<相続証明書等>


-
Update 2019.05.25

相続証明書

(相続を証する書面)→ 登記申請書等の様式:法務省
1.相続証明書の役割
  対抗要件に名義変更を要する遺産の被相続人から相続人への名義変更に必要
    な書類。
  名義変更を要する遺産:不動産・保険・預貯金・有価証券・自動車等
    相続証明書の例示:遺言、遺産分割協議書、遺産分割の調停調書・・・
  対抗力のない名義変更:未登記建物等
2.相続できる人の数(≦相続人資格者≦推定相続人)
  相続人=本位相続人代襲相続人
  相続人等=相続人相続人と同一の権利義務ある者
       (包括受遺者相続分譲受人)
  相続できる人=相続人等除かれる者(下記)
  欠格者・被廃除者、相続放棄者・特別受益者、
  相続分譲渡人を除いた相続人等が
    1人の場合:単独相続
    数人の場合:共同相続
          (遺産分割協議による不分割単独相続は上記と区別)
3.通常の相続による場合の相続証明書(遺言や審判等によらない相続)
  法定相続分による相続の場合又は単独相続の場合:戸籍謄本等
  共同相続前の遺産分割協議成立による相続の場合:戸籍謄本等、
    遺産分割協議書
  不動産の名義変更時は、相続する人の(本籍記載ある)住民票
  戸籍謄本等 → 戸籍捜索範囲例
    積極面:被相続人の相続人である証明
    消極面:他に相続人は存在しない証明
    戸籍:第1順位~第3順位相続人のうち、
       先順位相続人が他にいないことの証明
       同順位相続人(非嫡出子、養親子、半血兄弟、代襲子)
       の全てに亘る証明
       配偶者のみの場合は、子、直系尊属、兄弟姉妹の全てがいないこ
       との証明
    戸籍は、不動産の名義変更時は、相続関係説明図の添付により
      原本還付可能
    預貯金や自動車の名義変更時は、戸籍謄本等の写しを添付して
      原本還付可能
    上記どちらも戸籍以外の書類は、その写しを添付して
      原本還付可能
      還付請求:写し各葉間割印、末尾葉裏に「上記は原本に相違ない」
        旨と押印
        当申請用にのみ作成された書類(上申書等)は原本還付できない
    被相続人
      被相続人の戸籍謄本等の全部(出生又は12歳頃から死亡までの分)
        被相続人の記載ある戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
          被相続人が養子の場合は、縁組前の実父母の方も全部
        戦災等で一部取得不能の場合(下記2点)
          本籍役所発行の告知書、廃棄証明書等
            戦災により焼失、保存期間経過その他により交付でき
            ない旨等「他に相続人がいない」旨の上申書
            (印鑑証明書付)
            相続放棄者、特別受益者も含む相続人全員からの
      被相続人の住民票除票又は戸籍附票又は改製原附票
        (同一人・最後の住所証明)
        目的:登記簿や車検証上の所有者の住所~被相続人の現住所迄
           の繋がり
        住居表示実施や町名地番変更あった場合、その変更証明書
        保存期間経過等で取得できない場合は
          不在籍証明書・不在住証明書
          本籍と住所が同じ役所で取扱あれば、不在籍不在住証明書
        上記どちらも、被相続人の生年月日の要否は登記記録記載項目
          限定で判断
            →住所を同じくする同名異人の登記名義につき、生年月日を付記
             (通常はないので書かないこと!)
        登記簿等の住所から、最後の住所までつながらない場合
          被相続人の不動産取得時の登記済権利証と下記上申書
          「被相続人と同一人に相違ない」旨の上申書
          (印証:協議書添付援用)
            相続放棄者、特別受益者も含む相続人全員からの
          なお、この旨の申述文言を遺産分割協議書に加えておく方
            法もとれる
    相続人
      相続人全員の戸籍謄本(被相続人死亡後の発行のもの)
        転籍や改製あっても相続人の現在の戸籍謄本だけで良い
        子がなく、相続の順位から親、兄弟が相続人の場合も同じ
        代襲相続:代襲相続人の現在の戸籍謄本(亡相続人は後述)
        数次相続:後続相続人の現在の戸籍謄本(亡相続人は後述)
      兄弟姉妹が相続人の場合
        全血兄弟と半血兄弟(亡き両親の前婚の子や非嫡出子)があり
          得るので半血兄弟の記載があり得る戸籍謄本等を全部取得
          する必要がある
          亡両親の戸籍謄本等の全部
          (出生又は12歳頃から死亡までの分)
          亡両親の前の配偶者との戸籍謄本等の全部
      被相続人が養子で相続人が養兄弟と実兄弟の場合
        実親の戸籍謄本等の全部(出生から死亡までの分)
      代襲相続がある場合
        亡相続人の戸籍謄本等の全部(出生から死亡までの分)
      数次相続がある場合
        亡相続人の戸籍謄本等の全部(出生から死亡までの分)
        数次相続は遺産が異なり、相続関係説明図が別々
        (例外:単独相続)
    除かれる者の証明
      相続欠格・相続人廃除(欠格者、被廃除者)
        相続欠格証明書(欠格者作成、印鑑証明書付)
        又は確定判決謄本
        廃除証明書(被廃除者の廃除を証する戸籍謄本)
      相続放棄(放棄者)→ 裁判所|相続の放棄の申述
        相続放棄申述受理証明書
        (3か月の考慮期間内に家裁申立、証明願)
        相続放棄しなかった相続人等、利害関係人からも証明書の交付
        請求可
      遺贈・生前贈与(相続人である受遺者又は受贈者)
        特別受益証明書(受益者作成、印鑑証明書付)
        …相続分不存在証明も同じ
        相続開始後、受益者が死亡している場合は
          その相続人全員からの受益証明
      相続分譲渡(他の相続人/第三者に相続分の売買/贈与した者)
        相続分譲渡証明書(相続分譲渡人作成、印鑑証明書付)
        これが相続証明書の一部となるのは相続開始後、共同相続前
        の場合
    寄与分証明書(相続人の印鑑証明書付)
      寄与分に配慮して法定相続分や指定相続分を修正する
      寄与分に配慮した遺産分割後は遺産分割協議書による
  遺産分割協議書(写しの添付により原本還付可能)
    法定相続や単独相続(前述2)の場合は協議書は不要(協議自体もない)
    共同相続前の遺産分割協議成立による相続の場合に作成する
    数次相続は遺産が異なり、協議書が別々(例外:単独相続)
    遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書付) → 協議書の数
      協議が整えば、相続人各自が協議書に実印押印は持ち回り可
        遠方の方には返信用封筒同封で協議書を郵送して依頼可
      遠方の方には「遺産分割協議証明書」を郵送して並行処理可
        (便宜用途?)
        協議書と同文+
          「遺産分割協議したことに相違ないことを証明します。」
        と証明し、記名押印する相続人1人の住所氏名を末尾に記載
        相続人1人につき1枚ずつ作成して、各相続人が実印押印
        各人回送中の遅延、紛失、押印不鮮明等の被害最小は長所、
        枚数増は短所
      協議者の頭書きの例
        第一次相続人の場合    相続人 甲
        第二次相続人の場合   亡相続人 甲
                    (年月日死亡)
                   亡甲相続人 乙
        父母数次相続の一括
        (例:父甲死亡後、母乙死亡、父母相続人子丙丁協議)
                相続人兼被相続人 乙 …  亡相続人 乙
                   (年月日死亡)
             亡甲相続人兼亡乙相続人 丙 … 亡乙相続人 丙
        代襲相続人の場合   亡甲代襲相続人 乙
        未成年者の特別代理人の場合
               相続人(未成年者) 甲
                 上記特別代理人 乙
        祖父の相続で、
        亡父の代襲相続人数人の未成年の子のうち1人については
        相続人でない親権者母が
        他の未成年の子の各別の特別代理人と協議の場合
               相続人(未成年者) 甲
             上記法定代理人親権者母 乙
      在外邦人の場合(実印押印と印鑑証明書添付に代えて)
        領事館担当官の面前で協議書に署名(拇印捺印は本人希望)
        署名証明書(協議書と公印割印)と在外住所の在留証明書
      在外邦人が相続する人の場合はさらに
        登記申請委任状(協議書と公印割印)も署名
        (拇印捺印は本人希望)
    特別代理人選任審判書(未成年者と親権者の利益相反時)
    不在者財産管理人の家裁許可書(権限外行為許可が必要)
      →行方不明者が被相続人の死亡以前に死亡しているときには管理人参加の分割協議は無効となる
4.審判又は調停による場合の相続証明書
   →家裁に申立時、被相続人の戸籍謄本等の全部及び相続人の戸籍謄本を提出済み
  遺産分割の審判書正本及び確定証明書、又は遺産分割の調停調書正本
  (乙類、執行文不要)
  相続する人の住民票
5.遺言による場合の相続証明書
  被相続人の死亡を証する戸籍謄本又は除籍謄本
  相続する人の戸籍謄本
    遺言書にある相続する人の続柄が表示ない戸籍や、氏名が繋がらない
    場合、続柄表示ある戸籍や、氏名が繋がる戸籍が必要!
  公正証書遺言書又は家裁検認遺言書(写しの添付により原本還付可能)
  第三者の相続分指定書(遺言による相続分指定第三者、印鑑証明書付)
    又は
  第三者の遺産分割指定書(遺言による遺産分割指定第三者、印鑑証明書付)
  相続する人の住民票
6.共同相続登記後の遺産分割協議又はそれに代わる審判・調停の場合
  相続証明書を要しない

