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<遺留分>


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Update 2015.10.30
遺留分 遺留分の放棄 減殺請求

遺留分


1.制度の意義
    被相続人の財産のうち、一定の相続人(遺留分権利者)に留保される財産額
        範囲:配偶者、子、直系尊属(胎児、子の代襲相続人も)
        除外:兄弟姉妹、遺留分放棄相続人(その代襲相続人も)
    被相続人の遺産処分の自由 ← 調整 → 血族相続制
        調整:家族生活の安定・家族財産の公平な分配
    遺留分を侵害する処分は当然には無効にならない
        遺留分権利者が欲すれば減殺請求権を行使し得るだけで、
        遺留分権利者が甘受して行使期間(頁末記載)を経過すれば権利消滅

2.遺留分の計算
    全体の遺留分率(R)
      単独相続:直系尊属のみは1/3、配偶者のみは1/2、直系卑属のみは1/2
      共同相続:配偶者と直系尊属は1/2、配偶者と直系卑属は1/2
           配偶者と兄弟姉妹は兄弟姉妹はなし,配偶者は1/2
     (尊属のみ複数人又は卑属のみ複数人は単独相続に同じ)
    各人の遺留分率(Rn)=全体の遺留分率R×各人の相続分率 → 相続分
      配偶者1/3、親1/6(全体の遺留分率:1/2,配の相続分率:2/3→1/2x2/3=1/3)
              (全体の遺留分率:1/2,親の相続分率:1/3→1/2x1/3=1/6)
      配偶者1/4、子1/4(全体の遺留分率:1/2,子の相続分率:1/2→1/2x1/2=1/4)
      配偶者3/8、兄弟0(全体の遺留分率:1/2,配の相続分率:3/4→3/4x1/2=3/8)
      子のみ、子が4人(全体の遺留分率:1/2,各人相続分率:1/4→1/2x1/4=1/8)
      親のみ、親が2人(全体の遺留分率:1/3,各人相続分率:1/2→1/3x1/2=1/6)
      遺留分放棄相続人(遺留分率: 0)
    各人の遺留分額(Tn)=遺留分算定の基礎となる財産額×各人の遺留分率Rn
      遺留分算定の基礎となる財産額
        = 被相続人の総財産額 + 遺留分の計算に算入する贈与
      被相続人の総財産額=被相続人の積極財産-消極財産(債務)
        積極財産:相続人又は第三者への遺贈・死因贈与を含む
        (債務):移転登記債務・期限未到来債務は含まれない
      遺留分の計算に算入する贈与
        特別受益は総て算入
          相続分の計算に適用される特別受益の「持戻免除」の有無に関せず
        特別受益以外の贈与で相続開始前1年内になされたものは総て
          ただし双方悪意は1年より前も含む
        負担付贈与は負担の価額を控除
        不相当な対価でなされた双方悪意の有償処分があればこれも算入する
    中小企業の事業承継 → 中小企業庁 - 遺留分に関する民法の特例

3.遺留分侵害の態様
    被相続人の生前贈与、不相当対価による処分
    遺言による相続分指定が過大又は過小による一部の相続人の貰い過ぎや貰えてない分
    遺言による遺贈、寄付行為、無償の債務免除、生命保険金受取人指定

4.遺留分侵害の判別
   (A)各人の遺留分額…前述のTn
   (B)相続により受けた利益の価額
      相続により受けた利益の価額=相続で得た総財産額+当人の特別受益となる贈与
          相続で得た総財産額=相続で得た積極財産の額-相続債務の負担額
   (A)>(B)の場合、減殺請求権あり
    遺留分侵害額=各人の遺留分額A-相続により受けた利益の価額B

5.指定相続分の遺留分による修正(を受け得るのみ!)
    例:妻が遺留分減殺請求した場合
      法定相続分 指定相続分 遺留分 修正した相続分
    妻   1/2     0    1/4    1/4
    子1  1/4    1/2    1/8    3/8  ← 1/2-(1/4x1/2)
    子2  1/4    1/2    1/8    3/8  ← 1/2-(1/4x1/2)

遺留分の放棄


1.遺留分の放棄(相続開始前・相続開始後)
    遺留分権利者と遺留分
      遺留分権利者:「兄弟姉妹以外」の相続人であって代襲相続人を含む
             (よって、包括受遺者、「甥姪」を含まない)
      遺留分 → 遺留分の計算
    相続開始の遺留分の放棄は申立による家裁の許可で効力
    相続開始の遺留分の放棄は家裁の許可不要、他の遺留分権利者への意思表示でなす
    被代襲者が遺留分を放棄していれば代襲相続人は遺留分を有しない
    遺留分の放棄があっても他の遺留分権利者には影響がない
      相続の放棄のように他の相続人の相続分が増加するわけではない

2.遺留分を放棄しても相続はできる
    各人の遺留分率Rn計算例 … Cは相続開始時に遡って相続人でなくなる

                      全体の  各人の  各人の
    (被)A ┌─C(相続放棄)  相続人 遺留分率 相続分率 遺留分率
      │ │          B   1/2    2/4    2/8
      ├─┼─D(遺留分放棄)  D   1/2    1/4     0
      │ │          E   1/2    1/4    1/8
      B └─E

遺留分減殺請求


1.減殺請求 → 家事調停・審判
    請求者:遺留分権利者、その包括承継人(代襲相続人等)
    相手方:受遺者、受贈者、悪意特定承継人
    受贈者からの譲受の当時、遺留分の侵害を知ってした悪意特定承継人にも請求可
    遺留分権利者から、遺留分を侵害している受遺者・受贈者に減殺請求
      口頭、書面(配達証明付内容証明郵便)、裁判(確定証明書付判決正本等)
       → 裁判所|遺留分減殺による物件返還請求調停

2.減殺の方法
    寄与分は減殺請求の対象にならない
    減殺の順序はまずは遺贈(遺贈同士は額により按分)ついで後の贈与→前の贈与
    受贈者が無資力でも他の贈与(←遺贈ではない!)を減殺不可
      遺留分権利者の負担

3.減殺請求による返還(持分移転等)
    原因日付=口頭:請求日、書面:到達日、訴:訴状到達日
    受贈者は価額を弁償して現物返還を免れることができる
    受贈者が譲渡(譲受人が遺留分の侵害につき善意)や権利の設定をした場合
      受贈者が遺留分権利者に価額弁償(善意譲受人に取戻請求や弁償請求不可)

4.返還の範囲
    減殺請求日以降の果実(利息等)も返還
    負担付贈与は負担額を控除して返還すればよい
    不相当対価による有償処分の減殺は返還義務者に対価の償還を要する

5.減殺請求権の消滅
    遺留分を害する遺贈・贈与があったことを知ったときから1年
    相続開始から10年

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