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<ウイルス学>


Update 2024.10.08
ウイルス学 18.ウイルスとは ウイルスの種類ウイルスの増殖ウイルスと細菌
19.感染症とは? 感染症の種類感染見舞金制度感染症の分類
ウイルス学

次へ前へTOP 18.ウイルスとは ウイルスの種類、ウイルスの増殖、ウイルスと細菌

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ウイルスとは

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ウイルスは、他生物の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染性の構造体で、
タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる
自力で増えることができず、動植物の細胞を借りて子孫を増やす最小単位のもの
ウイルスは1930年代に電子顕微鏡が用いられるようになったことで観察が可能になり、
その存在が知られるようになった

TOPウイルス発見の歴史TOP
1798年 牛痘の接種によって天然痘を予防する方法が確立された
1885年 病原体を弱毒化する方法を工夫して狂犬病ワクチンがつくられた
1892年 濾過性病原体としてウイルスが発見された
1898年 世界で最初に発見されたウイルスは「タバコモザイクウイルス」です
1915年 バクテリアに感染するウイルス(バクテリオファージ)が発見された
1935年 タバコモザイクウイルスの結晶化に成功
1938年 電子顕微鏡を用いてタバコモザイクウイルスの可視化に成功
1989年 家畜の口蹄疫が濾過性であることを発見(動物ウイルスの最初の発見)
2003年 ミミウイルス(巨大ウイルス)が発見された

ロベルト・コッホがまとめた、感染症の病原体を特定する際の指針
1.ある一定の病気には一定の微生物が見出されること
2.その微生物を分離できること
3.分離した微生物を感受性のある動物に感染させて同じ病気を起こせること
4.そしてその病巣部から同じ微生物が分離されること

ウイルス発見の歴史:病原体→濾過性病原体→ウイルス

TOPオベリスク発見に関する論文TOP

 2024年、今回見つかった "ウイロイドのようなもの" は、ウイロイドと比べてかなり大きい
 ウイロイドに類似した存在が、植物以外に感染したことを示している初の事例です

 約3万種類の環状RNA群に、
 ①ウイルスにしては小さく、ウイロイドにしては大きいゲノムサイズ、
 ②古代エジプトの巨大な尖塔を彷彿とさせる、棒状で(ウイロイドと比べて)大きな外見、
 ③ウイロイドとは異なる新しいタンパク質を構築するための設計図(コード)を持つ、
 という共通の特徴を見出しました

 発見した環状RNA群は、ウイロイドや小さいサイズのウイルスとは全く別の存在」と考え、
 「オベリスク(Obelisk;尖塔)」と名付けました
 「オベリスク」は既知のタンパク質に似ていないタンパク質を生成することができます
 ③の新しいタンパク質をコードする領域はオベリスクRNAの約半分を占めているため、
 作り出されるタンパク質を「オブリン (Oblin)」と命名しました
 オブリンは、オベリスクの複製を担う重要なタンパク質と示唆されると言います

この研究論文はまだプレプリントの状態なので、正式な査読を受けておらず、内容が妥当か未検証です

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ウイルスの種類

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種類ゲノム・核酸科/ウイルス例感染症
DNAウイルス二本鎖DNA
dsDNA
ヘルペスウイルス口唇ヘルペス
性器ヘルペス
水痘、帯状疱疹
アデノウイルス咽頭結膜炎
ポックスウイルス天然痘
一本鎖DNA
ssDNA
バクテリオファージ多くが細菌に感染する
RNAウイルス二本鎖RNA
dsRNA
ロタウイルスA〜E型乳幼児に感染して下痢症状
一本鎖(+)鎖RNA
ss(+)RNA
SARS‐CoV‐1SARS(コロナ)
SARS‐CoV‐2COVID-19(新型コロナ)
風疹ウイルス風疹
コクサッキーウイルス手足口病
ポリオウイルス小児麻痺
A型肝炎ウイルスA型肝炎
デングウイルスデング熱
黄熱ウイルス黄熱
C型肝炎ウイルスC型肝炎
日本脳炎ウィルス日本脳炎
E型肝炎ウイルスE型肝炎
ノロウイルス感染性胃腸炎
一本鎖(-)鎖RNA
ss(-)RNA
麻疹ウイルス麻疹
狂⽝病ウイルス狂犬病
エボラウイルスエボラ出血熱
A〜D型インフルエンザウイルスインフルエンザ
ムンプスウイルスおたふく風邪
逆転写ウイルス一本鎖(+)鎖RNA(RT)
ss(+)RNA(RT)
レトロウイルスHIV(AIDS)
二本鎖DNA(RT)
dsDNA(RT)
B型肝炎ウイルスB型肝炎
カリモウイルスカリフラワーモザイク
(注)感染症法上の1類~5類該当のウイルスは上記以外にもありますが、省略しています
ウイルスは、DNAとRNAのどちらか一方しか持っていない
DNAウイルスは安定した構造のため、変異スピードが遅い
RNAウイルスは不安定な構造のため、変異スピードが速い(突然変異が起こりやすく進化が速い)
   RNAは一般に一本鎖であることもあってDNAよりも不安定な物質です
   また、DNAポリメラーゼに備わっている校正機能がRNAポリメラーゼにはないため、
   変異が起こったときに復元も困難です
   そのため、RNAウイルスのほうがDNAウイルスよりも変異頻度が高い
   インフルエンザウイルスは常にこの変異が起こっており、人の1000倍の確率で起こっている
   といわれています
   (通常は小規模の変異が、数十年に一度、大規模な変異を起こすことがあります)
   (+)鎖:一本鎖RNAがmRNAと同じ塩基配列であり、
       宿主細胞の蛋白質合成機能を利用してウイルス蛋白質を合成
   (-)鎖:一本鎖RNAがmRNAと相補的な塩基配列であり、ウイルス
       が持ち込んだRNA合成酵素でまずmRNAを合成したのち、
       宿主細胞の蛋白質合成機能を利用してウイルス蛋白質を合成

TOPウイルスの7つの分類TOP
二本鎖DNAウイルス:このウイルスは、感染すると多くの場合細胞の核に移行し、
    宿主の複製機構を使って増殖します
    宿主のRNAポリメラーゼを使ってmRNAを作り、ウイルス蛋白質を産生します
    dsDNA→mRNA
一本鎖DNAウイルス:自らのゲノムであるDNAを鋳型に二本鎖DNAを作った後に、
    ウイルスの複製を開始します
    ssDNA→dsDNA→mRNA
二本鎖RNAウイルス:プラス鎖のRNAがmRNAとなりウイルス蛋白質を作ります
    自らが持つRNA依存性RNAポリメラーゼを用いて粒子内で複製を行います
    dsRNA→ss(±)RNA、ss(+)RNA=mRNA
一本鎖RNAウイルスプラス鎖:ゲノム本体そのものがmRNAとして働き、
    ウイルス蛋白質を作り出します
    細胞質内で自らが持つRNA依存性RNAポリメラーゼで複製します
    ss(+)RNA=mRNA
一本鎖RNAウイルスマイナス鎖:まず本体であるゲノムRNAを鋳型にmRNAを作り、
    このmRNAからウイルス蛋白質を作ります、多くの場合、細胞質で複製を行います
    ss(-)RNA→ss(+)RNA=mRNA
一本鎖RNAウイルスプラス鎖逆転写:本体であるプラス鎖RNAを逆転写し、
    二本鎖DNAを作り、宿主のゲノムに組み込まれます
    ゲノムに組み込まれたDNAからmRNAを作り、ウイルス蛋白質を産生します
    ss(+)RNA-RT→dsDNA→mRNA
二本鎖DNAウイルス逆転写:二本鎖DNAではあるが、いったんRNAを作り、
    そのRNAを逆転写することでDNAを作って自らを複製していきます
    RNA-RT→ss(-)DNA→dsDNA-RT→dsDNA→mRNA
(RT):逆転写酵素をもつ(転写:DNA→RNA、逆転写:DNA←RNA)

