映画『落葉樹』
出演情報
主人公の少年の次姉(秋子)役。芸名:若葉しをり。
映画の解説では主人公8歳、次姉15歳、長姉17歳ということになっているが、映画の中でも年は経っており、秋子が11歳頃から15歳ぐらいまでの話ではないかと思われる。尋常小学校が6〜11歳、高等小学校が12〜13歳、広島の看護学校は高等小学校卒業後が要件のようである。そこから考えると、最初のコウモリと遊ぶ頃は11歳頃、海水浴や川遊びは12歳、看護師になるため家を出るのが14歳、母親が亡くなるのが15歳頃になると思われる。
役名は解説などでは明らかにされておらず、名前を呼ばれるシーンもないが、長姉からの手紙の中に「秋子」と書かれている。
新藤兼人監督は明治45年(1912年)生まれであり、時代設定は大正時代である。広島県の田舎の話ではあるが、かなり裕福な家庭であり、小学校の同級生たちは着物であるのに秋子達は制服を着ている。着物も振り袖でカラーでないのが残念。白いワンピース姿が印象的であるが、浴衣姿もなかなかかわいい。
主人公と年齢が近いため、遊び仲間の面と姉の手伝いをするのが家での役割のようである。大人の会話には加わらないが、お手伝いはするという昔の子どもの姿であろう。看護学校に行くことにした心の動きなどは一切描かれていないが、家の窮状を見て家を出ることを決心したのだと思われる。
若葉しをりについて
映画の公開は15歳になってからであるが、撮影は13歳の時にされたものと思われる。インタビュー記事によると、風呂に入るシーンがあった言われているが、本編にはない。風呂のシーンは母親と主人公が風呂でのコミュニケーションの場面や諸老人を訪ねてきた女性が風呂に入るシーンがあるなど多い。新藤兼人監督はそういったシーンが好きらしいので撮影されていた可能性は高い。決定稿の映画台本では母が主人公を洗っているところに秋子が入っていくシーンが書かれている(スイカを食べるシーンの直後)。編集上でカットされたと思われるが、ぜひ見てみたいものである。新藤監督には気に入られていたようで、芸名の若葉しをりは新藤兼人監督がつけたといわれている。
セリフは少なく、演技も少ない。表情もそれほど要求される場面は少ないが、要所要所でのセリフや行動がアクセントになっている。「やーい腰びょうたん」はやはり若葉しをりが言うべきセリフであろう。
笑顔のシーンが少ないのが残念。川遊びのシーンでは13歳のさわやかな肢体を見ることができる。彼女のヌードを見ることができるのはこのシーンと『君はキラリ』の中だけである。
お兄さんはイケメン、長姉の久代(園みどり)も美人であり、若葉しをりも美人であることから選ばれた可能性もある。
作品情報
新藤兼人の自伝的要素の色濃い作品で、老作家の少年時代の回想を通して、亡き母への追憶と思慕を描く。父親が知人の借金の連帯保証人になったために、山や田畑、屋敷を失うことになった広島のある農家を舞台に、常に泰然自若としている父、20歳の長兄、17歳と15歳の姉、8歳の主人公、そしてそれを見守る母親のひたむきな姿を心優しく描く佳編。
公開 | 1986年11月15日 |
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配給 | 近代映画協会 |
時間 | 105分 |
監督・脚本・原作 | 新藤兼人 |
出演 | 小林桂樹、乙羽信子、財津一郎、山中一希、川道信介、園みどり、若葉しをり、梶芽衣子、初井言栄、殿山泰司、菅原悠乃、戸浦六宏、馬場当、大滝秀治、岡本真実、深山富貴子、森塚敏 |
プロデューサー | 高島道吉・能登節雄・遠藤雅也 |
撮影 | 三宅義行 |
美術 | 重田重盛 |
音楽 | 林光 |
録音 | 八木橋萬年 |
照明 | 山下博 |
編集 | 近藤光雄 |
助監督 | 松井稔 |
スチール | 小林郁夫 |
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