氏に関する民法の条項 750条(夫婦の氏)、751条(生存配偶者の復氏)
767条(離婚による復氏)
790条(子の氏)、 791条(子の氏の変更)
810条(養子の氏)
816条(離縁と氏)
氏に関する戸籍法の条項 16条(婚姻による戸籍の変動)
17条(三代戸籍禁止の原則)
18条(子・養子の戸籍)
19条(離婚・離縁等により復氏する者等の戸籍)
20条(入籍すべき者に配偶者がある場合の新戸籍編製)
98条(父又は母の氏を称する入籍の届出) … 改氏入籍
子が氏を異にする場合:婚姻・離婚・婚姻取消・準正・非嫡出子・養子・離縁・縁組取消
=法律上当然に氏が変動する場合
(身分上の地位の変動に当然に伴う場合)
意思表示による氏の変動:生存配偶者の復氏
(姻族関係を終了させても氏は変わらない)
婚姻により氏を改めた配偶者の他方配偶者の死亡による復氏は
姻族関係を終了させない(氏に実体法的権利義務は伴わない)
子の氏の変更(家裁許可、15歳未満の子は法定代理人が申立)
父の認知があっても認知された子の氏は変わらない、等々
未成年の子は成年後1年以内に従前の氏を称する復氏入籍の届出可
※下記では、離縁の際の縁氏続称(73-2)届、離婚の際の婚氏続称(77-2)届はしない前提とした
※下記の元戸籍とは、今次の縁組又は婚姻前の戸籍を指すが(最初は親戸籍)
離縁や離婚で戻るときは、元戸籍が未だ除籍されずに存する場合は元戸籍
元戸籍が除籍の場合や申出あれば新戸籍を編製
独身者が養子
① 独身者が養子となった場合 … 養子が未成年者の場合の養子縁組の要件 → 養子
(元戸籍) (養親戸籍)※1 (新戸籍)
┏━━━━━┓ 縁組 ┏━━━━━┓ 婚姻 ┏━━━━━┓
┃ 元の氏 ┠───→┨縁組後の氏┠───→┨婚姻後の氏┃※2
┗━┯━┯━┛ ┗━┯━┯━┛ ┗━┯━┯━┛
↑ ↑ 離縁 │ ↑ 離婚 │ │
│ └────────┘ └────────┘ │離縁
│ ↓
│ 離婚 ┏━━━┷━┓
└───────────────────┨婚姻後の氏┃
┗━━━━━┛
※1:戸籍の筆頭者やその配偶者が養親になった場合は養子は養親戸籍に入籍
それ以外の者が養親となった場合は養親について新戸籍を編製して養子
はその新戸籍に入籍(戸籍法17条:三代戸籍禁止の原則)
民法810条(養子の氏)養子は、養親の氏を称する。
ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき
間はこの限りでない。
※2:民法750条(夫婦の氏)
夫婦は婚姻の際に定めるところに従い夫又は妻の氏を称する
婿養子
②婿養子:跡継ぎ養子の一種(養親の氏を称して、養親の娘と結婚)
縁組してから婚姻の場合(婚姻してから縁組の場合は次の③と同じ)
(元戸籍) (養親戸籍)
┏━━━━━┓ 縁組 ┏━━━━━┓
┃ 元の氏 ┠───→┨縁組後の氏┃
┗━━┯━━┛ ┗━┯┯┯━┛
↑ 離縁 │↑│
└─────────┘││婚姻
(新戸籍) 離婚│↓
┏━━━━━┓ 離縁 ┏━━┷┷━┓
┃ 元の氏 ┠←───┨縁組後の氏┃※3
┗━━━━━┛ ┗━━━━━┛
離婚後も同じ (新戸籍)
※3:婚姻の際に称する氏を夫として戸籍筆頭者を夫にした場合である(跡継ぎ)
夫でなく妻とした場合は、離縁しても氏は不変、後の離婚で元戸籍に戻り元の氏
筆頭者が養子
③婚姻により氏を改めていない者が養子となった場合(戸籍の筆頭者となった者が養子)
(元戸籍)
┏━━━━━┓
┃ 元の氏 ┃
┗━┯━┯━┛
↑ │
離婚│ │婚姻
│ ↓ (新戸籍)
┏━┷━┷━┓ 縁組 ┏━━━━━┓
(新戸籍)┃ 元の氏 ┠───→┨ 縁組後の氏┃※4
┗━━━━━┛ ┗━┯━┯━┛
婚姻後の氏 離縁 │ │
でもある ┌─────────┘ │離婚
↓※5 ↓
┏━━┷━━┓ 離縁 ┏━━━┷━┓
(新戸籍)┃ 元の氏 ┠←───┨縁組後の氏┃
┗━━━━━┛ ┗━━━━━┛
※4:養子は配偶者を伴なって入籍し、縁組後の氏を称する(随従入籍)
(民法750条)(戸籍法20条)夫婦の子は縁組前の戸籍に残る
養子の縁組前の子の入籍届は夫婦が婚姻中につき家裁の許可は不要
配偶者の連れ子は家裁の許可必要(民法791条)(戸籍法98条)
※5:H02年10月05日民2第4400号民事局長通達
夫婦が養子となる場合又は婚姻の際に氏を改めなかった者が養子と
なる縁組届があった場合には、夫婦について新戸籍を編製するもの
とし、これら縁組について離縁届があった場合にも新戸籍を編製す
る取り扱いとする
配偶者が養子
④婚姻により氏を改めた者が養子となった場合(戸籍の筆頭者の配偶者となった者が養子)
(元戸籍) (新戸籍)