TOPエンベロープTOP
エンベロープを持つウイルス(エンベロープウイルス)としては、
   インフルエンザウイル、コロナウイルス、日本脳炎ウィルス、ヘルペスウイルス、
   風疹ウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス(おたふく風邪)、エイズウイルス、
   エボラウィルス(エボラ出血熱)、B型、C型肝炎ウイルス、デングウイルス(デング熱)、
   黄熱ウイルス、天然痘ウイルス、など
エンベロープを持たないウイルス(ノンエンベロープウイルス)としては、
   ロタウイルス、アデノウイルス(咽頭結膜炎)、A型、E型肝炎ウイルス、
   ポリオウイルス(小児麻痺)、コクサッキーウイルス(手足口病)、ノロウイルス、など
   エンベロープを持たないウイルスは裸のウイルスあるいは「ヌクレオカプシド」と
   呼ばれる
   カプシド(キャプシド)と核酸を合わせたものを「ヌクレオカプシド」と呼びます
エンベロープを借り受けるウイルス
   D型肝炎ウイルスは単独で感染することはなく、
   必ずB型肝炎ウイルスと一緒に感染することです
   B型肝炎ウイルスがいないところにはD型肝炎ウイルスもいません
   D型肝炎ウイルス粒子にはエンベロープという呼ばれる「殻」があります
   しかし、ウイルスはこの殻の遺伝情報を持っていません
   実はD型肝炎ウイルスの殻は、B型肝炎ウイルスの殻を拝借したものです
   B型肝炎ウイルスが感染した細胞では殻が合成されており、
   D型肝炎ウイルスはちゃっかりとこの殻だけ利用しているのです
   いわば、B型肝炎ウイルスに寄生していると言えます
         エンベロープを借り受けるD型肝炎ウイルス
         エンベロープを貸し出すB型肝炎ウイルス

TOP逆転写TOP
RNA(リボ核酸)からDNA(デオキシリボ核酸)を合成することを逆転写という
    DNA←─RNA
       逆転写  
   レトロウイルスは逆転写酵素を働かせて自分のRNAからDNAをつくり、
   これを宿主細胞のDNAの中に無理やり押し込む
 宿主細胞      レトロウイルス
           一本鎖RNAプラス鎖
             ↓逆転写
           二本鎖DNA
             ↓宿主細胞のDNAに組み込む
┌──────────────────────────┐
宿主DNA内在性レトロウイルス(DNA)宿主DNA
│        (=プロウイルス)         │
│核                         │
└──────────────────────────┘
内在性レトロウイルス:レトロトランスポゾンの一種
    ウイルス遺伝子に長い年月をかけて欠損や変異が蓄積することで本来の機能が
    消失したと考えられている古代のレトロウイルス
レトロトランスポゾン:DNA→RNA→DNAと転写逆転写を繰り返してゲノム中で
転移・増殖する
             レトロトランスポゾン
          ┌────┬────┬──────────────┐
    染色体DNA│    │////////│              │
          └────┴────┴──────────────┘
                 ↓転写 
               ┌────┐
            RNA│////////│───────┐
               └────┘  逆転写  │
             レトロトランスポゾン     ↓
          ┌────┬────┬────┬────┬────┐
    染色体DNA│    │////////│    │////////│    │
          └────┴────┴────┴────┴────┘
                       レトロトランスポゾン   

TOPウイルスの大きさTOP
10-9m   10-8m   10-7m   10-6m   10-5m   10-4m   10-3m 
─┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┼─
 1nm   10nm   100nm   1μm    10μm   100μm   1mm
 ↑ 10分の1 ↑ 10分の1 ↑ 10分の1 ↑ 10分の1 ↑ 10分の1 ↑ 10分の1 ↑ 
─┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┼──────┼─
          ウイルス        細菌  真菌  ヒト細胞             
1pm:1兆分の1m 素粒子<原子<分子          小さすぎて見えない
1nm:10億分の1m ノロウイルス<インフルエンザウイルス 電子顕微鏡で見える ≧0.2nm
1μm:100万分の1m 巨大ウイルス<細菌<ヒトの細胞<ダニ 光学顕微鏡で見える ≧0.2μm
1mm:1000分の1m ほこり<米粒             肉眼で見える≧0.1~0.2mm

TOPウィルスの基本構造TOP
遺伝子の核酸(DNA/RNA)を中心にして、その周囲が蛋白の殻(カプシド)で包まれている
     カプソメア(カプソマー)というサブユニットが集合してカプシドを形成する
     カプソメアのさまざまな配置による形状は、1)正20面体、2)らせん状、3)複合体
正20面体:核酸+カプシド=ヌクレオカプシド
      外観が正20面体のカプシドの断面は正6角形

                ○      ┐
               ○  ○    │
             ○     ○   │
            ○        ○ │
            ○        ○ │
      カプソメア→○   核酸   ○ ├─ヌクレオカプシド
            ○        ○ │
            ○        ○ │
             ○     ○   │
               ○  ○    │
                ○      ┘
らせん状:核酸はらせん構造をもつ管状の蛋白カプシドによって取り囲まれている
     カプシドのタンパク質が、らせん状に積み重なっている
             ┌─────┐
             ├─────┤
             ├─────┤
             ├─────┤
             ├─────┤←中の核酸もらせん状になっている
             ├─────┤
             ├─────┤
             ├─────┤
             └─────┘
             ┌糖蛋白の突起(スパイク)で被われるものもある
ウィルスの種類によっては─┤
カプシドの外側にさらに、 └脂質と糖蛋白から成るエンベロープ(脂質二重膜)が存在する
              さらに、エンベロープの表面が、糖蛋白の突起(スパイク)で被わ
              れるものもある
ミミウイルス(巨大ウイルス)の場合、DNAコアを囲む脂質二重膜、三層のカプシドと表面繊維
核酸      :DNA/RNA、一本鎖/二本鎖、環状/線状、分節状
カプシド    :核酸を保護・調節する蛋白、多くは20面体
エンベロープ  :ウイルスの一部はカプシドの外に細胞膜・核膜様の構造をもつ
スパイク    :ウイルスの一部は表面に突起、それが細胞への結合
ヌクレオカプシド:遺伝子の核酸と核酸を包むタンパク質(カプシド)の総称
ビリオン    :細胞外におけるウイルスの状態であり、完全な粒子構造を持ち、
         感染性を有するウイルス粒子のことをいう
ウイルス粒子  :ウイルスは細胞外では粒子構造を取る

TOPウイルス粒子の代表的な形状TOP
(カプシドの形態による分類)
裸の正20面体カプシド         :正20面体ウイルス :アデノウイルス       
エンベロープを被った正20面体カプシド :球状ウイルス   :コロナウイルス       
エンベロープを被ったらせん型カプシド :卵形ウイルス   :インフルエンザウイルス   
裸のらせん型カプシド(管状/桿状)  :ひも状ウイルス  :エボラウイルス       
                    棒状ウイルス   :タバコモザイクウイルス   
バクテリオファージ:細菌に感染して細菌を破壊するウイルス                
          正20面体のカプシドを頭部とした月着陸船のような形(足は6本)    
ポックスウイルス科:明瞭なカプシドをもたず、                      
          核酸の周りをいくつかの外膜coatがとりまいて複雑な構造をしている   
外観が正20面体のカプシドの断面は正6角形、正20面体の1面は正3角形           

