<親族と法律>
表1 親族と民法
民法上の効果 |
親族 |
民法第四編親族・他 | 総則、親族、婚姻、親子(実子、養子)、親権、後見、扶養
親子関係の特質(監護教育) → 親子の人間関係の類型化
民法725条(親族の範囲)、民法726条(親等の計算)
→ 親族の変動 → 婚姻と縁組 → 親権者 → 扶養義務
|
届出に伴う戸籍の変動 |
→ 戸籍の届出 → 千葉市:届出に伴う戸籍の変動 |
婚姻 |
近親婚の制限 | 直系血族間、3親等内の傍系血族間、直系姻族間の婚姻禁止 ただし養子と養方の傍系血族間は許される → 近親婚の制限 |
不適法婚の取消 | 不適法婚:不適齢婚(男18女16未)、重婚、再婚禁止期間、近親婚 取消請求権者:当事者、親族、検察官 |
婚姻による姻族関係発生 | 婚姻により配偶者と相手方配偶者の血族との間に姻族関係が発生
親族関係は3親等内の姻族に限る → 姻族親等図 |
姻族関係の終了 | 離婚により配偶者及び3親等内の姻族との親族関係は終了する
配偶者の死後、生存配偶者が姻族関係終了届を提出の場合も終了
死亡配偶者の血族の側から姻族関係を終了させることはできない
死亡配偶者の戸籍から婚姻前の戸籍に戻るには「復氏届」
婚姻前に戻らず別戸籍を作るには「復氏届」+「分籍届」
以上、全て生存配偶者のみ移動、子の戸籍は移動しない
※生存配偶者の復氏及び姻族関係の終了
※相続財産は返す必要がなく相続や遺族年金の資格も消えない
※事前に、事情で難しければ届出後、姻族方に意思表示が無難
離別/死別して復氏した元配偶者が「子の氏の変更」の家裁許可
を得て子を自分の戸籍に入籍は(入籍届)
※入籍子と祖父母は血族ゆえ孫は祖父母の代襲相続人たり得る |
親族関係終了後の制限 | 直系姻族であった者同士の婚姻禁止 → 近親婚の制限 直系血族であった者同士の婚姻禁止(離縁養方、特別養子実方) |
親子(実子) |
夫死後の嫡出子否認の訴 | 夫の3親等内の血族 → 3親等内の血族図 |
任意認知の承諾者 | 例外として下記の者(認知される者)の承諾を要する 成年子、胎児の母、死亡子の成年直系卑属 |
強制認知(裁判認知) | 原告:子、子の母・後見人、死亡子の直系卑属 被告:父、父死後は3年以内に検察官 |
親子(養子) |
縁組の制限 | 尊属または年長者養子、養親が未成年者の縁組禁止 |
縁組による親族関係発生 | 養子と、養親及びその血族との間に血族間と同一の親族関係
→ 養子、特別養子 → 婚姻と縁組 → 離婚と離縁 |
離縁による親族関係終了 | 養子、その配偶者、直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族 との親族関係は、離縁によって終了する |
法定血族関係解消 | 縁組当事者の一方の死亡後、生存当事者は家裁の許可を得て離縁
することができる(72条の離縁届)
これにより養子と養親血族の法定血族関係は解消される |
親権 |
親権・管理権 | 未成年者の親権者/後見人 → 親権者 |
親権・管理権喪失請求権 | 子の親族 |
親権等の失権取消請求権 | 本人またはその親族(親権・管理権喪失宣告の取消) |
後見 |
法定後見申立 |
申立:本人、配偶者、4親等内の親族、その他の申立権原ある者
市区町村申立は2親等以内の親族の有無確認でよい
家裁へ申立 → 成年後見申立者
本人の同意→補助:必要,保佐・後見:不要
| 任意後見監督人の選任 | 申立:本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者 家裁へ選任申立:任意後見開始手続
本人以外からの申立は本人が意思表示できる場合、本人の同意 |
扶養 |
扶助義務 | 夫婦の扶助義務、直系血族・同居親族の相互扶助 |
扶養義務者 |
