしいのだ!

仕訳の理解のコツ
  科目が財務諸表の借方か貸方かは固定なので(中科目までは全部)覚える
    財務諸表の借方:行き先が左側→借方仕訳で加算、貸方仕訳で減算
    財務諸表の貸方:行き先が右側→貸方仕訳で加算、借方仕訳で減算

  取引の二面性に着目(今迄隠れていた当然事実の現出と区別)
    モノの動きとお金の動き
    勘定科目間のお金の動き

  似たような科目の区別
    売掛金、未収金(営業取引か営業外取引か)
    買掛金、未払金(同上)
    前払金、前受金(商品売買)
    未収金、未払金(商品以外の売買)
    立替金、預り金(一時的)
    仮払金、仮受金(科目不明期間中)
    前払費用、未収収益(ともに資産)
    前受収益、未払費用(ともに負債)

  同じ科目の別名の把握
    完成工事未収入金=売掛金
    未成工事支出金=仕掛品
    工事未払金=買掛金

  営業費用と製造費用の峻別
    人件費:従業員給料、労務費(労務外注費を含む)
    外注費:事務外注費、製造外注費(又は工事外注費)
    経費:販売一般管理費、製造経費(又は工事経費)

  代表的取引の仕訳のマスター
    特に1回の仕訳で借方か貸方が2科目の場合
  決算整理時の仕訳のマスター
  繰越商品の期末整理:前期繰越商品+仕入-期末棚卸高(次期繰越商品)
            =売上原価算出
            年末に商品の棚卸高を調べて
            本年中の払出額(売上原価等)を計算
  費用収益の損益整理:前払費用・前受収益への繰延べと、
            未払費用・未収収益への見越
            繰延べ分:本年分から除外される翌年分
                 (本年から翌年分を除外)
            見越し分:翌年分から除外される本年分
                 (翌年では前年分を除外)
  売掛金の貸倒引当、有価証券の評価替え、
            減価償却費の減価償却累計額への加算

科目の上位下位関係
  資産=流動資産+固定資産
  流動資産=現金、預金、売掛金、仕掛品、その他
  固定資産=土地、建物、器具・備品、機械・運搬具
  各固定資産(期末簿価)=取得価額-減価償却累計額
  当期期末簿価=前期期末簿価-当期償却額、と同じ
  減価償却累計額=毎期の償却額の合計額

  負債=流動負債+固定負債
  流動負債=買掛金、短期借入金
  固定負債=長期借入金

  収益=売上(+営業外収益等)-費用
  費用=売上原価又は製造原価+販売一般管理費(+営業外費用等)
  売上原価=(期首商品+仕入-期末商品):商業簿記のたな卸
  製造原価=(材料費+労務費+外注費+現場経費):工業簿記の原価計算
  販売一般管理費=給料、法定福利費、福利厚生費、旅費交通費、通信費、
  修繕維持費、交際費、広告宣伝費、水道光熱費、地代家賃、
  減価償却費、租税公課、保険料、事務用品費、消耗品費、諸会費、
  新聞図書費、雑費、・・・

補助簿:あると、記帳や管理に便利な帳簿
  小口現金出納帳、固定資産管理台帳、売掛帳、その他。

損益分岐点
  総売上-総費用=ゼロ、が成り立つときの売上高を損益分岐点と言う
  総費用=固定費+変動費
  売上高に対する変動費の割合(変動費率)と固定費の2つが分かれば算出
    できる
  変動費率=変動費÷売上高
  損益分岐点=固定費÷(1-変動費率)

余談


 小生、50に手が届く年になってから簿記を勉強して3級を受験、無事合格しました。
試験会場はどの教室も商業高校の女生徒ばかり。50前後のオッサンは私くらい。
合格発表の商工会議所で、合格番号表を見ていたら、
商工会から出てきた中年の男性2人の会話。
「おっ、これなに?」「簿記の発表でしょ?」「んー?、このコンピュータ時代に簿記かよ。
ソフトがやってくれんじゃないの?」と、2人でハハハと高笑い。
(こっちは仕事の関係で勉強してんだ。笑うなーー!)
ま、おかげでC言語で青色申告用の決算処理のソフトが自作でき、
今に至っても愛用しております。
結局、簿記の勉強とは簿記の仕組み(実務的にはひいては会計ソフトの仕組み)
を知ることであり、転記、集計、決算書作成という一連の作業を人がする時代はとっくの
昔に終わっていることは確か。

HP作成者:

中村三郎

,船橋市咲が丘