TOPウイルスの起源(3つの仮説)TOP
独立起源説細胞とは無関係にウイルスができた
   細胞または生物が出現する前の時代の面影をとどめたもの
   核酸(DNA又はRNA)がカプシドを獲得してウイルスになった
細胞起源説細胞の一部がウイルスへ
   細胞から逃亡した遺伝因子(DNA又はRNAが独立)
   細菌がもっていた自己複製因子(環状の小さなDNAであるプラスミド)が飛び出して
   ウイルスになった、植物細胞で散見されるウイロイドというRNAも自己複製が可能です
細胞退化説細胞からウイルスへ
   細菌のような、ウイルスより大きな病原微生物が退化した子孫
   タンパク質をつくるリボソームまで捨ててどんどんミニマリスト化した

TOPウイルスの人への感染に至るまでTOP
生物の生化学反応やウイルスなどの病原体感染は膨大な数や膨大な回数にささえられているようです
細胞内で遺伝子が複製され、タンパク質が合成されていく生化学反応も水分子の熱運動による偶然の
結果です
水分子に押された遺伝子と酵素が何度も偶然にぶつかっり、くっついた瞬間に生化学反応が起こって
います
ウイルスが宿主にたどりつけるかは運任せ
   口から飛び出した何千万~何億と言うウイルスのうち人の体内に達するのはごくわずか
   ウイルスが生きているうちにたまたま取り付いた細胞が、自分が感染できる細胞かどうかは
   偶然まかせです(インフルエンザウイルスは気道上皮細胞)
さらなる偶然を経て細胞に吸着
   ウイルスの鍵(スパイク)が細胞膜の特定のタンパク質の鍵穴に合致しないと吸着できません
   ウイルスは水分子の熱運動(ブラウン運動)に押されて非常に細かく振動しながら何回も
   トライして、カチッと一瞬くっついた瞬間に吸着が成立します

TOPウイルスの伝播経路TOP
垂直伝播 … 母子感染(経胎盤、経母乳、経産道感染など)、世代を超えたウイルス伝播、
       親から子へと同じ種の中で伝わる
水平伝播 … 経口感染、飛沫感染、接触感染、媒介物感染など、同世代、同一集団内での
       ウイルス伝播
       他の生物種へ遺伝子が移動する:あるウイルスからある生物へ遺伝子が移動
       他の生物から遺伝子を取り込む:ある生物からあるウイルスへ遺伝子が移動
       ウイルスは種をまたぐ「遺伝子の運び屋(ベクター)」
~~~~  親

          ↓垂直伝播
~~~~  子