親の未成熟の子に対する扶養義務(生活保持レベル)
親族間の扶養義務者(生活扶助レベル) → 扶養義務者一覧 |
相続 |
不法行為の慰謝料請求権 | 被害者の遺族(父母・配偶者・子)、内縁の遺族(配偶者)
傷害による賠償請求権者は利害関係ある近親者(2親等以内)
にも及ぶ(利害関係:治療費支払・精神的苦痛による慰謝料) |
推定相続人 | 推定相続人(将来相続人になり得る者←単なる期待権) |
相続人 | 子→親→兄弟姉妹の順で決まる相続人と配偶者 → 相続人
相続人の範囲、相続の順位、数次相続、代襲相続人──┘ |
家附の継子と相続税法 15条②の相続人 | 民法附則26条①(家附の継子の特則)に規定する家附の継子は、 相続に関して嫡出子と同一の権利義務を有する相続人であるが、
被相続人の姻族であるから、相続税法18条の規定(相続税額
の2割加算)を適用する(配偶者・1親等の直系血族以外)
→ 家附の継子と相続税法第15条第2項の相続人|国税庁 |
祭祀財産の承継 (祭祀主宰者の指定) |
民法897条:系譜、祭具及び墳墓の所有権の承継
相続の際:被相続人が指定(生前又は遺言)→慣習→家裁の順
承継後の復氏の際:婚姻の取消・生存配偶者の姻族関係終了届 提出・離婚、縁組の取消・離縁・死後離縁 |
遺言 |
遺言の証人・立会人欠格 | 公正証書遺言等(自筆証書遺言以外)の証人・立会人になれない 者:推定相続人、(遺贈の)受遺者、それらの配偶者・直系血族 |
遺留分権利者 | 遺留分:被相続人の財産のうち遺留分権利者に留保される財産額
範囲:配偶者、子、直系尊属(胎児、子の代襲相続人も)
除外:兄弟姉妹、遺留分放棄相続人(その代襲相続人も)
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表2 親族とその他の法律等
その他の法的効果 |
社保 |
健康保険被扶養者 |
→ 健保被扶養者 |
所得税扶養控除 | 配偶者以外の親族、納税者と生計を一+収入制限
→ 扶養控除|国税庁 |
退職者医療制度 | 配偶者・3親等内の親族、対象となる老齢厚生年金受給権者等と 生計を一+収入制限等 |
相続税額の2割加算 | 通常は世代毎相続が続くところ、相続税軽減対策として数次相続
回避に歯止めをかけた法律 → 相続税額の2割加算|国税庁 |
法定相続人の数に含める 養子の数の制限 | 相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合
→ 相続人の中に養子がいるとき|国税庁 |
遺族基礎年金(受給権者) | (18歳以下他の)子のある配偶者・子
子のある夫:平成26年4月1日以降の妻の死亡が対象 子が18歳到達年度末で受給権消滅 → 年金|日本年金機構
その後は一定の受給要件下で[中高齢寡婦加算]が支給される |
遺族厚生年金(受給権者) | 妻、子・孫(18歳以下他)、→ 遺族厚生年金|日本年金機構 55歳以上の夫・父母・祖父母(60歳から) |
寡婦年金(受給権者) | 婚姻関係10年以上の妻、60才から5年間 |
死亡一時金(請求権者) | 生計維持されていた配偶者,子,父母,孫,祖父母,兄弟姉妹の順序 |
未支給年金(請求権者) | 生計維持されていた配偶者,子,父母,孫,祖父母,兄弟姉妹 その他前記以外の3親等内の親族の順序 |
同族 |
農地法の世帯主義 (農作業常時従事者等) |
農地法2条第2項の「世帯員等」とは、次の①と②を言う
①「住居及び生計を一にする親族」(一時不在者を含む)
②「当該親族の行う耕作や養畜の事業に従事する住居及び生計を
一にしない2親等内の親族」 |
NPO法人 役員の親族排除規定 | 各役員について、その配偶者・3親等内の親族が1人超は不可
