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<契約書の形式>


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Update 2014.01.09
契約書の作成 契約の成立要件

はじめに


【契約の基本原則と法律要件】
  契約自由の原則←権利濫用禁止の原則や信義誠実の原則による修正
  信義誠実の原則:禁反言の原則、クリーンハンズの原則、事情変更の原則、権利失効の原則
  契約の成立要件:意思の合致(当事者・目的・意思表示)申込と承諾以外の形式を要しない
  客観的有効要件:内容確定、実現可能、適法、公序良俗(社会的妥当性)
  主観的有効要件:意思と表示の瑕疵なき一致、行為能力
  契約の効力発生要件:停止条件の成就、期限の到来(始期)
  契約の効果帰属要件:処分権の存在、代理権の存在

【契約成立の効果】
  契約の有効な成立により契約は契約当事者を拘束し、内容に従う履行・不履行責任を負う
  ※契約書の作成は「契約の成立要件」ではなく、契約事実と契約内容の証拠である

【書類を作成した方がよい契約】
  1.法律で書面交付義務ある契約‥‥宅建業法、建設業法、農地法、特商法、割賦販売法等
  2.注文(仕様や条件)のある契約‥‥請負契約(建築・製造)
  3.高額な契約、期間が長い契約‥‥不動産・自動車、割賦・リース、終身契約
  4.不代替的契約、代理人と契約‥‥芸術創作契約、仲介契約
  5.当事者の多い契約、専属契約‥‥共同事業、親族との契約、タレント契約
  6.遠隔地間の契約、非典型契約‥‥産地と消費者、共同根抵当
  7.要点の明確化や証拠を残す為‥‥トラブル防止、和解契約、貸金、立替払い

【契約書に法律用語が用いられる理由】
  契約とは双方が守って欲しい約束事→契約書には守られるべき約束を書く
                  ∴法律違反の約束は守らなくともよい
  約束は法律を無視して決められない→法律用語の誤解や誤用は紛争のもと
                  ∴約束事は法律用語で正確に書き残す
  約束を果たすべき信義則は双方適用→約束違反の責任追求は契約書が頼り
                  ∴紛争の公権力による解決は法律適用
  法律用語は簡潔な表現で意味を峻別
  契約内容の正確かつ精緻な記載が解釈の疑義や無用なトラブルを予防する