┏━━━━━┓ 婚姻 ┏━━━━━┓
┃ 元の氏 ┠───→┨ 婚姻後の氏┃配偶者
┗━┯┯┯━┛ ┗━┯━┯━┛
↑↑↑ 離婚 │ │
││└────────┘ │縁組
││ ↓ (養親戸籍)
││ ┏━━━┷━┓ 離婚 ┏━━━━━┓※1
││ ※6┃婚姻後の氏┠───→┨ 縁組後の氏┃(①の注を参照)
││ ┗━━┯━━┛ ┗━━┯━━┛
││ │ │
││ │離縁 │
││ ↓ │
││ 離婚 ┏━━┷━━┓ │
│└───────┨婚姻後の氏┃ │
│ ┗━━━━━┛ │
│ │
│ 離縁 │
└──────────────────────┘
※6:婚姻により氏を改めた者は縁組しても婚姻中は婚姻後の氏のまま(民法810条但書)
配偶者の連れ子
⑤配偶者の連れ子を養子とした場合(婚姻により氏を改めた者の子を戸籍の筆頭者の養子)
(元戸籍) (新戸籍)
┏━━━━━┓ 婚姻 ┏━━━━━┓A1:家裁の許可を得て連れ子の入籍
┃ 元の氏 ┠───→┨ 婚姻後の氏┃B1:近々養子にするのであれば現時点で
┗━┯┯┯━┛ ┗━┯━┯━┛ 家裁の許可を得て連れ子の入籍不要
↑↑↑ 離婚 │ │
││└────────┘ │縁組
││ ↓
││ 離婚 ┏━━━┷━┓A2:同戸籍にいる配偶者の連れ子を養子
│└───────┨婚姻後の氏┃ にする
│ 離縁(A4) ┗━━┯━━┛B2:配偶者の元戸籍から配偶者の子が
│ │ 養子入籍
│ │離縁
│ ↓
│ 離婚 ┏━━┷━━┓A3:離縁記載のみで配偶者の連れ子は同
└────────┨婚姻後の氏┃ 戸籍
┗━━━━━┛B3:配偶者の連れ子は配偶者の元戸籍に
戻る
同戸籍後に養子縁組:A1→A2→A3/A4(離婚+離縁)の順
別戸籍から養子縁組:B1→B2→B3の順
自分の連れ子
⑥戸籍の筆頭者の連れ子を再婚相手の養子とした場合
(元戸籍)
┏━━━━━┓
┃ 元の氏 ┃
┗━┯━┯━┛
↑ │
離婚│ │婚姻(再婚)
│ ↓
┏━┷━┷━┓
(新戸籍)┃ 元の氏 ┃婚姻後の氏でもある
┗━┯━┯━┛
↑ │
離縁│ │縁組
│ ↓
┏━┷━┷━┓
┃ 元の氏 ┃後の離婚は併せて離縁もするはず(戸籍は再婚配偶者のみ除籍)
┗━━━━━┛
転養子
(元戸籍) (養親戸籍) (転養親戸籍)
┏━━━━━┓ 縁組 ┏━━━━━┓ 転縁組 ┏━━━━━┓
┃ 元の氏 ┠───→┨ 縁組後の氏┠───→┨ 転縁組後氏┃
┗━━━┯━┛ ┗━┯━┯━┛ ┗━┯━━━┛
↑ 離縁 │ ↑ 離縁 │
└────────┘ └────────┘
※7:転養子:養子が離縁をしないで、更に養子となること
死後離縁
⑧死後離縁(養親死亡の場合)
(元戸籍) (養親戸籍)
┏━━━━━┓ 縁組 ┏━━━━━┓ ※1
┃ 元の氏 ┠───→┨ 縁組後の氏┃(①の注を参照)
┗━┯━┯━┛ ┗━┯━┯━┛
↑ ↑ 離縁 │ │夫婦共同縁組をした養親の内
│ └────────┘ │死亡した一方のみと死後離縁※8
│ ↓
│ 他方と離縁 ┏━━━┷━┓夫婦共同縁組をした養親の
└────────┨縁組後の氏┃一方のみと離縁した場合は、
┗━━━━━┛養子は縁組前の氏に戻らない
※8:死亡した養親又は養子との離縁(死後離縁)はあらかじめ家裁の許可を要する
(相続財産、扶養や祭祀の免脱目的有無等を審理)
特別養子
(元戸籍)民法817条の2(新戸籍)※9※10 (養親戸籍)
┏━━━━━┓裁判確定┏━━━━━┓ 縁組 ┏━━━━━┓
┃ 元の氏 ┠───→┨ 養親の氏 ┠───→┨ 縁組後の氏┃
┗━━━━━┛ ┗━━━━━┛ ┗━━┯━━┛
↑ │
│元戸籍が養親:実親戸籍と別 │
│元戸籍が実親:元戸籍と同一 │
↓ │
(実親戸籍) │
┏━━━━━┓ 離縁※11(実親戸籍に復籍) │
┃ 実親の氏 ┠←─────────────────┘
┗━━━━━┛ 除籍/申出の場合は子の新戸籍編製
※9:従前本籍地に養親の氏で養子だけの単身戸籍編製
(裁判確定日、養父母氏名、前後戸籍)
戸籍法20条の3(特別養子の新戸籍編製)、
直ちに養親の戸籍に入籍、単身戸籍消除
(例外)単独特別養子縁組:実母の戸籍→養父の戸籍に実母と同時に入籍→父の名前を変更
※10:夫婦と同籍する一方の非嫡出子を他方の特別養子とする場合は養子の戸籍に変動が
ない
戸籍法20条の3第1項但書(養子が養親の戸籍に在るとき)…単独特別養子縁組
※11:民法817条の10(特別養子縁組の離縁)
養子、実父母又は検察官の請求、家裁審判
養子が特別養子となった場合の離縁は養親族関係は復活せず、
実親族関係のみ復活する
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