役員とその配偶者・3親等内の親族が役員総数の3分の1超不可 |
社会福祉法人の理事 との特殊の関係 がある者の制限 | 親族、内縁者または使用人及びそれらの者と生計同一の親族、 他の会社の役員・使用人 → 0~3人まで |
私立学校法人の役員 の同族制限 | 各役員(理事及び監事)について、 その配偶者または3親等内の親族は1人まで |
その他の 非営利法人の親族制限 | あり→公益法人、特定医療法人、更生保護法人
なし→宗教法人、医療法人、一般社団法人、一般財団法人 |
同族関係者 | 親族は法人税法上の同族会社や同族株主の判定となる同族関係者 |
法人税法上の 中心的な同族株主 | 同族株主(親族)のうち1人並びにその株主の配偶者、直系血族、 兄弟姉妹及び1親等の姻族の有する株式の合計数がその会社の 発行済株式総数の25%以上である場合の当該株主 |
会社法上の 関連当事者取引 | 個別注記表での開示が必要な者の範囲には関連当事者の近親者 (2親等内の親族)も含む(会社計算規則第112条) |
刑法関係(親族範囲省略) | 親族相盗・親族間の特則:刑の免除
親告罪:告訴を待って刑事訴追
裁判官の除斥原因、証言拒絶権、親告罪の告訴権 |
慶弔 |
忌引き日数 | 国家公務員→人事院規則15-14第22条(特別休暇)別表第二
東京都職員服務規程→職員の休暇等第24条(慶弔休暇)別表第三
及び会社等の休暇規定も、概ね3親等内の親族毎に日数を定める
※慶弔休暇は法定外休暇(労働基準法規定年次有給休暇以外)
|
見えない家族:親世帯と子世帯が、隣居/近居、育児・消費・介護の面で協力
国際結婚家族:複数の言語と文化、子供の国籍、外国人家族との家族付き合い
|
<親権の内容>
婚姻中:夫婦共同親権
離婚時:親権者の指定・変更
┌───────┐ 親権・監護権の分離と分属(積極的必要性の確認)
│ │ │
│ 広義の親権 │ ├─親権者(狭義の親権者、法定代理人)
│ │ │
|┌─────┐| └─監護者(子の引取養育、法定代理人)
│|狭義の親権│|
│|┏━━━┓│|
│|┃管理権┠┼┼─財産管理権─┬─子の財産の管理、注意義務、管理の計算
│|┗━━━┛││ 代理・同意 │ 民824,827,828,830
│| │| ├─財産行為の代理・同意
│└─────┘│ │ 民5,824
| | ├─重要な身分行為の代理(法定事項に限定)
│ │ │ 民775,787,791,797,804,811,815,833,917
│ │ └─利益相反行為についての親権制限
│ ┏━━━┓ │ 民826
│ ┃監護権┠─┼─身上監護権─┬─監護教育権(権利と義務)
│ ┗━━━┛ │ 代理・同意 │ 民820
│ │ ├─居所指定権(乱用不可)、引渡請求権
│ │ │ 民821,198
│ │ ├─懲戒権(教育目的で最小限、乱用不可)
│ │ │ 民822
└───────┘ ├─職業許可権(親権者の同意/営業許可)
│ 民823,6
└─身分行為の代理・同意(法定事項に限定)
民797②
|
※子の監護者の決定:協議上の離婚の際、家裁による監護者の変更、父が認知する場合
※監護者は戸籍記載事項でない(離婚届に書く必要があるのは未成年子の親権者のみ)
※監護の範囲外の父母の権利義務:未成年婚姻の同意権,親権,扶養義務(民737,824-833,877)
未成年者の婚姻についての父母の同意は親権のない父母も行使できる権利である(民737)
子の扶養義務(生活保持の義務)は離婚後も父母双方にあり、親権の有無には無関係
※監護者の代理権外の例:母の再婚時に継父と15歳未満の子がする養子縁組
代諾権:親権者、同意権:監護者(民797②)←S62民法改正
※監護者の法定代理人例:子の氏の変更申立(昭54.03.28釧路家・家裁月報3巻9号34頁)
