奥村泰之, 下津咲絵, 岡隆, 坂本真士:
うつ病治療の選好構造: 宮崎県内のA町の職員を対象として.
精神医学 50 (2): 133-139, 2008. |
Okumura Y, Shimotsu S, Oka T, Sakamoto S:
Investigating treatment preferences for depression: using staff in a town, in Miyazaki prefecture.
Clinical Psychiatry 50 (2): 133-139, 2008. (in Japanese) |
受診率と服薬コンプライアンスが低いことは,効果のあるうつ病治療を提供することを阻害する要因になっている。一般の人を調査対象として,うつ病治療の選好構造を明らかにすることを目的とした。宮崎県内のA町の職員112名に無記名式の集合調査を実施した。調査参加者にうつ病になった場面を想起させ,距離,診療時間,治療法の3属性が異なる9つの仮想診療所へ受診する意欲を5段階で評定させた。コンジョイント分析の結果,(1)サービス内容の中でも,治療法が受診意欲に影響する最大の属性であること,(2)治療法にかかる診察時間と費用の情報を提示した場合,心理療法よりも投薬の選好が低いこと,(3)典型的な診療所を想定した場合,心理療法中心の診療所と心理療法と投薬の両方の診療所へ受診する可能性は20%前後であり,投薬中心の診療所へ受診する可能性は10%以下であることが示された。これらの結果から,投薬の有用性を周知させること,投薬に対する偏見を解消することが重要になることが示唆された。 |
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Cited by
- 古川洋和, 山内剛, 中島俊, 増田由依, 金澤潤一郎, 古川華江, 安藤孟梓, 永峯利幸, 吉岡拓哉, 坂野雄二: うつ病患者の服薬アドヒアランスに関する研究の展望. 日本心療内科学会誌 13(3): 175-180, 2009.
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