         |
     垂直伝播| ┌─────────~~~~~
         ↓ ↓ 水平伝播  ほかの生物の遺伝子
~~~~   

TOPウイルスの増殖TOP
人への感染と増殖の方法(一般的なDNAウイルスの増殖様式)
ウイルスは単独では増殖できないので、人の細胞の中に侵入し増殖する(他者を使った自己増殖)
宿主細胞にとりつく ①吸着→➁侵入→➂脱殻→④合成→⑤成熟→⑥放出 子ウイルスが飛び出す
                     └─┬─┘
                    細胞の機能(セントラルドグマ)を使う
                   ★セントラルドグマの詳細はこちら→セントラルドグマ

 ①細胞のレセプターに吸着:ウイルスの受容体(レセプター)を持つ細胞にのみ吸着できる 
   ↓ウイルス表面のスパイクが宿主の細胞表面の受容体(レセプター)に結合し細胞に吸着   
 ➁細胞内に侵入(ウイルスはそれぞれ侵入できる細胞が決まっている) 
   ↓細胞に食べられる(細胞内に取り込む)ことでウイルスが細胞内に侵入します  
   ↓エンベロープを持つウイルスは、宿主細胞膜と融合することで細胞へ侵入します 
   ↓あるいは融合せずにエンベロープごと細胞膜に覆われて侵入します       
 ➂脱殻:エンベロープとカプシドが取り除かれる     
   ↓タンパク質の殻を壊し遺伝子を細胞質内に放出                
 ④ウイルスの核酸が細胞の核に入り、ウイルスの姿が見えなくなる(暗黒期)     
   ↓放出された遺伝子を元に細胞の機能を使って核酸を複製しタンパク質を合成 
 ⑤宿主細胞の核内で複製された核酸と合成されたタンパク質から子ウイルスを組立 
   ↓一度に数が増える(細胞1個当たり10万個のウイルス):ウイルスの成熟 
 ⑥成熟したウイルスがたまると、細胞膜を壊して細胞外へ放出  
    エンベロープウイルスは細胞を壊さずにカプシドを細胞膜で包み込む出芽 
    バクテリオファージの場合は細胞を溶かすので溶菌という 
 バクテリオファージは細菌に吸着すると侵入・脱殻を一気に行う           
  … 硬い細胞壁を突き抜けて自分のDNAを注射するように注入する        


[①吸着]         ウイルスが受容体と結合
                  ↓
       細胞膜がウイルスを包み込むようにして陥没して袋を形成
                  ↓
[➁侵入]  被覆小胞として取り込まれたウイルスは細胞内部に運ばれる
                  │   (エンドサイトーシス)
[➂脱殻]      被覆小胞が破れ、↓
          カプシドが破れてRNAが放出される
                  │
            ┌─────┴─────┐
            ↓           ↓
[④合成]  リボソームで複製されたRNA リボソームで合成
            │           │
            │     ┌─────┴──────┐
            │     ↓            ↓
            │ カプシドタンパク質    スパイクタンパク質
            │     │            ↓
            └──┬──┘           小胞体
               ↓               ↓
[⑤組立]      カプシド内にRNA収納         ゴルジ体
               │               ↓
               │              細胞膜
               │               │
               └───────┬───────┘
                       ↓
[⑥出芽]       スパイクのついた細胞膜がカプシドを包み込んで出芽する
---------------------------------------------------------------------------------------
DNAウイルス(DNAしか持たないウイルス)
   増殖の際に一度RNAに変換してからタンパク質を作る
   細胞のDNA合成に関わる酵素を利用しゲノムを複製するので、
   ボックスウイルスのような自分自身のDNA合成酵素を持つもの以外は、核の中で増殖する
RNAウイルス(RNAしか持たないウイルス)
   RNAが遺伝子の役目を兼務しつつタンパク質をつくり増殖する
   RNA合成酵素はウイルスRNAを鋳型として細胞質で作られ、且つ、機能する
   従って、RNAウイルスは原則として細胞質で増殖する
   RNAウイルスとは、ゲノム複製や遺伝子発現に際してDNAが関与しないウイルスを意味
   するものでレトロウイルスは含まない
ミトコンドリアに感染するミトウイルス
   たった1つの遺伝子しか持たないプラス鎖1本鎖RNAウイルス
   (コードするタンパク質は1種類)
   カプシドを持たない裸の核酸なので他の細胞に感染せず、宿主細胞の分裂に合わせて拡がる
   主に菌類のミトコンドリアに感染するが、中には植物のミトコンドリアに感染するものもいる
ウイルス以外の生物ではない病原体
ウイロイド(RNAしか持たない、ウイルスより小さい病原体)
   裸の核酸(短い環状の一本鎖RNA)のみで構成される病原体で、植物にしか感染しない
   裸の核酸=カプシドを持たない裸の核酸
プリオン(異常プリオン)は、感染性のタンパク質で遺伝子を持っていません
   ヒツジのスクレイピー、ウシの狂牛病、ヒトではクロイツフェルト・ヤコブ病の原因となる
   タンパク質は、特定の形に折り畳まれています
   この折り畳まれた状態になって初めて、機能を発揮することができます
   タンパク質が正常に機能するには、
   数珠つなぎになったアミノ酸が正しく折り畳まれなければなりません
   この折り畳みをフォールディングといいます
   異常プリオンは、折り畳みがうまくいかずにミスフォールドしたものです
   正常なタンパク質が変形して(異常な形に折り畳まれ)、異常なプリオンになります

TOPウイルスの増殖を食い止める免疫TOP
主な免疫細胞:ヘルパーT細胞、マクロファージ、NK細胞、樹状細胞、B細胞、キラーT細胞、
   好中球ヘルパーT細胞:B細胞やキラーT細胞に攻撃の指令を出す、免疫システムの司令塔
   マクロファージ:異物を取り込み消化する(体内の掃除役)、T細胞に異物の情報を伝える
   NK細胞   :ウイルスに感染した細胞を見つけ出し破壊する
   樹状細胞   :異物を取り込み、その情報をT細胞に伝える抗原提示細胞であり、
           食作用も持つ
   B細胞    :ウイルスや細菌を無毒化する抗体をつくり放出する
           一部は将来に備えて作った抗体を記憶する
   キラーT細胞 :ウイルスに感染した細胞を攻撃し破壊する
   好中球    :細菌やウイルスを取り込み酵素や活製酸素で破壊する細胞
  (好酸球    :寄生虫など大型の異物を酵素などで攻撃する)
食細胞:マクロファージ、樹状細胞、好中球 … 細菌など異物を食べる
           ウイルスは小さすぎて侵入してしまう
抗原提示細胞:マクロファージ、樹状細胞
潜伏期間が長いウイルスに感染すると免疫機能が落ちてしまい、免疫システムに必要な細胞が減少
していく

第一段階の免疫システム
   NK細胞はウイルスに感染した細胞を見つけ出し破壊する
   感染細胞からはインターフェロンが分泌される
   インターフェロンが未感染の細胞に届くと未感染細胞でRNA分解酵素などが活性化される
   活性化されたRNA分解酵素はウイルスが細胞内に侵入してRNAを放出したときに
   それを分解する働きを持つ
   遺伝情報であるRNAが分解されてしまえばカプシドやスパイクのタンパク質が
   作り出せないのでウイルスは増殖できない

第二段階の免疫システム
   樹状細胞がヘルパーT細胞(リンパ球)に侵入してきたウイルスの情報を提示する
   ウイルスの情報を得たヘルパーT細胞はB細胞をプラズマ細胞と言う細胞に変化させる
   そしてこのプラズマ細胞がそのウイルスに結びつく抗体を産生する
   抗体は免疫グロブリンとよばれるタンパク質からなりY字形をしている
   Y字の先端部分はそのウイルスの形に合わせたそのウイルス専用に作られる
   そのためウイルス表面と受容体が鍵と鍵穴の関係で結合したように
   ウイルス表面と抗体の先端部分が結合する
   表面に抗体が結合したウイルスは受容体に結合できなくなったり、
   細胞膜と融合できなくなったりするため細胞内で増殖不可能となる
   しかしすでに感染してしまった細胞には抗体はあまりはたらかない
   このような感染細胞は活性化されたキラーT細胞により破壊される
   このキラーT細胞を活性化するのも樹状細胞だが、活性化には
   ヘルパーT細胞も重要な役割を果たす

NK細胞とインターフェロンによる第一段階の免疫は「非特異的免疫(自然免疫)」、
抗体とキラーT細胞による第二段階の免疫は「特異的免疫(獲得免疫)」と呼ばれる
   自然免疫で活躍する免疫細胞:NK細胞、マクロファージ、樹状細胞、好中球
   獲得免疫で活躍する免疫細胞:ヘルパーT細胞、B細胞、キラーT細胞
自然免疫の役割は、侵入した異物を迅速に認識して貪食し、
   さらに感染した細胞を破壊して排除することです
   マクロファージ、樹状細胞、好中球といった貪食細胞は、
   細菌などの細胞外の抗原を取り込んで処理します
   一方、がん細胞やウイルス感染細胞などは、その細胞自体を破壊する、
   あるいは増殖を抑えることが必要です
   この機能は細胞傷害性のNK細胞などが担当しています
   自然免疫のもう1つの重要な役割が、獲得免疫への橋渡しです
   この役割の主役となるのは、マクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞です
獲得免疫とは、感染した病原体を特異的に見分け、それを記憶することで、