※嫡出否認の訴:親権を行う母を被告とする、認知の訴の原告:法定代理人(子の母)
※上記以外、身分行為の代理が親権者専属か監護者専属か分掌かは法文もなく判断の混乱あり
以上のように、親権・監護権の分属による当事者の混乱の弊害は、子のためには良くない
ので、可能であれば避けたい(分属後の弊害の解消は親権者変更の申立)
<相続の順位>
┌─────┐
│以上、順次│
│ | │
│┏━┷━┓│
│┃祖父母┃│
│┗━┯━┛│
│ | │
│┏━┷━┓│
│┃ 父母 ┃│第2順位の相続人(実親+養親)
(※3) │┗━┯━┛│
└──|──┘
↑ ┌──────┤
┌───|───┐ |
第3順位│┏━━┷━━┓│┏━┷━┓ ┌───┐
│┃ 兄弟姉妹 ┃│┃(被)┠┬┤配偶者│同順位で常に相続人
の相続人│┗━━┯━━┛│┗━━━┛│└───┘
│ | │ ┌──|──┐
│ ┏━┷━┓ │ │┏━┷━┓│
代襲相続人│ ┃ 甥姪 ┃ │ │┃ 子 ┃│第1順位の相続人(実子+養子)
│ ┗━━━┛ │ │┗━┯━┛│
└───────┘ │ | │
(再代襲不可) │┏━┷━┓│
│┃ 孫 ┃│代襲相続人(※1)
(※2)│┗━┯━┛│
│ | │
│┏━┷━┓│
│┃ ひ孫 ┃│再代襲相続人
│┗━┯━┛│
│ | │
│以下、順次│
└─────┘
※1:被相続人の死亡の前に相続人の1人が死亡時:代襲相続
※2:被相続人の死亡の後に相続人の1人が死亡時:数次相続
※3:相続人となる兄弟姉妹の範囲=全血兄弟(父と母の子)
+半血兄弟(異母兄弟(父の前婚の子+父の非嫡出子)+
異父兄弟(母の前婚の子+母の非嫡出子))
(注:養子の場合、実方兄弟姉妹+養方兄弟姉妹)
法定相続分
配偶者と子 |
| 第1順位:子 … 親兄弟がいても! |
|
配偶者と直系尊属 |
| 第2順位:直系尊属(親) … 子がいない場合に限る |
|
配偶者と兄弟姉妹 |
| 第3順位:兄弟姉妹 … 子も親もいない場合に限る |
非嫡出子は嫡出子の1/2→ H25.09.04最高裁違憲決定後は平等!
兄弟の場合は、実方・養方は平等、半血兄弟は全血兄弟の1/2
継子の相続権の有無 → [多元的親子] (子の範囲)
半血兄弟の相続人関係 → [多元的親子](兄弟の範囲)
養子縁組による親族関係の重複の発生 → 相続資格の重複
私見:事実婚の配偶者への遺贈は相続人への遺贈に準ずる税制面の扱いが望ましいと思うが
<近親婚の制限>
(実方親族) (○:婚姻可能、×:婚姻禁止)
─────────────────────────────────────────
親族間の制限
・直系血族間の婚姻禁止 : 父母、祖父母 ×
(民法734条①): 子、孫 ×
----------------------------------------------------------------------------------
・3親等内の傍系血族間の婚姻禁止 : おじ・おば ×
(民法734条①): 兄弟姉妹、甥・姪 ×
同父異母・同母異父は同側で判断 : 異母兄弟や異父兄弟の子 ×(3親等内)
4親等以上の傍系血族 : いとこ、はとこ ○(3親等超)
二重いとこは、第2度近親 : 遺伝的に危険 ×
----------------------------------------------------------------------------------
・直系姻族間の婚姻禁止(民法735条): 死別配偶者の父母 ×(終了届前)
配偶者の連れ子は直系姻族 : 死別配偶者の連れ子 ×(終了届前)
配偶者の兄弟姉妹は傍系姻族 : 死別配偶者の兄弟姉妹 ○(傍系姻族)
: (夫の弟、妻の妹)
姻族でもない者はあたらない : 再婚父母の前婚の子 ○
: (父の後妻の連れ子、母の後夫の先妻の子)
