<相続財産等>


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Update 2015.01.01

はじめに


  生前に整理しておきたいこと
    農業の後継者に農地の生前贈与
    事業の後継者に社長交代や自社株譲渡
    法人の営業許認可上の要件資格者の交代
  相続財産の調査
    被相続人の生前作製になる財産目録があればその内容確認
    相続財産を保管する相続人の申述聴取と金融機関への残高の照会等
    不動産:所在市町村毎に被相続人の固定資産の全部証明で課税分が判明
        課税漏れや非課税の建物に注意、登記情報の確認
    貸金庫:相続人全員立会のもとで開扉、保管品の搬出、利用契約の解約
  財産目録の調製
    相続人又は遺言執行者が作製、様式は自由、相続人全員に交付
    限定承認申述の際に添付する財産目録記載例

相続財産


民法上の相続財産
  遺産(積極財産)
    不動産  (土地建物、構築物)、温泉権、立木果樹
    動産   (自動車、事業用動産、家庭用動産、
          宝石・貴金属・コイン、書画・骨董)
    現預金  (現金、銀行預金、郵便貯金、積立定期)
    有価証券等(株式、出資、公社債、投資信託)
    知的財産権(特許権、著作権)
       → 日本文藝家協会(著作権評価証明書の発行)
    通常債権 (貸金、売掛金、不法行為債権)
          不法行為債権:死亡による損害賠償請求権、慰謝料請求権
    受取人の指定のない又は被相続人が受取人の死亡保険金
    法律や会社内規などで受給権者の定めのない死亡退職金
    受取人が本人以外の死亡保険金や遺族の生活保障の趣旨の死亡退職金は
      民法上の相続財産でない
  負債(消極財産)…相続財産から控除できる
    通常債務 (借金、ローン債務、リース債務、未払医療費、
          不法行為債務)
    保証債務 (求償による負担債務)
    税金債務 (被相続人の死亡の際、納税義務の確定しているもの)

税法上の相続財産
  みなし相続財産
    死亡保険金(非課税限度額=500万円×相続人数)…受取人が相続人
    死亡退職金(非課税限度額=    同 上   )…受給権者定め有
    郵便年金や退職年金の遺族への継続受給権
    生命保険契約・定期金契約上の将来の権利
  相続財産から控除できる葬式費用
    控除できる葬式費用 (葬儀費、妥当な戒名料、遺体捜索運搬費用)
    控除できない葬式費用(香典返し、法要、お墓購入費、遺体解剖費用)
  相続税がかからないもの
    墓地、墓碑、仏壇、仏具
    死亡保険金や死亡退職金の一部(非課税部分)
    寄付財産(相続後に相続税申告期限内に国等公益寄付)

相続財産の承継又は帰属
  債権者  :債務がある場合(債権者死亡時は債権者の相続人)
  受遺者  :遺言で遺贈ある場合(受遺者死亡時は受遺者の相続人)
          遺贈の放棄時は本来の相続人
          なお、遺言でする「寄付」とは遺贈のこと
  財団法人 :遺言で財団設立の寄付行為ある場合
  信託受益者:遺言で信託設定がある場合
  相続人  :遺言(被相続人の遺志)がない場合
          相続放棄時は他の相続人
  特別縁故者:相続人不存在で縁故者に分与時
  他の共有者:相続人不存在の共有財産
  国庫帰属 :相続人不存在の固有財産

相続性の検討


相続される相続財産の範囲・内容≠「具体的相続分や遺産分割の対象」の
  └───包括承継の原則───┘相続財産「相続税法上」のみなし相続財産
相続財産でないもの   香典:遺族又は喪主
  祭祀財産(遺骨・位牌、仏壇・神棚、墓地・墓石)
    :祭祀承継者
  形見分けの遺品(高価でないものに限る)
    :相続人その他の縁故者
    市場価値がある高価なものは相続財産
     → 大阪高裁平成14年7月13日決定

死亡で承継できるもの
  裁判等の受継(一身専属権以外の訴訟・調停)
    :相続人、受遺者、遺言執行者、相続財産管理人
  借家権:内縁の妻や事実上の養子など借家同居人

死亡で承継されるもの
  賃貸借の貸主・借主、使用貸借の貸主、雇用の使用者
  占有権、保証債務
  不法行為債権(死亡事故被害者の損害賠償請求権など)
    遺族固有の損害賠償請求権として相続の形をとらないもの
  遺留分減殺請求権、相続回復請求権、相続の承認・放棄をする権利
  遅滞に陥った過去の扶養料
  内縁の不当破棄に基づく慰謝料や財産分与請求権
  合資会社の有限責任社員、株主

