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<相続分>


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Update 2015.02.02
相続分 相続分の譲渡 遺産の共有

相続分(相続の効力)

…【優先順位:遺贈>寄与分>指定相続分>法定相続分】
  1. 法定相続分(先順位止まり)
    1. 単独相続(全部)
    2. 共同相続(法定の相続分の割合で持分相続)
      1. 物権:共有、債権・債務:可分は分割承継、不可分は全部
      2. 配偶者と共同相続の場合の法定相続分
        相続開始以前に離婚している本人の元配偶者に相続権はない
        配偶者の一方は離婚により他方の相続権を失う(離婚の効果:相続権の消滅)
      配偶者と子
      配偶者
      2分の1

      2分の1
       第1順位:子
       … 親兄弟がいても!
      配偶者と直系尊属
      配偶者
      3分の2
      直系尊属
      3分の1
       第2順位:直系尊属(親)
       … 子がいない場合に限る
      配偶者と兄弟姉妹
      配偶者
      4分の3
      兄弟姉妹
      4分の1
       第3順位:兄弟姉妹
       … 子も親もいない場合に限る
    3. 子・直系尊属・兄弟姉妹が複数いる場合
      1. 各人平等の割合が原則
        子が複数の場合:先妻(又は先夫)の子、後妻(又は後夫)の子は平等の割合
                相続人が半血兄弟と子同士が半血兄弟を混同しないこと
             例外:非嫡出子は嫡出子の1/2→H25.09.04最高裁違憲決定後は平等!
                非嫡出子とは父の認知がある婚外子
        直系尊属が複数:実父母、養父母は平等の割合
        兄弟姉妹が複数:実方兄弟姉妹、養方兄弟姉妹は平等の割合
             例外:半血兄弟は全血兄弟の1/2
                半血兄弟とは父母の一方のみが同じ兄弟姉妹
      2. 代襲相続人の相続分:被代襲者の相続分を各人平等の割合(例外は上述)
      3. 数次相続人の相続分:先相続人の相続分を各人平等の割合(例外は上述)
      4. 相続資格の重複
        肯定例:被相続人の養子である子の代襲相続人 → 相続人等
  2. 指定相続分(寄与分に劣後)
    1. 遺言以外で指定しても無効
    2. 相続人全員又は特定の相続人の相続分を法定相続分と異なる割合で指定可能
    3. 遺留分に反する指定がなされても無効ではない
        遺留分権者に遺留分減殺請求権が生ずるが
        指定相続分の遺留分による修正を受け得るのみ
    4. 特定の相続人の相続分の指定の場合
        指定相続分を除いた残りは他の相続人が法定相続分によって取得
    5. 相続分の指定を受けた相続人は法定相続分を下回っても自己の遺留分を侵害され
      ない限り、指定された割合に従って相続財産を取得できるにとどまる
       ⇔ 特定遺贈を受けた相続人(法定相続分まで他の相続財産を取得)
    6. 相続債務は債権者に対抗できず、債権者は法定相続分により各相続人に請求可
  3. 具体的相続分 =(持戻後相続分-特別受益+寄与分)
    1. 具体的相続分の算定:(法定又は指定)相続分の特別受益や寄与分による「修正」
        特別受益も寄与分もなければ修正はなく、法定相続分又は指定相続分と同じ
      相続開始時の財産の価額=被相続人の積極財産の価額(相続人への遺贈を含む)
      相続財産の価額    =相続開始時の財産の価額-第三者への遺贈の価額
      持戻後相続財産の価額 =相続財産の価額+生前の特別受益額-寄与分
      取得利益       =持戻後相続財産の価額×各人の相続分の割合
      具体的相続分     =取得利益
                 -各人の特別受益となる遺贈・生前贈与の価額
                 +各人の寄与分の価額(以上の計算で消極財産は関与なし
      (事例)相続人=子3人(相続人A,B,Cと称す)
        相続開始時の財産    =1億2千万円
        第三者への遺贈       =1千万円
        A:寄与分         =2千万円(※1の上限超えず修正されない)
        B:特別受益となる生前贈与 =6千万円(生前・遺言で持戻免除ない場合)
        C:相続人への遺贈     =4千万円(①法定相続分までまだもらえる)
        相続財産の価額=1億2千万円-1千万円=1億1千万円
        持戻後相続財産の価額=1億1千万円+6千万円-2千万円=1億5千万円
          修正前の各人の法定相続分=1億5千万円×(1/3)=5千万円:①