   同じ病原体に出会った時に効果的に病原体を排除できる仕組みです
   自然免疫に比べると、応答までにかかる時間は長く、数日かかります
   ここで活躍している免疫担当細胞は、主にT細胞やB細胞といったリンパ球です

TOPウイルスと細菌TOP
微生物細胞を持つ代謝を行う自己複製できる
ウイルス細胞を持たない代謝を行わない自力で複製できない

現在、最も広く受け入れられている「生物の定義」は、
①外界と膜で仕切られている、
②代謝(生物の生存と機能に不可欠な一連の化学反応)を行う、
③自分の複製を作る(自己複製する)、の3つです
すべての生物は細胞でできている
そして、すべての細胞は細胞膜で包まれている
代謝や複製のためには、膜で仕切られた内部が理想的な環境なのです

微生物─┬→原核生物──→細菌(単細胞)(真正細菌)
    │
    └→真核生物─┬→真菌(単細胞、多細胞)(狭義の菌類)
           │
           └→原虫(単細胞)(原生動物)

TOPウイルスと宿主の関係TOP
大きな集団で移動する動物 :カモなどの水鳥 (集団内の感染拡大+渡り鳥として世界中に分布)
大きな集団で過密状態にいる動物:コウモリ  (ウイルスの貯蔵庫、ウイルスと宿主は共生体)
密集した状態で飼育する動物:養鶏場のニワトリ(高病原性鳥インフルエンザ、渡り鳥から感染)

ウイルスは「本来の宿主」のなかでは、比較的おとなしいものなのです
感染しても病気にならず、ウイルスと共存共栄しているのが本来の宿主
本来の宿主とは違う宿主にウイルスが取り付くと爆発的に増殖して宿主が死んで
しまう(新しい宿主が新しいウイルスとの適応能力がない)
ウイルスは自己の複製を目的にして宿主に入り込みますが、その病原性があまり
に激烈であれば、宿主が死んで、結局自分も死滅し、コピーを次世代につなげる
ことができなくなってしまいます
一般に、ウイルスは宿主を殺さないで、感染を維持する方向に弱毒化する
宿主と共生体のそれぞれが自身の子孫をなるべく多く残すように振る舞う
           [共生体⇔病原体]:流動的
宿主は子孫を増やしたい →せめぎあい← ウイルスは子孫を増やしたい

TOPウイルスと人間TOP
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ウイルスがもつ病原体としての側面
   インフルエンザウイルス:潜伏期間(1~2日)が短い、増殖が非常に速い
      インフルエンザウィルスが1個、体に侵入すると鼻や喉の粘膜から約10分で体の細胞
      に入り、8時間後には100個、16時間後には1万個、24時間後には100万個に、
      体内で増殖します
      ウィルスの数が数千万個に増えると症状が出るとされます(32時間後には1億個!)
   ヒト免疫不全ウイルス:潜伏期間(約10年)が長い
      HIVは、免疫システムの細胞(ヘルパーT細胞やマクロファージ)に感染すると、
      そのままひっそりと隠れ、感染してもしばらくは発症しません
      ヘルパーT細胞は免疫システムの司令塔ですが、それが壊されてしまいます
      潜伏中のHIVは少しずつ免疫システムの主要な細胞の数を減らしていき、
      免疫不全状態になるとエイズを発症します
   水痘ウイルス:HIVよりも潜伏期間が長く数十年後免疫力低下時帯状疱疹を発症する
   インフルエンザウイルスによるパンデミック
      1918年 スペイン風邪:H1N1型のA型インフルエンザウイルス感染症
      1957年 アジア風邪 :H2N2型のA型インフルエンザウイルス感染症
      1968年 香港風邪  :H3N2型のA型インフルエンザウイルス感染症
   ウイルスの殺し方
      次亜塩素酸ナトリウム:カプシドタンパク質を変性させてしまう
      石鹸/消毒用アルコール:エンベロープウイルスは膜が脂質のため壊れる
      熱による殺菌    :圧力をかけ水蒸気を充満させ120℃で20分加熱すると壊れる
      殺菌灯の強い紫外線 :遺伝子を損傷させウイルスを殺す
      風邪はウイルスが原因なので抗生物質は効かない
   ウイルスの生存時間
      凸凹な表面 < 平滑な表面
      平滑な表面は共用物に多いこと、
      また、洗浄や拭き取りが容易であることです
      つまり、ウイルスが長生きでも洗い落としたり拭き取ってしまえば良いのです
   インフルエンザウイルスの生存率は
      温度が低いほどウイルスの生存率が高い
      湿度が低いほどウイルスの生存率が高い
      ウイルスは一般に低温・乾燥を好む
      なのでインフルエンザは冬に流行しやすい
   新興・再興感染症(エマージング・ウイルス)
   新興感染症(WHOの定義)
      この20~30年の間に新しく認知され局地的あるいは国際的に公衆衛生上の問題となる
      感染症
   再興感染症(WHOの定義)
      かつて存在した感染症で公衆衛生上ほとんど問題とならないようになっていたが、
      近年再び増加してきたもの、あるいは将来的に再び問題となる可能性がある感染症
   産業動物(家畜)のウイルス感染症
      口蹄疫ウイルス、豚熱ウイルス、鳥インフルエンザウイルス
   人獣共通感染症
      Bウイルス病、Q熱、アニサキス症、ウエストナイル熱、エキノコックス症
      黄熱、オウム病、回帰熱、カンピロバクター感染症、狂犬病
      クリプトスポリジウム症、クリミア・コンゴ出血熱、腎症候性出血熱
      ダニ媒介性脳炎、ツツガ虫病、トキソプラズマ症、鳥インフルエンザ
      ニパウイルス感染症、日本紅斑熱、日本脳炎、ハンタウイルス肺症候群(HPS)
      ヒストプラスマ症、ブタ連鎖球菌感染症、ブルセラ症、ペスト
      マールブルグ病、幼虫移行症、ライム病、ラッサ熱
      リステリア・モノサイトゲネス感染症、レプトスピラ症
   動物由来感染症
      狂犬病(犬・猫・コウモリ)、パスツレラ症(犬)、イヌブルセラ症(犬)、
      カプノサイトファーガ感染症(犬・猫)、Q熱(猫)、パスツレラ症(猫)、
      猫ひっかき病(猫)、トキソプラズマ症(猫)、
      コリネバクテリウム・ウルセランス感染症(猫)
      腸管出血性大腸菌感染症(牛・山羊・羊等)
      オウム病(鳥)、カンピロバクター症(鳥)
      鼠咬症(げっ歯類)、レプトスピラ症(げっ歯類)
      サルモネラ症(爬虫類)
   節足動物媒介感染症
      重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(マダニ)、日本紅斑熱(マダニ)
      マラリア(蚊)、ジカウイルス感染症(蚊)、ウエストナイル熱(蚊)
      デング熱(蚊)、チクングニア熱(蚊)、ジカウイルス感染症(蚊)、日本脳炎(蚊)
      黄熱(蚊)
   コウモリ由来感染症
      狂犬病、エボラ出血熱、ニパウイルス感染症、ヘンドラウイルス感染症
      SARS、MERS、COVID-19
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ウイルスがもつ共生体としての側面
   胎盤をつくる遺伝子の元はウイルスの遺伝子だった
      (レトロウイルスのエンベロープ用遺伝子)
      シンシチン遺伝子に進化してシンシチウム細胞のある胎盤ができた
      シンシチウム細胞:胎盤の胎児側の表面を覆う細胞
               母体の血液と胎児の血液が混じり合わないようにしている
               母体の免疫による攻撃を胎児が受けないようにしている
               栄養などの物質交換や酸素と二酸化炭素のガス交換の場
   ヒトゲノム全体の半分以上はウイルス由来と考えられる塩基配列だった
      私たちの祖先がレトロウイルスに感染した証拠、ウイルス由来の塩基配列のこと
      でレトロトランスポゾンと呼ばれています
      レトロウイルスが有胎盤類の祖先に感染
   ウイルスも生物進化の源泉
      すべての生物がウイルスと共生
      良いウイルスとの共存が生命を豊かにしてきた
ウイルスの利用法
   ウイルスを薬に変えるワクチン  :生ワクチン(弱毒化したウイルスを使う)
                    不活化ワクチン(殺したウイルスを使う)
   殺菌効果抜群のウイルス入り食品 :ウイルスを食品添加物として使う
                    バクテリオファージを使うと加熱せずに殺菌できる
   ウイルスが遺伝子を運ぶ遺伝子治療:ウイルスが細胞に感染して遺伝子を送り込む仕組み
                    を利用
                    ウイルスは「遺伝子の運び屋(ベクター)」

TOP新たに追加されたウイルスの分類TOP
地球上にはいろんなウイルスが存在しており、
その分類は1966年に発足した国際ウイルス分類委員会(ICTV)が行っています
現在、ICTVがウイルスの仲間として認めているものの中には、
これまでの教科書的な説明の枠をはみ出て、RNAだけでカプシドを持たないウイルス
細菌と同程度のサイズを持つウイルス(巨大ウイルス)などが加えられています

TOPカプシドを持たないウイルスTOP
カプシドのないウイルス種は植物や真菌でよく見つかります
カプシドレスのウイルスの多くは、一度宿主の細胞に入ったら基本的に外に出ることがなく、
そのためカプシドを持つ必要がないのでは、と考えられています(ミトウイルスなど)
細胞外に出ることのないウイルスには、カプシドもエンベロープも持たないものもいるようです

カプシドを持たないウイルスであるヤドカリウイルス
   自分ではカプシドを作ることができず、ほかからちゃっかり拝借するウイルスです
         カプシドを借り受けるヤドカリウイルス(YkV1)
         カプシドを貸し出すヤドヌシウイルス (YnV1)
   ヤドカリウイルスは、増殖や感染するためにヤドヌシウイルスを利用している
