西表の海亀と地球環境(非公式文書)修正中

西表の海亀を守る会

西表島は日本の南西端に位置し、熱帯に近い亜熱帯の島で、自然環境に恵まれ、環境破壊とは無縁の島と思われがちですが、地球規模での温暖化による、台風の多発や巨大化、海水温の上昇による珊瑚の白化や異常潮位、それらに伴う海岸浸食や、産業活動による赤土流出などの大きな環境破壊が進行しています。
私達が、2004年より、海亀の産卵状況の調査を始めて驚いたことは、予想以上に卵の流失が多かったことです。それまで、海亀に関するマスコミの報道では、漂流ゴミの誤食、漂着ゴミによる海岸の環境悪化、海岸への車両の乗り入れなどは報じられていましたが、冠水や流失の被害がこれほど酷いとは予想外でした。
2005年からは、移植を実験的に始めましたが、7月から多数の台風が接近したために南海岸では、産卵調査前の大半の卵が被害に遭いました。
そして、2006年から本格的に移植による保護活動を計画していたところ、環境省が、突然国立公園特別地域で、ウミガメ類を指定動物(*1)に指定したために(指定にも反対しました)、保護に許可が必要になり、許可申請をしましたが、2006年度は移植の危険性や、保護での許可は出せないなどの理由で、放置され、緊急避難的に台風接近時にのみ移植をしましたが、台風の被害は予想以上に大きく、保護活動が十分できませんでした。
2007年は台風に備え積極的に移植を行いましたが、台風の影響が、9月頃まで少なかったことや大型台風の接近が、大潮と重ならなかったことで、全滅状態は免れました。
そのため、保護活動が無くても70%程(自然状態での孵化率程度)が無事孵化したと考えられます。しかし、台風の襲来が予測されない以上、産卵後速やかに移植することが生存率の維持からも必要で、事前に移植するしかありません。
移植により保護された数は最大500個位と考えられます。

西表の海は恐らく日本で1番浸食が激しい海岸だと思います。
原因は、前文でも触れたように、地球温暖化による水温の上昇とそれに伴う台風の多発と大型化、赤土汚染や高水温による珊瑚礁死滅やオニヒトデによる食害により珊瑚礁の消波効果の減少が考えられ、全ての元凶は人間活動の結果起こっていると考えられます。
余りに、急激な環境変化のために、ウミガメ達は安全な浜や安全な地域を見いだせないまま、本能に従って、浜に産卵しますが、台風の高潮は毎年海岸林を約2mも浸食している現状では,多くの卵が、被害に遭うことになります。

人類は地球温暖化で絶滅はしませんが、野生生物の多くは影響を受け1部の種は絶滅することになります。
西表の海亀も、放置すれば徐々に減少し、やがては西表生まれのウミガメは皆無となることでしょう。

2007年のサミットで2050年までに、炭酸ガス排出量を半減することが合意されましたが、排出ガス取引や、森林吸収分を算定に含めるため大きな排出削減にはなりそうにありません。しかもその中には地中埋設という危険な行為も含まれ、地球温暖化に歯止めは掛かりそうにありません(*2)。
勿論、日本国内の環境対策は、原発や環境税の創設で排出ガス取引をやるしかないわけで、庶民の暮らしも環境も破壊尽くされることになりそうです。


*詳細説明*
(*1)指定動物
 環境省が、国立公園特別地域で、法的に採集などを禁止している動物
 一般的に国立公園では、全ての動植物が、保護対象と思われているが、法的には指定動植物以外は規制を受けない。
 国立公園特別地域では基本的に何もしない保護(プロテクト)が原則で、地球規模での環境破壊が起こっている現状に合致せず、時代遅れの保護政策といえる。

 (*2)地球温暖化防止
  COの森林吸収はいずれは分解されて、大気中に戻りますし、排出ガス取引では買い取り企業や国は排出を維持することになり、途上国の生活水準の向上に伴い全体量としては増加することになります。初期段階の取り組みとしては、効果が期待できますが、全体としては、増加することも有り得るわけです。
 排出ガス削減を達成するには、車社会や自由主義経済の見直し、平和主義(軍縮)や格差社会の是正などが必要で、最短の近道だと考えます。環境問題は、環境の問題だけではなく、人権や民主主義、反戦といった処にまで関わりを持って初めて解決可能で、実現できることだと考えます。


2008年6月26日
2009年3月8日一部修正
文責 衣斐 継一

  
2007年台風15号の波と雨で浸食された浜     アオウミガメの仔亀の脱出


  卵の移動


トップページへ