        具体的相続分
          A:5千万円+2千万円 =  7千万円 … ①+寄与分
          B:5千万円-6千万円 = -1千万円 … ①-特別受益(超過)
          C:5千万円-4千万円 =  1千万円 … ①-特別受益
          具体的相続分を超える特別受益:その相続人は超過分の返還を要せず、
          他の相続人の具体的相続分による応分負担とした場合
          A:7千万円-1千万円×(7/8)=6125万円 … 超過分負担
          B:    -1千万円      →    0円
          C:1千万円-1千万円×(1/8)= 875万円 … 超過分負担
        相続開始時の財産の行方(1億2千万円)
          A:          =6125万円
          B:          =    0円
          C:875万円+4千万円=4875万円 … 相続人への遺贈
          第三者:        =1000万円 … 第三者への遺贈
        ※1:寄与分の上限=相続開始時の財産-遺贈の価額(寄与分は遺贈に劣後)
                 =1億2千万円-(1千万円+4千万円)=7千万円
    2. 相続財産の価額の評価 → 相続財産の評価
        [積極財産]であり、消極財産(債務)は控除せず、
          第三者(法人含)への遺贈の価額は控除したもの(受遺者への弁済後のもの)
          消極財産は、具体的相続分に応じて内部的に分担するのが公平
          ※遺留分算定の基礎となる財産額の計算では消極財産を控除!
        特別受益は生前贈与時でなく相続開始時で評価する
          金銭贈与も相続開始時の貨幣価値に換算して
    3. 特別受益や寄与分の評価
      特別受益とは:相続人が被相続人から受けた遺贈や生前贈与
             相続人以外の者への遺贈・贈与は含まず(遺留分の計算とは異なる)
             負担付贈与は負担の価額を控除せず⇔遺留分の計算では控除と不均衡!
       寄与分とは:相続人が被相続人の相続財産の維持増加に寄与した分
           ⇔ 相続人が被相続人の相続財産を減少させた分があれば、その分を控除
    4. 特別受益(遺留分減殺の対象になる)
      1. 相続財産に加えて、その者の相続分から引く
      2. 相続分を超過していても返還不要
      3. 「相続人への遺贈」の全てと「生前贈与」のうち次のもの
        ①婚姻・養子縁組のため(例:結婚持参金)…結納金や挙式費用は含まない
        ②生計の資本として  (例:開業資金・新居資金)
      4. 特別受益財産の増減・滅失時の評価
          受贈者有責:贈与時のまま存在するとし、相続開始時で評価
          受贈者無責:滅失は特別受益なし、増減は相続開始時で評価
      5. 生前又は遺言で遺留分に反しない範囲で特別受益の「持戻免除」をなし得る
    5. 寄与分(遺言による指定相続分に優先するが、遺贈には劣後する)
      1. 相続財産から引いて、その者の相続分に加える
      2. 寄与分の上限≦(相続財産の価額-遺贈の価額)
      3. 寄与の程度は顕著な特別なものでなければならない
          妻の通常の家事労働や病身の夫の看病は含まれない
          扶養の程度でする扶養義務の履行(被相続人・親族間)は含まれない
           → 私的扶養と公的扶助※参考:扶養の程度の一応の原則
      4. 考慮の対象となる寄与
          被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付
          被相続人の療養看護その他、特定の相続人が行ったある程度高額な寄与
      5. 非相続人の特別の寄与は認めない
          被相続人たる父の亡き息子の嫁がした嫁の義父に対する看護等、
          相続人でない者の看護等は委任や事務管理で回復するか、遺贈を受ける
          しかない(不当利得債権で処理)
      6. 相続人の協議(寄与分証明書)又は家裁申立により寄与分の額を定める審判
  4. 消極財産(債務)の負担割合
    1. 相続人間: 取得利益の割合(特に指定相続分適用時)
    2. 対債権者: 法定相続分の割合(遺産分割を対抗できない)
  5. 問題となる事例
    1. 配偶者と兄弟姉妹:居住用財産しかない場合
    2. 先妻の子と後妻 :先妻と協力して得た居住用財産
    3. 数人ある子   :事業承継
    4. 配偶者と未成年者:利益相反行為特別代理人
    5. 債務がある場合 :住宅ローン残債務の負担等
    6. 遺産独り占め相続人(隠匿、私消、財産目録悪意不記載)
      行方不明の相続人、協議拒否相続人、協議不能相続人