契約書の作成


  1. 作成理由(契約事実、契約内容)
    1. 契約書は、後日の紛争を防ぐため「契約事実と契約内容の証拠」として作成する。
    2. 取消を防ぐ目的や特別な法律で契約書の作成を求めている場合は、口頭より有効。
    3. 形式が大事、と言っても形式上の軽微な欠陥による契約書の有効性危惧よりも
      契約成立の証拠としての価値を決める形式が重要。(契約内容の吟味をする前提)
    4. 書証は証拠の王様、大切に保管すべし(有効期間は当然、終了後もしばらく)
         契約内容より契約事実を証拠立てれば良いのであれば、必要最小限
         を盛った借用証の全文を相手に「手書き」してもらい、「拇印」を
         押してもらっても、相手に貸したと言う事実の証拠になると言える。
         ←書証が「自筆」で押印が「指紋」という動かぬ証拠、形式の自由。
    5. 信頼ある双方でも、忘れないために約束事を書き残すことが信頼の維持に役立つ。
  2. 基本形式(契約当事者、契約の趣旨、契約の要件) … 契約事実の証拠
    1. 当事者の表示       … 当事者:[誰と誰]        ← 契約の相手
    2. 契約の目的と目的物の表示 … 目的物:[不動産]、目的:[売買] ← 契約の対象
    3. 契約成立の内容      … 条 件:[引渡日・代金・支払日] ← 契約の内容
    4. 契印(複葉のとき必須)、割印(複通のとき任意)
    5. 作成日付
    6. 作成名義と捺印
  3. 詳細形式(基本形式+条件:履行・不履行) … 契約事実と契約内容の証拠
    1. 表題:内容を包含する必要十分な表題(契約種類の特定+弾力的表現)
         場合によって名を捨て実を取る(念書・覚書等、ソフトな表題)
    2. 前文:誰と誰が以下のとおり契約するのか
            契約の相手:誰と誰が
         簡略形→誰と誰が何を約するのか、として契約の目的と目的物をも含める
            契約の相手+契約の対象
    3. 本文(目的と約定が必須、以下は選択)
        -必須-
      1. 目的:契約の目的物(別記でもよい)をもって何の実現を約すのかを記す
           契約の対象何を約するのか=「契約の基本事項」
      2. 約定:双方の権利義務の範囲を、履行の時期・場所・方法などをもって明確化
           重要な事柄や特別な約定を、法的に有効で曖昧さのない表現により明記
           契約の内容:契約成立の内容=「履行可能な条件の一致」の内容
        -選択-
      3. 失権約款:契約の効力が失効する場合の規定
      4. 損害賠償:契約不履行時の損害賠償額の予定
      5. 解除約款:解除の事由を約定
      6. 条件期限:停止条件・解除条件、契約の始期・終期
      7. 契約期間:契約の有効期間、更新手続
      8. 履行確保:担保方法(公正証書・担保提供・保証人・無担保)
      9. 裁判管轄:合意管轄
    4. 末尾:以上のとおり契約する旨、作成通数、所持人
    5. 日付:作成日付
    6. 本人の真意を証する意思表示として、作成名義人とその署名捺印。
      1. 契約主体:個人は住所氏名の表示
             法人は本店商号代表者(代表資格の肩書と代表者氏名)の表示
      2. 締結代理:代理は代理人住所、誰の代理か資格肩書をつけて代理人氏名の表示
      3. 調印など:署名又は記名・捺印(日本人は署名時も真意確定上捺印が良い)
  4. 契約条項(法定事項の省略、取決事項の掲示、特約事項の追記)
    1. 法律の規定(任意規定)と同趣旨の契約条項は省略してもよい。
      1. 強行規定:労働法規、行政法規に多い。違う取り決めは不可。
      2. 任意規定:民法、商法に多い。違う取り決めも契約の基本原則の範囲内で。
    2. 法律の規定と違った取り決めをする場合、そのことは必ず契約書に記載すべし
      利害が相反する契約は、当事者間の交渉で契約条項が定まる。
      1. 一方に不利な法律の規定と違った取り決め:危険負担、免責事項
      2. 双方に公平な法律の規定と違った取り決め:契約費用、弁済充当順序
    3. 有償/無償、双務/片務、諾成/要物、解除の遡及効有無、注意義務の有無・程度
      など、典型契約の性質からくる原則は、その定義の前置きなく即具体的な事項を定
      めれば足りる
  5. 課税文書(印紙貼付)
    1. 課税文書の種類に応じた記載金額累進または定額の収入印紙を貼付