   ヤドカリウイルスは一本鎖(+)鎖RNAウイルスで、動物に感染するウイルスに近縁
   ヤドヌシウイルスは二本鎖RNAウイルスで、菌類に感染するウイルスに近縁

ヤドカリウイルスとヤドヌシウイルスは、ともに植物に生えるカビに寄生するウイルスです
   白紋羽病菌(しろもんば)というカビ(糸状菌)に感染して植物を病気にしてしまう

ヤドカリウイルスはヤドヌシウイルスの殻がなければ増えることはできませんが、
ヤドヌシウイルスは単独でも増えることができます
ヤドカリウイルスがいるとヤドヌシウイルスの増殖効率が高まることが分かっています
互いに利益がある相利共生の関係といえます

TOP巨大ウイルスの発見TOP
巨大ウイルス:ミミウイルス、トーキョーウイルス、マルセイユウイルス、パンドラウイルス、
   ピソウイルス、モリウイルス、メガウイルス、テュパンウイルス、など
アミノアシルtRNA合成酵素(この酵素をつくるための設計図が翻訳用遺伝子)
tRNAと適合するアミノ酸を結合させるアミノアシルtRNAの生成反応を触媒する酵素
通常の生物では翻訳に使われるアミノ酸は20種類あり、対応するアミノアシルtRNA合成
酵素も20種類必要になる
(どんなに複雑なウイルスでも翻訳用遺伝子を持つウイルスはいないはずだった)
ミミウイルス:4種類、メガウイルス:7種類、クロスニューウイルス:19種類、
テュパンウイルス:20種類の翻訳用遺伝子をもつ!
巨大ウイルスは第4のドメインか?:ウイルスなのに細菌の2倍のゲノム数
ミミウイルスは118万塩基対のゲノムサイズで遺伝子の数も1000個以上の遺伝子を保持
パンドラウイルスがもつ2500超の遺伝子のうち、93%が自然界に存在する既知の遺伝子と
つながりがない

巨大ウイルスの祖先は、ヒトも含めたすべての生物の共通祖先である可能性があります
巨大ウイルスの祖先:DNAレプリコン(巨大ウイルスの原型)
      プラスミド(DNA) タンパク質の元
          +         |   
      タンパク質の殻(カプシド)←┘   
          ↓             
      DNAレプリコンの誕生       
       (ほぼウイルス状態)        
          ↓             
      進化して脂質二重膜を獲得      
      (融合・分裂を繰り返す)      
          |   |         
   ┌──────┤   └───┐     
   |      |       |     
   |   ┌──┴─┐     |     
   ↓   ↓    ↓     ↓     
  細菌  古細菌  真核生物  巨大ウイルス  
 (細胞壁)(細胞膜) (細胞膜)  (脂質二重膜)  
                (カプシド)   
     脂質二重膜→細胞膜
     カプシド─→細胞壁

TOPウイルスと聖書TOP
ヨハネの福音書 第12章24節(地に落ちた麦)
「一粒の麦地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん、もし死なば多くの実を結ぶべし」
という聖書の一節
解釈1:種が割れて芽が出て大きく成長して、やがて多くの実を結ぶこと
解釈2:自分の命をも人のために捧げるとき、多くの実りが生まれること
聖者や信仰の厚い人はそうであろう
けれど、ウイルスは細胞に食べられることで増殖する

ドストエフスキーの最後の未完の大作、「カラマーゾフの兄弟」の見返しには、
この有名な聖句(ヨハネの福音書 第12章24節)が記されています
次へ前へTOP 19.感染症とは? 感染症の種類、感染見舞金制度、感染症の分類
TOP

>感染症とは?

TOP
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感染症とは?
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感染症とは?
   ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入して増殖し、発熱や下痢、咳等の症状がでること
   をいいます
   感染症には、インフルエンザのように人から人にうつる感染症のほかに、破傷風や日本脳炎
   のように人から人にはうつらず、傷口から、あるいは動物や昆虫から、感染する感染症も
   含まれています
   感染して発病する場合もあれば、ほとんど症状がでずに終わってしまう場合もあります
   また、一度症状がでるとなかなか治りにくく、時には死に至るような感染症もあります

感染経路
   感染症によって、病原体の体内への侵入方法が異なります
   大きく2つに分類すると、人からうつる感染症と、人以外からうつる感染症があります
   人からうつる感染症には、「接触感染」「飛沫感染」「空気感染」「経口感染」の4つの
   経路があり、感染症を予防するためにはそれぞれにおいて感染経路を断ち切るための対策
   が必要になります
   感染症の種類によっては複数の感染経路をとるものがあります

空気感染
   空気中を長時間・長距離ただよう病原体をふくむ軽くて、小さな粒子
   その粒子を含む空気を吸い込む
   なお、空気感染するものは、飛沫感染も起こりえます
   ◇空気感染する主な病原体
   ・細 菌:結核菌、百日咳菌
   ・ウイルス:麻しんウイルス、風しんウイルス、インフルエンザウイルス、
         水痘・帯状疱疹ウイルス、流行性耳下腺炎など
   ※結核菌は飛沫感染も起こり得ます。他の病原体は、飛沫感染と接触感染も起こり得ます

エアロゾル感染
   感染している人のそば、また、換気の悪い空間をただよう病原体をふくむ軽くて、
   小さな粒子
   その粒子を含むエアロゾルを吸い込む

飛沫感染
   会話、せきやくしゃみをした時にでる水分をふくむ、重くて、大きい微粒子
   数メートル先まで飛び、目・鼻・口にくっつく
   なお、飛沫感染するものは、接触感染も起こりえます
   ◇飛沫感染する主な病原体
   ・細 菌:A群溶血性レンサ球菌、百日咳菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマなど
   ・ウイルス:インフルエンザウイルス、アデノウイルス、風しんウイルス、
         ムンプスウイルスなど

接触感染
   便や吐物、飛沫にふくまれる病原体でよごれているもの
   よごれた手で、顔のねんまく(目・鼻・口)にさわる
   よごれた手で、食事をする
   なお、接触感染するものは、経口感染も起こりえます
   ◇接触感染する主な病原体
   ・ウイルス:感染性胃腸炎(ロタウイルス)、感染性胃腸炎(ノロウイルス) など

経口感染
   ウイルスや細菌に汚染された食べ物を、生または十分に加熱しないで食べた場合や、
   感染した人が調理中に手指等を介して食品や水を汚染し、その汚染食品を食べたり
   飲んだりした場合に感染します
   ◇経口する主な病原体
   ・ウイルス:感染性胃腸炎(ロタウイルス)、感染性胃腸炎(ノロウイルス) など

虫や動物から感染することもあります
※「病原体」は、人の体内に入りこむと悪さをする微生物(びせいぶつ)のこと

TOP感染症の種類TOP
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感染症の種類
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感染症の種類
ー 症状から感染症を探す ー
発熱 咳・喉
の痛み
鼻水 目の
充血
嘔吐 下痢・
腹痛
発疹 頭痛や
関節痛
インフルエンザ      〇  〇  〇              〇 
ノロウイルス       〇           〇  〇       
アデノウイルス      〇  〇  〇  〇  〇  〇       
麻しん(はしか)     〇  〇  〇  〇             
手足口病         〇                 〇    
腸管出血性大腸菌感染症  〇              〇       
RSウイルス        〇  〇  〇                
風しん          〇  〇              〇    
ロタウイルス       〇           〇  〇       
リンゴ病(伝染性紅斑)  〇  〇              〇    
溶連菌感染症       〇  〇              〇    
流行性耳下腺炎      〇                      
新型コロナウイルス感染症 〇  〇        〇  〇     〇 
水痘(みずぼうそう)   〇                 〇    
サルモネラ感染症     〇           〇  〇     〇 
レジオネラ症       〇  〇           〇     〇 
カンピロバクター感染症  〇           〇  〇       
ヘルパンギーナ      〇  〇        〇     〇    
結核           〇  〇                   
肺炎球菌感染症      〇  〇  〇              〇 
MRSA感染症        〇  〇        〇  〇  〇  〇 
ウイルス性肝炎                  〇  〇       
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人類を脅かしてきた感染症
天然痘:人類が根絶した唯一の感染症
紀元前エジプトのミイラに天然痘の痕跡がみられる
6世紀日本で天然痘が流行、以後、周期的に流行する
15世紀コロンブスの新大陸上陸により、アメリカ大陸で大流行
1980年WHOが天然痘の世界根絶宣言
50年で人口が8000万人から1000万人に減少
ペスト
540年頃ヨーロッパの中心都市ビザンチウム(コンスタンチノーブル)に広がる
最大で1日1万人の死者が出たといわれる
