人見安雄
1999年、国際芸術文化賞受賞、同年10月肝臓ガンで死亡。59才。
緻密な作風で知られる洋画家。
安雄は、前科3犯、古美術窃盗団の一員として、国際指名手配中、昭和48
年、安雄33才の時、指名手配犯を隠して、江梨子(仮名)30才と結婚。人見
商事の商号で小さな洋品店を営む。
警察の身辺捜査の気配に、夫に問い詰め、妻に判明後、妻は自首でなく逃亡
を勧める。
店をたたんで作った500万を片手に1973年から国外逃亡13年間。
逃亡1年目で既にお金は底をつき、日々の食費に困る中、手慰みに描き始め
た油絵を売ってみて完売。生活基盤を得たものの日本に帰る望みを妻に打ち明
け、1987年、ギリシャで自首、日本に護送され懲役3年6月。刑を終えた
後、日本で9年間、画家として生きた。
妻がとった夫への思いやり。
1.再犯を防ぐ逃亡提案。
←刑務所にいる仲間との腐れ縁再復活を恐れた。
2.食費に困っても夫には今までの食事を供し自分は食せず衰弱。
←食べ物を買うお金がないと言えば又どろぼうをするかも知れない。
3.絵が売れたと聞いて、妻は鍋とまな板が買えると喜ぶ。
←食べ物を買うのでなく、自分が夫に料理を作ってあげられる。
4.帰国したいと聞いて、妻は自首を勧める。
←絵が売れればどろぼうはしないだろうが、有名になっていずれ逮捕。
結婚すると自分の望みを幾分捨てないと結婚生活を維持できない?。
自分の人生と、相手の人生と、自分の可能性と、相手の可能性と。
自立という自由か、献身という犠牲か、離れた愛か密着した愛か。
薄い愛か厚い愛かとは別だけれど、なぜか恐れと結果は…。
心と体は別々で一緒。一緒のベッドは心地良いけど依存的、別々のベッドは
寂しいけど自立的。自律神経失調症が快癒の事例。
自分の心と相手の心、自分の体と相手の体。 → 相手への思いやり。
自分の心と自分の体、相手の心と相手の体。 → 自分への思いやり。
二者択一でなく二者両得、心地良くって自立的って、難しい?
一方、互いに尊重し合うって言っても、先立つものの前では、微力。
他方、恵まれてても、満たされない。
……………………………… 愛って、心って、命って、わがまま?
平成12年8月23日 中村三郎
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