契約の成立要件と約定


  1. 典型契約の成立要件と主な約定
      移転型(売買):贈与・売買・交換
      使用型(貸借):消費貸借・使用貸借・賃貸借
      役務型(労務):雇用・請負・委任
      その他(特殊):寄託・組合・終身定期金・和解
      以下、契約の当事者・契約の目的物は省略する
      ①:成立要件、②:契約条項、③:法律の規定
      終身定期金除く継続的契約は解除の遡及効なし
    1. 贈  与:①一方が財産の無償譲渡の意思を表示し、相手方が受諾して成立
           ③贈与者の担保責任、負担付贈与、定期給付贈与、死因贈与
    2. 売  買:①一方が財産権移転を約束し、相手方が代金支払を約束して成立
           ②手付、売買代金及び支払方法(頭金)、引渡と残金支払の同時履行
           ③売主の担保責任、買主の危険負担、買主の代金支払拒絶権
    3. 消費貸借:①金銭等の受取の事実と同等物返還を約束により成立
           ②返還の方法と時期(期限、方法、利息、損害金)、期限前の返還、
            期限の利益の失効に関する事項、担保方法
           ③貸主の担保責任、返還不能時の現価償還
    4. 使用貸借:①借用物の受取の事実と無償使用収益及び返還の約束により成立
           ②使用収益の目的、返還の方法と時期、定めがない時の返還時期
           ③借主の費用負担、貸主の担保責任、買取請求権
    5. 賃 貸 借:①一方が物の賃貸を約束し、相手方が借賃支払を約束して成立
           ②賃借権の存続期間と解約権の留保、賃料及び支払時期と方法、
            賃料の増額、契約解除の事由、物の用法に関する定め、
            返還の時期と方法、保証人
           ③賃貸人の修繕義務、賃借人の費用償還請求権、賃借人の通知義務、
            転貸等、期間の定めがない時の解約の申入、黙示の更新、買取請求権
    6. 雇  用:①一方が労務に服すことを約束し、相手方が報酬を約束して成立
           ②雇用の期間、報酬に関する事項、解除に関する事項
           ③期間の定めがない時の解約の申入、止むを得ない事由による解除
    7. 請  負:①一方が仕事の完成を約束し、相手方が報酬を約束して成立
           ②仕事の内容、報酬に関する事項
           ③請負人の担保責任とその存続期間、注文者の解除権とその制限
    8. 委  任:①一方が法律行為を委託し、相手方がこれを承諾して成立
           ②委任事務の内容と事務処理方法、報酬の特約
           ③受任者の注意義務、報告義務、受取物引渡義務、費用償還請求権等
            委任の解除の時期、委任の終了事由と通知義務
            終了後の受任者の善処義務
    9. 寄  託:①保管の約束と保管すべき品物の受取の事実により成立
           ②寄託物の保管場所と保管方法、寄託物の返還に関する事項
           ③無償受寄者の注意義務、受寄者の通知義務、寄託者の損害賠償義務、
            返還の請求と時期
    10. 組  合:①当事者の出資及び共同事業の経営の約束により成立
           ②組合の運営規定(目的、名称、所在地、出資、役員、会計、経営)、
            組合員の脱退や組合の解散に関する事項
           ③組合財産の共有、業務執行の方法、業務執行者の辞任・解任、
            組合員の業務財産状況検査権、組合員の損益分配の割合、脱退・除名、
            解散時の清算人に関する事項、
            業務執行組合員に委任の受任者規定準用
    11. 和  解:①双方の和解の約束により成立
           ②和解の内容
           ③和解の効果
  2. 非典型契約の例示
    1. 割賦販売契約、リース契約、レンタル契約
    2. 一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約
    3. 賃借権以外の用益契約(地上権、地役権)、保守契約
    4. 担保契約(抵当権、根抵当権、質権、仮登記担保、譲渡担保)
    5. 債権譲渡、債務引受、立替払求償(債権の代位取得→債務者に求償)
    6. 労働契約(臨時雇用、パート)、身元保証契約、労働者派遣契約、出向契約
    7. 秘密保持契約、データ共有・データ交換契約
    8. 継続的取引契約、卸契約、仕入契約、運送契約、保険契約
    9. 支配人選任、経営委任、営業委託、営業譲渡、会社合併、合弁契約
    10. 業務委託契約、共同開発契約、顧問委嘱契約
    11. プログラム使用許諾、プログラム開発委託、電算機要員派遣
    12. 物品委託加工契約、製造委託契約、OEM契約(相手先商標製品製造)
    13. 特約店契約、商品委託販売契約、代理店契約、フランチャイズチェーン契約
    14. 知的財産権実施契約(特許権、商標権、意匠権)、著作物使用許諾契約等
    15. 私道利用契約、境界確定契約
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