死亡で消滅するもの
  一身専属権(扶養請求権、恩給受給権等)
  身元保証人、委任者・受任者
  組合員、使用貸借の借主
  合名会社の社員、合資会社の無限責任社員

相続財産の評価の概要

(詳細はこちら→相続財産の評価|国税庁

何のために?
  相続税を計算するときに、相続によって取得した財産がいくらになるか評価
  する必要があります。
  遺産分割の(客観的)資料でもあるが遺産分割は主観的要素が大きい

不動産評価特例:相続開始3年以内に取得したもの(居住用を除く)
  取得価額:取得費+改良費や設備費(-減価償却費:家屋で定額法月数按分)

土地
 宅地 路線価方式 補正後の路線価×地積
   補正後の路線価:基本価額+加算価額
   基本価額:正面路線価×奥行価格補正率-控除等
   減算:奥行価格、不整形、無道路、間口狭小、奥行長大、崖地
   加算:側方路線、二方路線、三方又は四方路線の影響加算
      倍率方式  固定資産税評価額×倍率
 田畑又は山林
   市街地山林・市街地農地
     宅地比準方式(宅地比準額-宅地造成費)又は倍率方式
   市街地周辺農地:市街地農地×0.8
   純山林・中間山林・純農地・中間農地:倍率方式
   耕作権・永小作権・区分地上権等の権利価額の控除
 雑種地(一般)
   倍率地域 :倍率方式
   以外の地域:宅地比準方式(又は倍率方式)
 借地権、貸宅地、貸家建付地
   使用貸借地は評価ゼロ、相当の地代:自用地価額の概ね6%
   自用地:路線価又は倍率方式、権利金なしは80%
   自用地の価額(相続前3年平均)×(1-借地権割合)等
   借地権割合分を減ずるか又は借地借家権価額を減ずる
   建付地:借地権割合×0.3
   定期借地権:残存期間で評価
家屋
  固定資産税評価額
  ない場合:(再取得価額-減価償却合計)×0.7
       又は登録免許税暫定評価基準による簡便法
  貸家は評価額の70%
  建築物:門・塀・庭木等、庭石・池等
立木及び果樹
  果樹:費用現価方式
  立木:樹種・樹齢別の標準価額(評価倍率表)を基に評価
     相続財産評価:標準価額による評価×0.85
預貯金
  定期預金:相続開始時残高+相続開始時既経過利子-源泉徴収税額
  普通預金:相続開始時残高
家庭用財産(一括は後述)・自動車
  調達価額(課税時期現況取得価額)又は(新品価額-経年減価)
書画・骨董等
  類似品売買価額や専門家の意見等を参考に評価
事業用機械、器具、農機具等(一括は後述)
  調達価額、不明は(新品価額-経年減価)
家庭用、農耕用、旅館用等で1個/1組の価額が5万円以下のものについて
  一括して一世帯、一農家、一旅館等ごとに一式で評価が可能
株式
  上場株式
      取引価格(相続開始日終値、3か月平均中最低価額)
  取引相場のない株式
      類似業種比準方式、純資産価額方式(相続税評価額)、併用方式
      無配当又は配当5%未満は5%配当みなし
      50%未満の零細株主:配当還元価額方式
  特定評価会社の株式の評価:清算中・開業3年未満・休業中等
公社債・貸付信託・投資信託
  上場されている利付公社債・割引公社債:市場価額を基とした評価額
  その他の利付公社債・割引公社債:発行価額を基とした評価額
  貸付信託:元本+既経過収益-源泉所得税-買取手数料
  投資信託:相続時の日刊新聞紙掲載の基準価額
生命保険契約に関する権利
  解約返戻金と剰余金などの合計額により評価
ゴルフ会員権
  概ね取引相場の70%
  取引相場のないものは返還される預託金等により評価
特許権・著作権
  特許権:将来受ける補償金の額と8%複利の合計(50万円以上)
  著作権:前3年平均印税収入の額×50%×評価倍率
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(H27.01.01)
  居住用330㎡まで:80%評価減
  事業用400㎡まで:80%評価減
  事業用200㎡まで:50%評価減(貸付地)
特定事業用財産についての相続税の課税価格の計算の特例
  同族会社非上場株式、特定森林施業計画対象山林
農地等の相続税の納税猶予の特例
農地等の生前一括贈与の特例(贈与税の特例)
HP作成者:

中村三郎

,船橋市咲が丘