─────────────────────────────────────────
親族関係終了後の制限
・直系血族であった者同士の婚姻禁止 : 民法734条①の親族 ×(離縁後)
特別養子縁組による(実方)親族関係終了後も適用(民法734条②)
----------------------------------------------------------------------------------
・直系姻族であった者同士の婚姻禁止 : 元配偶者の父母 ×
(民法735条): 元配偶者の連れ子 ×
: 子や孫の元配偶者 ×
----------------------------------------------------------------------------------
終了届後も「あった者」にあたる : 死別配偶者の父母 ×(終了届後)
: 死別配偶者の連れ子 ×(終了届後)
----------------------------------------------------------------------------------
傍系姻族であった者はあたらない : 兄弟姉妹の元配偶者 ○(傍系姻族)
: (兄の元妻、姉の元夫)
同上 : 元配偶者の兄弟姉妹 ○(傍系姻族)
: (元夫の弟、元妻の妹)
─────────────────────────────────────────
※連れ子同士は結婚できる:子同士は他人 → 夫婦の連れ子同士
|
○:婚姻可能(△:離婚後)×:婚姻禁止( )
傍系 直系 傍系
┌──────────────────────┐┌─────────┐┌────┐
┌ 直系尊属 配偶者の ┐
│ ┌───────────────────┤ 曽祖父母× │
│ ┏┷┓祖父母の ┏┷┓ ┌┴┐ │
│ ┃4┃兄弟姉妹 祖父母┃2┃ │2│祖父母 │
尊 ┗┯┛○ ×┗┯┛ └┬┘× │
│ ┌─────────────┤ ├─────┐ │
属 父母の┏┷┓ おじ┏┷┓ ┌─┐ ┏┷┓ ┌┴┐ ┌┴┐おじ │
│ いとこ┃5┃ おば┃3┠─┤③│ 父母┃1┃ │1│父母 │3│おば │
│ ○┗┯┛ ×┗┯┛ └─┘ ×┗┯┛ └┬┘× └─┘○ │
│ │ │ △ │ │継父母の連れ子 │
└ │ │ ┌───────┤ ├─────┐○ │
------------│----------│----------│--------------│------│----------│----------│
│ │ │ ┏┷┓ ┌┴┐ │ │
┏┷┓ ┏┷┓ 兄弟┏┷┓ ┌─┐ ┃自┃ │配│死別 ┌┴┐兄弟 │
はとこ┃6┃いとこ┃4┃ 姉妹┃2┠─┤②│ ┃ ┠┬┤偶│または│2│姉妹 │
○┗━┛ ○┗┯┛ ×┗┯┛ └─┘ ┃分┃││者│離婚 └┬┘○ │
│ │ △ ┗━┛│└┬┘ │ │
------------------------│----------│------------------│-[子]×-------│----------│
┌ ┏┷┓ ┏┷┓ ┌─┐ ┏┷┓ ┌─┐ ┌┴┐ │
│ 従姪┃5┃ 甥姪┃3┠─┤③│ 子┃1┠─┤①│×│3│甥姪 │
│ ○┗┯┛ ×┗┯┛ └─┘ ×┗┯┛ └─┘ └─┘○ │
卑 │ │ △ │ │
属 ┏┷┓ ┏┷┓ ┏┷┓ ┌─┐ │
│ 従姪孫┃6┃ 姪孫┃4┃ 孫┃2┠─┤②│× │
│ ○┗━┛ ○┗┯┛ ×┗┯┛ └─┘ │
└ 直系卑属 ┘
└──────────────────────┘└─────────┘└────┘
傍系 直系 傍系
|
……………………………………………………………………………………………
○:婚姻可能 ×:婚姻禁止( )
