04 「ソウル……起きろ。ここで、このまま眠る気か? 」 …… 「……風邪をひいても、しらんぞ」 …… 「ソウル……、」 …… くす、と呆れたような笑い声と、 髪に落ちてきたぬくもり。 そのまま額に、頬に降った淡い接触が、唇にも降って、離れる。 それが切ないほどに名残惜しくて、――寂しくて。 ゆるく回していた腕を引き寄せ、離れていこうとする体温をぎゅうと抱きしめる。 「起きたのか?」 「…………ん、」 目は閉じたままで、寝言かとも取れるようなその反応の割に、けして離さないというように腕は解けない。キッドは軽く身じろぎした後、細い吐息とともにそこから逃れることを諦めた。 「……明日は、どうしようか」 「……」 「久しぶりに、ゆっくり時間が取れそうだし……どこか、出かけるかな」 「…………」 「ソウル」 「………………い」 「?」 ――どこへも、いかない。 掠れた囁きを最後に、眠りの底へ落ち規則的な寝息を立てる恋人に、キッドは再びくすりと笑いを漏らした。 「そうだ、な」 小さく呟き、回された腕にそっと手を添える。 その約束はきっと果たされるのだろうと、分かってはいたけれど。 それでも、いつかのように軽く袖を掴んで、目を閉じた。 「……おやすみ。良い夢を」 [end.] |