その他の場合の書面


  農地を代償分割時の農地法許可書(遺産分割による贈与)
  遺留分権利者であることを証する相続証明書(遺留分減殺請求)
  民法958条の3の特別縁故者に対する相続財産の分与の審判書正本

相続証明の参考情報


 ①正確な死亡日がわからない場合の相続開始日
  死亡時の住所と本籍が異なる場合、住所管轄役所と本籍管轄役所間で起こり
  得るが住民票除票記載の死亡日時記載方と戸籍記載の死亡日時記載方が異な
  る場合がある遺産分割協議書は登記の原因日付と同じく戸籍記載の死亡日記
  載方にあわせる
 ※年月日から日までの間、年月日時不詳、年月日時刻不詳、年月初旬頃/推定
 ※戸籍記載は診断書記載のそのままを記載も、先例に従って変更して記載もあ
  る
  参考:医師法施行規則第20条、法務省局や自治体等発出の戸籍先例
  時は登記事項でないため年月日時不詳は年月日不詳とする
 ②兄弟相続の場合の戸籍収集範囲
  全血兄弟姉妹・半血兄弟姉妹を問わないので、亡両親(父と母)の出生から
  死亡迄
  父の前婚の子・非嫡出子、母の前婚の子・非嫡出子、父母の子という具合に
  戸籍による相続人捜索の範囲は父母両系にわたり、広範囲となる
  被相続人が養子の場合、実方の兄弟姉妹だけでなく養方の兄弟姉妹も相続人
  であるので亡養親(養父と養母)の出生から死亡まで、実方と同じように養
  親の子を探す
HP作成者:

中村三郎

,船橋市咲が丘