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奥村泰之 業績一覧

精神疾患の医療経済・臨床疫学研究

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

概要

精神科領域で医療経済・臨床疫学を基礎とした研究を推進しています。主に,過量服薬の臨床疫学研究,向精神薬の処方実態,精神疾患の医療経済に関する研究に携わって参りました。

過量服薬の臨床疫学研究

2010年頃から急性薬物/医薬品中毒に関する臨床疫学研究を行っています。過量服薬は,一般急性期病院に緊急入院が必要なすべての傷病の中で,極めて異質な特徴があり,三次救急に搬送されやすい一方で,入院日数が極めて短いため,救急医療資源の配分の在り方を見直す必要があることを指摘しています (Okumura et al: BMJ Open, 2012)。また,心理社会的な初期対応が再発予防のために重要とされていますが,過量服薬の入院中の精神科医師の関与率は30%に過ぎないことを明らかにしています (Okumura et al: Gen Hosp Psychiatry, 2012)。

過量服薬の発生には,抗不安・睡眠薬の高用量処方,重複処方,バルビツール酸系睡眠薬処方が強く関与していることが示されました (Okumura et al: Psychopharmacology, 2015)。過量服薬の重症化には,バルビツール酸系睡眠薬など古い睡眠薬が強く関連していることが明らかになりました (Ichikura et al: PLOS ONE, 2016),特に,ベゲタミンやラボナの致死性が突出して高いことが明らかになりました (引地ら: 精神神経学雑誌, 2016)。

向精神薬の処方実態に関する研究

2008年頃から向精神薬の処方実態に関する研究を行っています。統合失調症の退院時処方として,患者全体では定型抗精神病薬の使用割合が28%である一方で,糖尿病患者では46%に上がることを示しています (Okumura et al: Schizophr Res, 2010)。統合失調症の入院患者の42%が抗精神病薬を3剤以上処方されていること,鎮静作用が強いベゲタミン錠の処方割合は15%に達することを示しています (奥村ら: 臨床精神薬理, 2013)。

抗認知症薬使用者の21%へ抗精神病薬が処方されており,諸外国においては国家的なBPSDへの抗精神病薬使用の減少施策が推進されているにも係わらず,日本では同時期に処方割合に減少傾向が認められないことを示しています (Okumura et a: Int Psychogeriatr, 2015)。子どもへの向精神薬として,承認の取れているADHD治療薬ばかりではなく,承認の取れていない抗うつ薬や抗精神病薬の処方割合が,経年的に増えていることを明らかにしています (奥村ら: 精神神経学雑誌, 2014)。知的障害児の13%に抗精神病薬が処方されており,その半数は年300日以上の長期使用になっていることを示しています (井上ら: 精神神経学雑誌, 2016)。

生活保護受給者において,抗不安・睡眠薬等の多剤処方割合が最も高い西宮市 (4.4%) と最も低い富山県 (0.2%) において11倍の地域格差が認められることを報告しています (奥村ら: 精神神経学雑誌, 2014)。平成24年度と平成26年度の診療報酬改定による抗不安・睡眠薬の多剤処方減少施策の効果は,限定的にしか認められないことを示しています (奥村ら: 臨床精神薬理, 2015)。また,米国,オランダ,フランスにおけるベンゾジアゼピン受容体作動薬に対する処方抑制施策をレビューしています (奥村: 月刊薬事, 2016)。非精神科において,抗不安・睡眠薬の処方割合は,年齢とともに増加することを明らかにしています (荒川ら: 臨床精神医学, 2015)。ベンゾジアゼピン受容体作動薬の重複処方は,BZ使用者の1.3%に認められることを同定しています (Okumura et al: Drug Alcohol Depend, 2016)。

精神疾患の医療経済に関する研究

2005年頃から精神疾患の医療経済に関する研究を行っています。一般の社会人は,うつ病治療として,費用が高くても,心理療法と薬物療法の併用を好むことを示しています (奥村ら: 精神医学, 2008)。うつ病により,日本社会全体で,年間1兆2900億円の損失があることを示しています (Okumura et al: Prim Care Companion CNS Disord, 2011)。また,うつ病等により労働生産性が2倍以上悪化することを明らかにしています (Asami et al: J Occup Environ Med, 2015)。さらに,糖尿病等の循環器病関連疾患にうつ病・不安障害等の精神疾患を併発すると,生活支出に占める医療費の自己負担額が約2倍になることを明らかにしています (Okumura et al: Gen Hosp Psychiatry, 2013)。

現在のプロジェクト

現在は,過量服薬の臨床疫学研究,向精神薬の処方実態に関する研究,せん妄・認知症への介入研究,慢性うつ病への介入研究,精神疾患の臨床評価指標に関する研究,精神疾患の医療経済に関する研究などを推進しています。特に,通常診療下における治療法間の有効性・安全性を検討する仕組みを作るために,リアルワールド・データベースを構築していきたいと思っています。

業績

筆頭研究者

  • Okumura Y, Sakata N, Takahashi K, Nishi D, Tachimori H: Epidemiology of overdose episodes from the period prior to hospitalization for drug poisoning until discharge in Japan: an exploratory descriptive study using a nationwide claims database. Journal of Epidemiology 27(8): 373, 380, 2017.

