<遺贈>
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Update 2012.10.27
遺贈
遺贈と相続
遺贈と相続人
遺言執行者がある場合、相続人がした遺贈の目的物の処分は無効
遺贈を譲受人に登記なくして対抗可
遺贈は法定相続に優先する
相続財産の価額=相続開始時の財産の価額-第三者への遺贈の価額
遺留分を侵害する遺贈
相続人は遺留分権を行使せず甘受するか、減殺請求し得るのみ
遺言執行の費用は相続財産の負担(但し遺留分を減じ得ない)
遺贈の種類
包括遺贈:一定の割合を示してする遺贈(積極財産+消極財産)
特定遺贈:具体的財産(特定の物又は権利)の遺贈
執行…遺産分割協議を待たず、遺贈義務者(相続人、遺言執行者等)
から受遺者に遺贈物の交付や名義変更を実行
農地…遺贈:農地法の許可が必要、相続:許可不要
登記…遺贈:共同申請、相続:単独申請、登録免許税:遺贈>相続
負担付遺贈:受遺者が一定の給付をすべき債務を負う遺贈 → 負担付遺贈
包括遺贈・特定遺贈のいずれでも可能
遺贈(遺言)の受遺者
受遺者の要件
受遺者は遺言の効力発生時生存していること
(同時存在の原則:胎児、法人)
相続開始以前に受遺者が死亡している場合、遺贈の効力は生じない
(代襲なし)
受遺者に欠格事由のないこと → 相続欠格
同時死亡の推定者は相続開始以前の死亡として受遺能力を失う
相続人でもかまわない
包括遺贈の受遺者(一定の割合を示してする遺贈を受けた相続人又は第三者)
包括遺贈の承認・放棄については、相続人と同様の手続
放棄:家裁に包括遺贈放棄の申述
相続人と同一の権利義務を有する(第三者であっても相続債務も承継する)
遺産分割協議に参加できるし、相続分取戻権や財産分離請求権もある
代襲相続や遺留分はない(逆に遺留分減殺請求の対象になる)
他の共同相続人の相続放棄により包括受遺者の持分は増加せず
(影響受けない) ⇔ 相続人は持分が増加するが
特定遺贈の受遺者(具体的財産の遺贈を受けた相続人又は第三者)
特定遺贈の放棄は遺言者死亡後いつでも自由、
相続放棄のような期間制限はない
遺贈義務者・遺言執行者に対する意思表示でなす
(家裁に放棄申述不要、撤回不可)
いつまで?
(→利害関係人の催告による承認みなし規定で期間制限を受ける)
遺贈放棄時は相続人に帰属
特定遺贈を受けた第三者は、
包括遺贈を受けた第三者と異なり相続債務の承継はない
特定遺贈を受けた相続人の遺贈物の価額が法定相続分を下回っている場合
法定相続分に達するまで他の相続財産を取得することができる
→ 具体的相続分
⇔ 相続分の指定を受けた相続人は、法定相続分を下回っても自己の遺
留分を侵害されない限り、指定された割合に従って相続財産を取得
できるにとどまる。
特定遺贈を受けた相続人の遺贈物の価額が法定相続分を超えている場合は、
特別に遺言がない限り、残りはもうもらえない → 具体的相続分
残りについて、遺留分も侵害せず、遺贈を受けた相続人も含めた
相続人全員に法定相続分により相続させる遺言も遺贈物の価額に
よっては可能である
負担付遺贈の放棄・負担付遺贈遺言の取消 → 負担付遺贈
受遺者が負担を嫌って負担付遺贈の放棄をした場合は
受益者が受遺者となれる
その場合、負担が介護の場合は相続人で協議
ただし、遺言に別段の定めがあればそれによる
受益者が受遺者の地位を辞退した場合は遺贈物は相続人に戻る
受遺者は遺贈の目的の価額を超えない限度で負担を履行すればよい
受遺者が負担を履行しない場合、相続人から家裁に負担付遺贈遺言取消請求
遺言取消後は遺贈物は相続人に戻る
特定遺贈の効力
死因贈与との比較 → 相続関連
特定物:権利移転時期は遺贈の効力発生時であるが
権利移転は対抗要件が必要
受遺者
期限・条件成就までの担保提供請求権・権利移転後の果実収取権
遺贈義務者に対する支出費用償還義務・果実収取必要費償還義務
滅失償金請求権や附合・混和による合成物・混和物の所有権推定
遺贈義務者
目的物が相続財産に属さない場合は原則無効、
別段の意思表示あれば有効
取得可能→権利移転義務
取得不可能か過分の費用→価額弁償
目的物に第三者の権利があっても
瑕疵担保責任なし、権利消滅義務なし、現状で引渡し
受遺者の権利義務
特定物に同じだが滅失償金や附合・混和の推定規定なし
遺贈義務者
目的物が第三者に追奪された場合は損害賠償義務
目的物に瑕疵があった場合は瑕疵のない物を給付する義務
債権
遺言者が弁済を受け、その物が相続財産中に
あれば、その物を遺贈の目的物と推定
なければ、償金請求権があればそれで、
なければ、遺贈は効力を有しない
金銭債権を遺贈の目的物とした場合の物上代位性
指名債権:債務者への通知又は債務者の承諾が
なければ債務者に対抗不可
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