(養方親族) (○:婚姻可能、×:婚姻禁止) 直系 傍系
───────────────────────┌─────────┐┌───────┐
養親子間の制限 養親の \ ┐
養親または養親の直系尊属と ×直系尊属 \ │
次の者との間の婚姻禁止(民法736条) ┏┷┓ 養方の ┏━┓ │
・養子またはその配偶者 × 養方父母┃1┃ 伯叔父母┃3┃ │
・養子の直系卑属またはその配偶者 × ×┗┯┛ ○┗━┛ │
離縁による親族関係終了後も同様 養親│ \ 養親の │
---------------------------------------------- │ \養親 兄弟姉妹 │
養子の実兄と養親は婚姻禁止の範囲外 ○ ┌───┘ \直系 │
───────────────────────------│----------------\--------------│
近親婚の制限の例外 ┏┷┓ ┌─┐ \ 養 │
3親等内の傍系血族間の婚姻禁止の例外 養┃自┃ │配│ 養方の ┏━┓親 │
養子は養方の傍系血族とは3親等以内で ┃ ┠┬┤偶│ 兄弟姉妹┃2┃の │
も結婚できる(民法734条①但書) 子┃分┃││者│ ⇒ ○┗┯┛子 │
・養子と養親の兄弟姉妹:養方の伯叔父母○ ┗━┛│└─┘養方傍系血族│ │
・養子と養親の子 :養方の兄弟姉妹○ ----------│------------------│--------│
│ │ 養 │
※養方の傍系血族とは、養親の側からでなく ┏┷┓ ┌─┐養方の┏┷┓親 │
養子の側からであり、養親の子は養親の側 養子の┃1┠─┤①│ 甥姪┃3┃の │
では直系親族であるが養子の義兄弟であり 直系卑属┗┯┛ └─┘ ○┗┯┛孫 │
養子の側からは養方の傍系血族である。 × | × │ ┘
───────────────────────└─────────┘└───────┘
直系 傍系
|
<内縁関係の法的保護>
事実上の婚姻関係
■事実上の夫婦■ … 法律上の夫婦でない ┌──────────────────┐
婚姻障害がある場合でも認める(※) 事 事
絶対的:偽装離婚後、近親婚制限、相続権 ┏━┓実┌─┐ ┏━┓実┌─┐
一時的:婚姻不適齢、再婚禁止期間内、 ┃自┃婚│配│ ┃自┃婚│配│
父母不同意、扶養未成熟子不同意 ┃ ┠┬┤偶│ ┃ ┠─┤偶│
重婚的内縁は認めない(現婚破綻後は認める) ┃分┃││者│ ┃分┃ │者│
事実婚夫婦間の子は父が認知することにより ┗━┛│└─┘ ┗┯┛ └┬┘
父の非嫡出子となり、父の相続権を得る │ │ │
第三者に対する内縁配偶者の保護 ┏┷┓ ┏┷┓ ┌┴┐連
・不法行為損害賠償請求権(遺族補償等) 子┃1┃ 子┃1┃ │ │れ
内縁者、その父母・子(同居)は健保被扶養者 ┗━┛ ┗━┛ └─┘子
└──────────────────┘
|
■内縁関係の成立■ … 準婚関係として保護(生活上の便宜目的等の単なる同棲ではない)
婚姻意思を伴う共同生活が存在し(≠愛人・不倫)、実質上の婚姻生活に入っている(≠婚約)
法律婚から生じる制約の回避目的も見受けられる(夫婦同氏、家制度の残滓、職業的身分制限)
特に社会的理由のない当事者の自由意思で選択した事実婚もあり、法的効果を区別しない方向
子出生時は父氏名欄空白で母の戸籍、認知後父の氏名記載、子の氏の変更の家裁許可で父の戸籍
婚姻の届出を前提としている効果以外は、婚姻の効果と同じ法的保護(下表↓)が与えられている
表4 事実婚の法的保護
法律婚 | 事実婚 |
身分上 | 夫婦同氏 | × |
同居・協力・扶助、扶養義務 | 〇 |
守操義務 | 〇 |
成年擬制(未成年の間に離婚しても消滅せず) | × |
夫婦間の契約取消権(破綻後は不適用) | △ |
夫婦の一方と他方の血族との間に姻族関係発生 | × |