  • Okumura Y, Shimizu S, Matsumoto T: Prevalence, prescribed quantities, and trajectory of multiple prescriber episodes for benzodiazepines: A 2-year cohort study. Drug and Alcohol Dependence 158: 118-125, 2016.
  • 奥村泰之, 稲田健, 松本俊彦, 清水沙友里: 診療報酬改定による抗不安・睡眠薬の高用量・多剤処方の変化. 臨床精神薬理 18(9):1173-1188, 2015. (最優秀論文賞 受賞)
  • Okumura Y, Tachimori H, Matsumoto T, Nishi D: Exposure to psychotropic medications prior to overdose: A case-control study. Psychopharmacology 232 (16): 3101-3109, 2015.
  • Okumura Y, Togo T, Fujita J: Trends in use of psychotropic medications among patients treated with cholinesterase inhibitors in Japan from 2002 to 2010. International Psychogeriatrics 27 (3): 407-415, 2015.
  • 奥村泰之, 藤田純一, 松本俊彦: 日本における子どもへの向精神薬処方の経年変化: 2002年から2010年の社会医療診療行為別調査の活用. 精神神経学雑誌 116 (11): 921-935, 2014.
  • 奥村泰之, 藤田純一, 松本俊彦, 立森久照, 清水沙友里: 日本全国の生活保護受給者への抗不安・睡眠薬処方の地域差. 臨床精神薬理 17 (11): 1561-1575, 2014.
  • 奥村泰之,野田寿恵,伊藤弘人: 日本全国の統合失調症患者への抗精神病薬の処方パターン: ナショナルデータベースの活用. 臨床精神薬理 16(8): 1201-1215, 2013. (優秀論文賞 受賞)
  • Okumura Y, Ito H: Out-of-pocket expenditure burdens in patients with cardiovascular conditions and psychological distress: a nationwide cross-sectional study. General Hospital Psychiatry 35(3): 233-8, 2013.
  • Okumura Y, Shimizu S, Ishikawa KB, Matsuda S, Fushimi K, Ito H: Comparison of emergency hospital admissions for drug poisoning and major diseases: a retrospective observational study using a nationwide administrative discharge database. BMJ Open 2(6): e001857, 2012.
  • Okumura Y, Shimizu S, Ishikawa KB, Matsuda S, Fushimi K, Ito H: Characteristics, procedural differences, and costs of inpatients with drug poisoning in acute care hospitals in Japan. General Hospital Psychiatry 34 (6): 681-685, 2012.
  • Okumura Y, Higuchi T: Cost of depression among adults in Japan. The Primary Care Companion for CNS Disorders 13(3): e1-e9, 2011.
  • Okumura Y, Ito H, Kobayashi M, Mayahara K, Matsumoto Y, Hirakawa J: Prevalence of diabetes and antipsychotic prescription patterns in patients with Schizophrenia: a nationwide retrospective cohort study. Schizophrenia Research 119 (1-3): 145-152, 2010.
  • 奥村泰之, 下津咲絵, 岡隆, 坂本真士: うつ病治療の選好構造: 宮崎県内のA町の職員を対象として. 精神医学 50 (2): 133-139, 2008.

共同研究者

  • 井上祐紀, 奥村泰之 (連絡責任著者), 藤田純一: 知的障害児に併存する精神疾患・行動障害への向精神薬使用の実態: 大規模レセプトデータベースを活用したコホート研究. 精神神経学雑誌 118(11): 823-833, 2016.
  • Ichikura K, Okumura Y (corresponding author), Takeuchi T: Associations of adverse clinical course and ingested substances among patients with deliberate drug-poisoning: a cohort study from an intensive care unit in Japan. PLOS ONE 11(8): e0161996, 2016.
  • 引地和歌子, 奥村泰之, 松本俊彦, 谷藤隆信, 鈴木秀人, 竹島正, 福永龍繁: 過量服薬による致死性の高い精神科治療薬の同定: 東京都監察医務院事例と処方データを用いた症例対照研究. 精神神経学雑誌 118: 3-13, 2016.
  • 荒川亮介, 奥村泰之, 池野敬, 金吉晴, 伊藤弘人: ナショナルデータベースを用いた外来診療における抗不安薬・睡眠薬の処方実態の検討. 臨床精神医学 44 (7):1003-1010. 2015.
    • 詳細: 全文 (有料)

  • Asami Y, Goren A, Okumura Y: Work productivity loss with depression, diagnosed and undiagnosed, among workers in an internet-based survey conducted in Japan. Journal of Occupational and Environmental Medicine 57 (1): 105-110, 2015.
    • 詳細: 全文 (有料); IF = 3.234 (JCR2013)

 

筆頭研究者 (査読なし)

  • 奥村泰之: ベンゾジアゼピン受容体作動薬に対する処方抑制施策の国際動向. 月刊薬事 58 (8): 39-45, 2016.
  • 奥村泰之: 大規模データを使用した向精神薬の処方調査. 精神科臨床Legato 2(1):12-17, 2016.
  • 奥村泰之: 臨床疫学研究からみた不適切かもしれない向精神薬使用: 4つの留意事項. Monthly IHEP 249: 21-29, 2016.
  • 奥村泰之, 吉田和樹: 日本におけるレセプト情報等を活用した精神疾患の臨床疫学研究: 臨床データベース構築に向けて. 臨床精神薬理 18: 1019-1026, 2015.

  • 奥村泰之, 横山和仁, 伊藤弘人: うつ病における病気出勤による労働生産性の損失. 産業医学ジャーナル 34 (3): 116-118, 2011.

目次: 奥村泰之 業績一覧

研究領域

業績目録

背景

課題と反省 (妄想/妄言)

 

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研究領域

業績目録

背景

課題と反省 (妄想/妄言)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

著者: 奥村泰之 (Curriculum Vitae)
所属: 一般社団法人 臨床疫学研究推進機構 代表理事
e-mail: yokumura @ blue.zero.jp
Researchmap: http://researchmap.jp/yokumura/
ResearchGate: https://www.researchgate.net/profile/Yasuyuki_Okumura/
Google Scholar: http://scholar.google.com/citations?hl=en&user=c9qyzRkAAAAJ
facebook: http://facebook.com/okumura.yasuyuki
Twitter: http://twitter.com/yachu93