激しさをゆるめる煙草吸っている  
八十歳の傘に寿命がつきまとう
花いっぱい植えて寿命と根くらべ
破顔一笑鼻から煙吐いている  
反省をしている虫が鳴いている
初夢に死んだ男が現れる
バランスを崩して仕舞う義援金  
八方美人だったなあ茜雲
八十二歳そんなに無理をするでない
薔薇まっか隣の庭は美しい
反逆の芽が切り株に生えてきた
反逆の芽が切り株に生えてきた
日の丸の旗たましいの置きどころ  
人殺す練習をした少年期
人の世は光と陰の中にあり
灯を消せば女は怖くなるらしい  
光るものしっかり抱いた仏さま
人並みに大根の種蒔いておく
美術館絵から聞こえるわらべ唄  
美談ばっかり描いている設計図
仏滅を大安にしておめでとう
仏滅を大安にする窓を拭く
ふたりとも喉が渇いて目を覚ます  
風鈴の音色を変える西の風
笛を吹く少年月の使者たりや
筆に墨個性大事に書き初め
報恩講終わりの鐘を三つ打つ  
盆踊り復活させる染め浴衣
放射能ここまで飛んでくる頃か
放射能地図を離れて飛んでいる 
ボランティアする人金をもらうひと 
防災のブーツをはいてボランティア
煩悩を入れる器が小さくて
煩悩の空念仏に月が出る