配偶者相続権 | × |
子は嫡出子(子の嫡出性の推定、父母共同親権) | × |
親子相続権(非嫡出子の相続分は嫡出子と同じ) | 〇 |
準正(父母の婚姻により非嫡出子→嫡出子) | × |
財産上 | 夫婦財産契約(婚姻届出前に締結・登記) | × |
婚姻費用分担(別居有責配偶者からは請求不可) | 〇 |
日常家事債務の連帯責任 | 〇 |
夫婦別産制(特有財産)、帰属不明財産の共有推定 | 〇 |
その他 … 遺族年金受給権等:加給年金、遺族年金、健保被扶養者
合意による解消:財産分与の規定を準用
一方的意思によっても解消可能:正当な理由なく破棄した者は損害賠償責任(慰謝料)を負う
内縁破綻の有責者(当事者・第三者)の損害賠償責任
→ 裁判所|内縁関係調整調停
|
<事実婚夫婦の法的対策>
事実婚 親子 親権 後見 扶養 相続 医療 年金
婚姻届がないことによる「法律婚の効果」と異なった扱い
夫婦別氏、成年擬制なし、姻族関係不発生、配偶者相続権なし
夫婦間の出生子は嫡出子にはなれず、原則母の単独親権に服す
実生活上の重要な差異は4点
①戸籍が別々(夫婦別氏)、②配偶者に相続権なし、③子は非嫡出子、④税制面の配慮なし
これ以外、事実婚(内縁)は婚姻に準ずる関係(準婚関係)として前段表4にあるとおり
婚姻に準じて保護され、
婚姻に準じて効果が与えられる
●事実婚契約書:事実証明は公証役場での認証か公正証書
法律婚の効力のうち、事実婚でも可能な事柄
準婚関係の効果であり、約定有無に関しない
①同居・協力・扶助義務
②守操義務
③事実婚費用分担
④日常家事債務の連帯責任
⑤夫婦別産制(特有財産)、帰属不明財産の共有推定
⑥事実婚関係の不当破棄者に慰謝料請求
(正当理由:裁判上の離婚原因に同じ)
事実婚の当事者間で特に決めておきたい事柄
必要なら法律婚移行の話し合い機会の明記も
①子を授かった場合 :認知、子の氏(父の氏は家裁申立)、親権者
②傷病の際の決め事 :任意後見契約/財産管理委任契約、医療行為の同意権付与
③事実婚解消の際の決め事:子については「離婚協議書」と同じ事柄
事実婚中取得財産 :共有物の分割(+生計維持費用)→財産分与、年金分割
親子間の権利義務 :親権者と監護権者の定め、養育費、面接交渉
④その他の配慮事項 :夫婦のこと、子のこと、親や親戚のこと
●遺言書:自筆証書遺言を相手に手渡すか、公正証書遺言
遺言の法定事項のうち、夫婦間で可能な事柄
①未成年の子の後見人等の指定
②遺贈(死因贈与契約書による方法もある)
③遺言執行者の指定
④認知
※事実婚夫婦の一方死亡時は、事実婚解消時はある離婚時の財産分与の準用がない
事実婚配偶者には相続権がない → 「生前贈与」や「遺贈遺言」が必要となる
ただし共有財産は相続人に清算を請求可能、借家権は承継/保護(相続人なし/あり)
相続人不存在時、特別縁故者として家屋等の所有権の分与を受けることができる
●遺族年金受給権等:加給年金、遺族年金、健保被扶養者
事実婚(内縁)夫婦認定要件:同一住所・同一生計→各種受給申請・審査・認定を要する
①婚姻意思確認/推認(②の継続)、②夫婦共同生活(社会的事実)存在、③婚姻届未届
①事実婚の合意(事実婚契約書など)、事実婚の開始時期や事実婚の存在(住民票など)
住民票の内縁の妻の続柄欄が妻(未届)が効果的、同居人からの記載変更は住民異動届
②生計維持関係(健保証、扶養手当給料明細、冠婚葬祭、郵便物、領収証、賃貸契約書)
③内縁関係の確認のため両人の戸籍謄本等、申立書
→ 事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書(日本年金機構)
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