相続分の譲渡


  1. 相続分の譲渡
    1. 遺産分割前にする共同相続人の1人の(相続人又は第三者への)相続分の譲渡
    2. 他の共同相続人への対抗要件は通知
    3. 相続分を譲渡した者も依然、譲受人とともに相続債務を負担する(重畳的)
    4. 相続分の譲渡後に他の相続人に相続放棄があった分は譲渡人に帰す
  2. 相続分譲受人(相続分の譲渡を受けた他の相続人又は第三者)
    1. 相続の承認・放棄の手続きはない
    2. 相続分譲受人は相続人と同じ地位となり、遺産分割協議に参加できる
    3. 相続分取戻権や財産分離請求権はない
  3. 相続分の取戻
    1. 他の相続人から相続分の取戻(特定財産以外)ができる
    2. 要件:遺産分割前に他の共同相続人へ通知せず無断で第三者に譲渡した場合で、
         共同相続人の1人に譲渡した場合は取り戻しできない
         共同相続人全員で譲渡した場合や他の共同相続人の同意あれば取戻し不可
    3. 行使:他の相続人(一部の者でも可)は価額・費用を償還して取戻権を行使する
         取戻権は譲渡の時から1か月以内に行使を要する
         譲受人の承諾を要せず、一方的意思表示でよい
    4. 効果:取り戻した相続分は行使した者に分担割合で帰属(1人:単有、数人:分属)

遺産の共有


  1. 相続財産の帰属
    1. 一定期間(具体例は下記)、相続人の固有財産とは区別される
      1. 考慮期間の場合:相続の承認又は放棄未定の間(3か月内)
      2. 共同相続の場合:分割協議が成立し遺産分割がなされるまで
        自己の個々の財産の持分権処分は各人の自由(≠相続分の譲渡…包括財産)
      3. 限定承認の場合:財産分離の申立がなされ清算手続終了まで
    2. 相続財産の帰属形態
      1. 物権等  :共有 → 森林の土地の新たな所有者の届出制度/千葉県
      2. 可分債権 :各相続人の相続分に応じて承継される
      3. 可分債務 :各相続人の相続分に応じて承継される
              包括遺贈を受けた第三者に及ぶ
              特定遺贈を受けた第三者に及ばない
        遺言で債務の相続分の指定があっても債権者に対抗できない
        遺産分割協議で1人に免責的債務引受あっても債権者の同意が必要
      4. 不可分債権:各相続人は総債権者のために履行を請求し受けることができる
      5. 不可分債務:各相続人は全部につき履行の責任を負う
      6. 連帯債務 :各相続人は相続分に応じて承継した債務の範囲(割合や金額)
        を負担部分として、他の連帯債務者と連帯して債務を負う
        不等額連帯債務となるが、弁済した債務者は他の債務者に求償権行使可能
  2. 相続財産の管理
    1. 管理・保存・変更:物権の共有の規定に従う
    2. 費用:考慮期間内は相続財産で負担し、以後は共有の規定に従う
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