14世紀ヨーロッパで「黒死病」と呼ばれるペスト大流行
ヨーロッパだけで全人口の4分の1~3分の1にあたる2500万人の死亡といわれる
新型インフルエンザ
1918年スペインかぜが大流行
世界で4000万人以上が死亡(当時の世界人口18億人)したと推定される
1957年アジアかぜの大流行
世界で200万人以上の死亡と推定
1968年香港かぜの大流行 世界で100万人以上の死亡と推定
2009年新型インフルエンザ(A/H1N1)の大流行
世界の214カ国・地域で感染を確認、
1万8449人の死亡者(WHO、2010年8月1日時点)
新興感染症
1981年エイズ(後天性免疫不全症候群、HIV)
過去20年間で6500万人が感染、2500万人が死亡
1996年プリオン病
イギリスでクロイツフェルト・ヤコブ病と狂牛病との関連性が指摘される
1997年高病原性鳥インフルエンザ
人での高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)発症者 397人、
死亡者249人(2009年1月20日現在)
2002年SARS(重症急性呼吸器症候群)9ヶ月で患者数8093人、774人が死亡
再興感染症:結核
紀元前エジプトのミイラに結核の痕跡がみられる
1935~結核が日本での死亡原因の首位
1950年抗生物質により発生減少
現在抗生物質に対して抵抗性を示す結核菌が現れる
世界で20億人が感染、毎年400万人が死亡
マラリア
紀元前「マラリア」についての記録
6世紀ローマ帝国を中心に大流行
1950年代殺虫剤DDTなどによる根絶計画実施
現在DDT抵抗性のハマダラカが出現
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病原菌の発見
病原菌発見者
ハンセン病1875年アルマウェル・ハンセン(ノルウェー)
マラリア1880年シャルル・ルイ・アルフォンス・ラヴラン(フランス)
腸チフス1880年カール・エーベルト(ドイツ)
結   核1882年ロベルト・コッホ(ドイツ)
コ レ ラ1883年ロベルト・コッホ(ドイツ)
破 傷 風1884年アルトゥール・ニコライエル(ドイツ)
ブルセラ症1887年デビッド・ブルース(イギリス)
ペ ス ト1894年アレクサンドル・イェルサン(フランス)、北里柴三郎(日本)
赤   痢1898年志賀潔(日本)
梅   毒1905年フリッツ・シャウディン(ドイツ)
百 日 咳1906年ジュール・ボルデ(フランス)
チ フ ス1909年シャルル・ジュール・アンリ・ニコル(フランス)
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病原体:ウイルスと細菌と真菌(カビ)の違い
ウイルス細菌真菌(カビ)
人への感染 ウイルスは単独では
増殖できないので、
人の細胞の中に侵入し
増殖する
体内で定着して
細胞分裂で
自己増殖しながら、
人の細胞に侵入するか、
毒素を出して細胞を
傷害する
人の細胞に定着し、
菌糸が成長と枝分かれ
によって発育していく
酵母細胞では
出芽や分裂によって
増殖する
おもな病原体 ノロウイルス、
ロタウイルス、
インフルエンザウイルス、
アデノウイルス、
コロナウイルス、
麻疹ウイルス、
風疹ウイルス、
肝炎ウイルス、
ヘルペスウイルス、
HIVなど
ブドウ球菌、
大腸菌、
サルモネラ菌、
緑膿菌、コレラ菌、
赤痢菌、炭疽菌、
結核菌、ボツリヌス菌、
破傷風菌、
レンサ球菌など
白癬菌、
カンジダ、
アスペルギルスなど
おもな感染症 感染性胃腸炎、
インフルエンザ、
かぜ症候群、麻疹、
風疹、水痘、
肝炎(A型,B型,C型など)、
帯状疱疹、エイズなど
感染性胃腸炎、
腸管出血性大腸菌感染症、
結核、破傷風、
敗血症、外耳炎、
中耳炎など
白癬(水虫)、
カンジダ症、
アスペルギルス症など
治療 ウイルスは細胞膜がなく
人の細胞に寄生して
いるため、治療薬は
少ししかなく、開発段階
のものが多い
抗ウイルス薬としては、
ウイルスに直接作用
するものと、
免疫機能を調節する
ものがある
ポリオ、麻疹、風疹、
おたふくかぜ、日本脳炎
などのウイルスに対しては、
ワクチンの予防接種で
予防するが、
さまざまな深刻な
感染症のウイルス
についてはワクチン開発中
若しくはない
細菌の細胞に作用、
あるいは増殖を抑制する
抗菌薬が有効な治療薬で、
細菌の特性に応じた
さまざまなタイプの
すぐれた抗生物質と
合成抗菌薬がある
真菌の細胞膜を
破壊したり、
細胞膜の合成を
阻害する抗真菌薬
がある
★ウイルスと細菌と真菌の大きさはこちら→ウイルスの大きさ
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人の体に住む細菌
微生物は、私たちの身の回りだけでなく体内にもたくさん存在しています
そのほとんどが細菌で、常在細菌(常在菌)といいます
体の中は適度な温度と湿度と栄養があるため、常在細菌にとって、住みごこちのよい環境なのです
皮膚、口や鼻の中、消化管や泌尿器など、外部と接するところに住みついています
特に、腸内には、乳酸桿菌、ビフィズス菌、大腸菌、腸球菌、ウェルシュ菌など約400~500種類、
約100兆個もの腸内細菌がすみついていて、腸内の内容物を分解したり、ビタミンを産生したり、
免疫にも関与しているといわれています
このように、常在細菌は人の体に対して害を与えることなく、
病原体の侵入を防ぐなど有利に働きながら、うまく人と共存しています
しかし、人の免疫機能が低下して抵抗力が弱った場合には、
通常では無害の常在細菌が感染症を引き起こすことがあり、日和見感染といいます
善玉菌:私たちの体に有益な善玉菌の代表といえば、乳酸菌とビフィズス菌など
悪玉菌:私たちの体に害を与える悪玉菌はウェルシュ菌、病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌など
細菌叢:自然界に形成された微生物集団(くさむら)
細菌叢は顕微鏡で観察したときに色鮮やかなお花畑に見えたことから「フローラ」とも呼ばれます
また微生物(マイクローブ)の集合体(オーム)という意味で「マイクロバイオーム」とも言われます

日臨技 感染見舞金制度
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対象となる感染症名一覧

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1.「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に定める
一類~五類の感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症
分類 感染症名
一類感染症 【法】エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、
南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱
二類感染症 【法】急性灰白髄炎、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群
(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるもの
に限る)、
中東呼吸器症候群
(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスである
ものに限る)、
鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)
三類感染症 【法】コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、
パラチフス
四類感染症 【法】E型肝炎、A型肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、炭疽、
鳥インフルエンザ
(鳥インフルエンザ(H5N1及びH7N9)を除く)、
ボツリヌス症、マラリア、野兎病
【政令】ウエストナイル熱、エキノコックス症、オウム病、
オムスク出血熱、回帰熱、キャサヌル森林病、コクシジオイデス症、
エムポックス、ジカウイルス感染症、重症熱性血小板減少症候群
(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る)、
腎症候性出血熱、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、チクングニア熱、
つつが虫病、デング熱、東部ウマ脳炎、ニパウイルス感染症、
日本紅斑熱、日本脳炎、ハンタウイルス肺症候群、Bウイルス病、
鼻疽、ブルセラ症、ベネズエラウマ脳炎、ヘンドラウイルス感染症、
発しんチフス、ライム病、リッサウイルス感染症、リフトバレー熱、
類鼻疽、レジオネラ症、レプトスピラ症、ロッキー山紅斑熱
五類感染症 【法】インフルエンザ
(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く)、
ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く)、
クリプトスポリジウム症、後天性免疫不全症候群、
性器クラミジア感染症、梅毒、麻しん、
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
【省令】アメーバ赤痢、RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症、
急性弛緩性麻痺(急性灰白髄炎を除く)、
感染性胃腸炎、急性出血性結膜炎、急性脳炎
(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、
日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く)、
クラミジア肺炎(オウム病を除く)、クロイツフェルト・ヤコブ病、
劇症型溶血性レンサ球菌感染症、細菌性髄膜炎
(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌を原因として同定された
