奥村泰之, 坂本真士, 友田貴子, 木島伸彦:http://dx.doi.org/10.1016/j.paid.2008.09.021
Okumura Y, Sakamoto S, Tomoda A, Kijima N:
目的: 多くの抑うつ研究では，調査対象を自己記入式尺度の得点から，抑うつ群あるいは非抑うつ群に分類している。しかし，このような手続きを使用する統計学的な合理性は，あまりないことが知られている。本研究では，自己記入式抑うつ性尺度 (the Zung Self-rating Depression
Scale, SDS) で測定される抑うつは，質的か量的かを，分類分析と情報量基準による潜在変数モデリングを用いて検討することを目的とした。
方法:
調査対象は2187名の日本人大学生である。抑うつの潜在構造は，MAMBACとMAXEIGにより評価した。さらに，収束的妥当性の確認のために，情報量基準による潜在変数モデリングを実施した。
結果:
すべての分析の結果，SDSで測定されている抑うつの潜在構造は，量的であることが一貫して示された。
結論:
抑うつのアセスメントのためには，自己記入式尺度の得点から，研究者は調査対象を慣例的なカットオフを使って分類すべきでない。さらに，群間比較を行うような研究デザインよりも，幅広い抑うつの重症度を反映できるよう，相関研究を行うことが推奨される。
関連論文
奥村泰之, 坂本真士: 抑うつの連続性議論: より質の高い研究に向けての提言.
心理学評論 52 (4): 504-518, 2009.
Okumura Y, Sakamoto S, Ono Y: Latent structure
of depression in a Japanese population sample: taxometric procedures.
Australian and New Zealand Journal of Psychiatry 43 (7): 666-673,
2009.
奥村泰之, 亀山晶子, 勝谷紀子, 坂本真士: 1990年から2006年の日本における抑うつ研究の方法に関する検討.
パーソナリティ研究 16 (2): 238-246, 2008.
Cited by
The latent structure of depression among Chinese: A taxometric analysis in a nationwide urban sample. PsyCh Journal 3 (4): 234–244, 2014. 松本麻友子: 反すうによる抑うつの持続プロセスおよび緩衝要因の検討: 反すうの構造・機能に着目して. 名古屋大学博士論文. 2014. Duong, D: Dysphoria and facial emotion recognition: Examining the role of rumination (Doctoral Dissertation). 2012. Haslam N, Holland E, Kuppens P: Categories versus dimensions in personality and psychopathology: a quantitative review of taxometric research. Psychol Med. in press. Kawamoto S,
Kosugi K:
Classifying depression in university students by using the latent structure model. Bulletin of the Faculty of Education, Yamaguchi University 60: 109-114, 2011. Davydov DM, Stewart R, Ritchie K, Chaudieu I: Resilience and mental health. Clinical Psychology Review 30 (5): 479-495, 2010. Prisciandaro JJ: An investigation of the latent structure of mania in the epidemiologic catchment area (Doctoral Dissertation). 2009
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