場合を除く)、ジアルジア症、侵襲性インフルエンザ菌感染症、
侵襲性髄膜炎菌感染症、侵襲性肺炎球菌感染症、水痘、
性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、
先天性風しん症候群、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、
播種性クリプトコックス症、破傷風、
バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症、
バンコマイシン耐性腸球菌感染症、
百日咳、風しん、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、
ヘルパンギーナ、マイコプラズマ肺炎、無菌性髄膜炎、
薬剤耐性アシネトバクター感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症、
流行性角結膜炎、流行性耳下腺炎、淋菌感染症
新型インフ
ルエンザ等
感染症
該当なし
指定感染症新型コロナウイルス感染症
(病原体がベータコロナウイルス属コロナウイルスであるものに限る)
新感染症該当なし
2.一般社団法人日本臨床衛生検査技師会が給付の対象とする感染症
疥癬、成人T細胞白血病、ウイルス性心外膜炎、伝染性単核球症、溶連菌感染による合併症
2020年2月1日現在
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけは、これまで、
2020年2月1日から「指定感染症」としていましたが、     
2021年2月13日から「新型インフルエンザ等感染症」に変更され、
2022年5月8日から「五類感染症」になりました        
エムポックス(2023.2サル痘より名称変更)
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感染症の分類と考え方

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分類実施できる措置等
一類感染症 感染力が強く、
発症した場合は非常に重篤な状態に陥る可能性がある
きわめて危険な感染症です。
原則的に入院が勧告され、
場合によっては交通制限が発動されることもあります。
二類感染症 感染力が強く、
発症した場合は重篤な状態に陥る危険が高い感染症です。
必要に応じて入院勧告が出され、
一定期間食品を取り扱う業務に就くことができなくなります。
三類感染症 発症した場合に重篤な状態に陥る危険性は少ないものの、
特定の職業に就業することによって
集団発生を引き起こす可能性がある感染症です。
一定期間、食品を取り扱う業務に就くことができなくなります。
四類感染症 主に動物を介して感染が拡がり、
健康に影響を与える恐れの高い感染症です。
対象となる動物の輸入禁止や検閲強化などの措置が取られます。
五類感染症 発生動向を調査し、
その情報を国民や医療従事者に周知することで、
発生予防に役立つと考えられる感染症です。
新型インフ
ルエンザ等
感染症
人から人に感染することが分かった
新しいタイプのインフルエンザです。
多くの方が免疫を持っていないため全国的に大流行し、
発症すると重篤な状態に陥る可能性があると考えられています。
必要であれば、一類感染症と同様の対処が取られることがあります。
指定感染症 すでに知られている感染症の中で
一類~三類感染症には分類されていないものの、
適切な対処を講じなければ多くの国民の健康に重大な影響を及ぼす
と考えられる感染症です。
原則一年間に限定して政令で指定され、
一類~三類に準じた措置がとられます。
新感染症 新たに人から人に感染することが認められ、発症すると
重篤な状態に陥る危険が極めて高いと考えられる感染症です。
行政機関による措置はそれぞれの危険性を考慮した上で決められます。

TOP感染症と文学TOP
アルベール・カミュ「ペスト」 → オランの町のロックダウン
志賀直哉「流行感冒」 → 世界的な流行となったスペイン風邪を題材とした作品

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ウイルス学

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ウイルス学 18.~19.のまとめ+α
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ウイルス学
第1章 ウイルスという存在
   1 生物のような無生物
      ①ヒトは微生物によって生かされている
      ②ウイルスを知らなかったダーウイン
   2 生き物は感染症で進化した
      ①感染症の功罪
      ②ヒトもウイルスと共進化した
      ③ウイルスの立場で見ると…
      ④微小な生命体に満ちあふれているヒトのからだ
   3 ウイルスの姿を追う
      ①画期的な発見
      ②すべての生物がウイルスと共生
      ③1億光年の長さ
      ④共生する生物との大きな違い
第2章 ウイルスの起源を探る
   1 生物とウイルスの関係
      ①起源に迫る糸口をつかむ
      ②細胞性生物の起源
      ③起源に関する3つの考え
      ④RNAウイルスの進化
   2 祖先型ウイルスを探す
      ①祖先の姿
      ②ミトコンドリアに感染するミトウイルス
   3 生命の樹と巨大ウイルス
      ①手がかりは共通遺伝子
      ②巨大ウイルスの発見
      ③海の中にもいる
      ④起源をさかのぼる
   4 古い起源をもつウイルス
      ①真核生物誕生との関わり
      ②遺伝子が独立した可能性
      ③最古のウイルスを探して
第3章 インフルエンザウイルスの進化
   1 100年前の流行り病
      ①スペイン風邪ウイルス
      ②亜型を生む遺伝子再集合
      ③新型インフルエンザウイルスの誕生
      ④起源は水鳥か
   2 マイナス鎖RNAウイルスの進化
      ①脊椎動物との長い付き合い
      ②無脊椎動物までさかのぼる
      ③複雑な進化的関係
第4章 動物からもたらされる感染症
   1 動物から始まったウイルス感染症
      ①身近な存在
      ②命がけの研究
      ③野生動物からの流出
   2 ヒトと感染症の歴史
      ①集団感染症はいつから?
      ②コウモリ駆除は得策か
      ③なぜヒトに感染するようになったか
      ④自業自得の面も
   3 ミイラの天然痘ウイルス
      ①天然痘ウイルスの謎
      ②古代DNA解析が照らす起源
   4 コウモリ由来の感染症
      ①ウシの感染症
      ②麻疹ウイルスの起源
      ③18世紀ヨーロッパの感染症対策
      ④コウモリ経由で感染
      ⑤風疹ウイルスの起源
      ⑥コウモリの独自性
   5 コウモリはウイルスの貯蔵庫
      ①特別な動物なのか
      ②宿主の大量絶滅とウイルスの絶滅
第5章 動物の行動を操るウイルス
   1 ウイルスの家畜化
      ①わが内なる小宇宙
      ②ファージの発見
      ③昆虫への「内在化」
      ④”残酷”な共進化
      ⑤驚くべき働き
   2 宿主の行動を操るウイルス
      ①共生のかたち
      ②死への誘い
      ③ウイルスを使った害虫駆除
      ④目には目を
   3 アルボウイルスの正体
      ①媒介する節足動物
      ②ウエストナイル熱・脳炎
      ③起源とヒトへの病原性
      ④野鳥の関与
      ⑤フラビウイルス属の進化
      ⑥共生細菌ボルバルキア
第6章 進化の目で見るウイルス
   1 新型コロナウイルス感染症のゲノム解析
      ①ゲノム配列公開
      ②突然変異しやすい理由
      ③ゲノムデータで追った感染経路
      ④祖先ウイルスのゲノム配列
   2 新型コロナウイルスの起源
      ①仲間を探す
      ②ザンコウ由来ウイルス
      ③説得力のあるシナリオ
      ④闇に包まれた数十年間
      ⑤起源に迫る分子時計
   3 ヒトコロナウイルスの進化
      ①SARSコロナウイルスの起源
      ②MERSコロナウイルスの起源
      ③コロナウイルスの多様な起源
   4 コロナウイルス科の進化
      ①コロナウイルスの命名者
      ②進化の時間スケール
      ③系統樹をさかのぼると見えること
      ④共通祖先は数億年前に存在したか
第7章 ヒトとともに進化するウイルス
   1 私たちのゲノムに潜むウイルス
      ①内在化するレトロウイルス
      ②ジャンクDNAはウイルス起源か
      ③レトロトランスポゾンのはたらき
      ④進化における予想外の使われ方
   2 動物進化に関わるウイルス
      ①胎盤の進化
      ②父親由来の遺伝子の働き
      ③レトロウイルス由来の遺伝子
      ④胎盤を守るシンシチン
      ⑤レトロウイルスの役割
   3 内在化する意外なウイルス
      ①ボルナウイルスの活用例
      ②内在化するボルナウイルス
      ③感染を防ぐ効果
      ④もうひとつの役割
   4 外来性ウイルスと哺乳類の共進化
      ①泡沫状ウイルスは語る


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参考図書

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        タイトル       :     発行所    発行
ウイルスとは何か
        :    中央公論新社 2023年
ウイルスの本当がわかる
     :      さくら舎 2019年
ウイルスと感染症
        :    NEWTON PRESS 2015年
HP作成者:

中村三郎

,船橋市咲が丘